僕は今、いい感じに日焼けしている。
全身いい感じの小麦色だ。
だが今年の夏、海になんか一度も行ってない。
南国のパラダイスに旅行にも行ってない。
なのに日焼けしている。
全身いい感じに。
何を隠そう、日焼けサロンのおかげなのだ。
日サロ。
今年の早春、せっせと通って焼いたのだ。
なにも、モテようとかそういうことではない。
日焼けした男子がモテるなんてのは、くだらない幻想だ。
僕が日焼けサロンに通ったのには理由がある。
ジムに通おうと思ったのだ。
離婚調停中、休日1人でヒマになった僕は、この機会に身体を鍛えようと思い立った。
まずはダンベルを使って自宅でトレーニングしていた。
そして今年になって、ジムに通おうと思いたった。
泳ぎたいと思ったのだ。
ジムのプールでたまに泳ぐ。
なんだか健康的ではないか。
これを機会に苦手なクロールをちゃんと習おうと思った。
だが、白い肌にスイミングパンツはいかにも格好悪い。
真っ白い肌で裸体を人前にさらす勇気は僕にはない。
そこで、まず日焼けサロンに通い始めたのだ。
形から入る。
大事なことだ。
最初は3日に1回通い続け、毎回20分ずつ焼いて下地を作り、その後週一ぐらいで30分の焼きを繰り返す。
そうこうしているうちに、綺麗に焼けた。
だが、焼けたころにはジムに通うのが面倒になっていたのだ。
元も子もないことに。
こうして、日焼けだけしてジムには行かず、今日に至る。
動物占いチータの典型的パターンだ。
今は月に1回か2回、せっかく焼いた色を維持するためにフラッと日サロに行く。
あくまでフラッと。
時間が空いたときに。
以上が日焼けサロンに通った経緯だ。
だが、最近再び「身体を鍛えたい」熱が芽生えてきた。
阿呆のようだが、三島由紀夫の影響だ。
30歳で突然ボディービルを始め、その後、ボクシングや剣道もやり、身体を鍛え上げた三島由紀夫。
その先には自衛隊体験入隊、さらに市ヶ谷駐屯地での割腹が待っているわけだが、僕は自衛隊には入る気がないし(そもそも入れてくれないだろう)、割腹する気ももちろんない。
だが、やはり身体を鍛えなければならないような気がしてきたのだ。
阿呆な影響の受け方だが。
なので、考え中。
今なら、いきなり泳ぎに行っても焼けているのでさまになる。
となると、まずは久々に日サロに行かねば。
だが問題は、全裸となりマシンの中でひたすら時間の経過を待つあの30分だ。
あの空虚な時間がくせ者なのだ。
暑い。
汗が出る。
何も出来ない。
妙な思索ばかりふくらむ。
そんな30分。
そしてまた本来の目標を見失い、僕は焼くことだけで満足してしまうのだ、たぶん。
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