僕のほそ道   ~ のん日記 ~

  
これと言ったテーマはなく、話はバラバラです。 つい昔の思い出話が多くなるのは年のせい? 

湧別…なつかし~い!

2009年08月21日 | ウォーク・自転車

昨日のブログでご紹介した男性の方は、青森県八戸市にお住まいのTさんである。僕の自転車旅行記を、ずっと読んでくださっていた。
Tさんは、今年の3月27日のこのブログに「jk0178」というお名前で、コメントをくださった。それ以来、何度かメールをいただき、昭和44年の僕の自転車旅行にちなむ土地を巡られたときは、そのご報告などをいただいていた。

中でも驚き、感動したのは、僕が旅行中、八戸でお世話になったご家族を、ブログを読まれたTさんが訪ねて行かれたときの話であった。読んでいて、涙が流れた(次回に紹介させていただきます)

  ………………………………………………………………

 


その40年前の自転車旅行。
北海道のオホーツク海岸のデコボコだらけの道を、北西から南東(網走方面)へ向けて走っていると、向こうから女性のサイクリストが走ってきた。真っ黒に日焼けしていたので、最初は男だと思っていたら、
「あら~、こんにちは~」
と可愛い女性の声だったので、びっくりした。

彼女も僕と同じ20歳で、しかも大阪に住んでいる子だった。

道端で立ち話をしている間に意気投合して、彼女は、今夜は僕のテントに泊めてくれ、と言った。僕はテントで野宿をすることが多かったが、彼女は、さすがに女性だけに、すべて旅館に泊まっていた。

「でも、一度野宿がしたかったの」というわけだ。

僕たちはすぐそばの海岸で、乳牛が草を食んでいるのを横目で見ながらテントを張り、近くのよろず屋で食糧を買い込んで、夜にはビールを飲み、キャンプファイアーをした。

翌朝、彼女は「もう1泊したい」と言ったので、また買出しに行き、その日は一日中、オホーツク海を眺めながら、とりとめのない話をした。

彼女は日本一周をしていた。
20歳の女性が、日本一周ひとり旅である。すご~い。

何ヶ月か後、無事に日本一周を終えた彼女は、その世界ではちょっと有名になり、ある自転車雑誌に彼女の特集記事が載った。

それを読んでいると、インタビューの中で、
「最も印象に残ることは…?」
という、記者の問いかけに、彼女は、
「北海道で出会った大阪の男の子と、一緒にテントで泊まったこと!」
と言っていたので、思わず笑ってしまった。

その「大阪の男の子」も、今は60歳である(…ためいき)。

…当時の自転車旅行には、こんな珍妙な思い出がヤマほどある。


さて、次の朝、彼女と分かれて、再び一人で網走方面を目指して走って行った僕である。

夕方近く、湧別というサロマ湖の手前にある小さな町に入った。

たまには旅館に泊まって、お風呂に入りたいと思ったが、こんなところに旅館があるのかどうか…?

そこに1軒の小さな駐在所が目についた。

僕は中に入って、おまわりさんに、「どこか旅館はありませんか?」 
と訪ねた。すると、そのおまわりさんは、
「ここへ泊まりなさい」と、親切に言ってくれたのである。

おまわりさんは、そこそこ年配の人であったが、家族と離れてここで一人で暮らしているという。

その夜、僕はこの駐在所で、一宿一飯の恩義にあずかった。

翌朝、おまわりさんは僕に昼食用のおにぎりを作ってくれた。

「ありがとうございました」
僕は心からお礼を言って、その駐在所を後にした。


この、ほぼ、夢の中に埋もれかけていた記憶を、呼び起こしてくれたのが、今月16日にいただいたTさんからのメールであった。

Tさんは北海道旅行に行かれ、この湧別の駐在所を訪ねられたのだ。

Tさんからのメールには、

  北海道に出かけて帰ってまいりました。
  摩周湖と湧別の駐在所の写真を送ります。
  当時、○○様(僕のこと)が泊まられたという駐在所も、
  小奇麗な感じに建て直されて
  今は若い駐在さんが家族と住んでいるという雰囲気でした。
  残念ながらだれもいませんでしたが…

そう書かれていた。
そして、摩周湖の写真と共に、湧別の駐在所の写真が添付されていたのである。

湧別の駐在所 ……!

なんとまあ、懐かしすぎるではないか。

僕は、しばらく唖然として写真を眺め続けた。



  
   Tさんが送ってくださった写真。
   「遠軽警察署、湧別駐在所」とある。
   モダンな建物になっていたが、なんとなく面影がある。

   

   
   昭和44年当時の同駐在所。
   「遠軽警察署、湧別警察官派出所」とある。
   なんとなく面影は…う~ん、ありませんかね~?

 

40年経ってから、こういう写真を送ってくださる方がいらっしゃろうとは…

旅行は、1回1回が、それぞれ単発ドラマである。
しかし、こうした出会いがあると、40年の歳月を経て、あの自転車旅行が、今も続いていることを思わないわけにはいかない。

単発ドラマを、大河ドラマに変えていただいたことに、心から感謝したいと思っている。

 

 

 

 

 

コメント (4)
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