そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない



楽園のカンヴァス
原田マハ
新潮社


評判の本。
画家アンリ・ルソーを巡る物語。
直木賞にもノミネートされた(受賞は逃したが)
かなり評判が良いので読んでみた。

とにかく前半が上手い。
読み始めて半分ぐらいまでが、とことん面白い。
あまりにも面白いので目線がどんどん上がっていく。
いったいどんな結末が待っているのかとワクワクする。
その結果、後半がまるで物足りない。
結末がまるでなっていない。
中盤から後半のダレ具合というか、とっ散らかりかたが、あまりにも激しくて、これが同じ小説かと思うぐらい。
勿体ないなぁ~というのが感想。
前半の面白さはハンパないのだ。

ルソーの画は正直僕にはよく分からない。
上手いか下手かで言うと、一見下手だ。
遠近法は無茶苦茶だし、人は地面の上に浮いていたりする。
でも作品によってはきっちり遠近法を使っているものもある。
だから、あの一見下手に見える遠近法すらなっていない素朴な構図はルソーの狙いだとも考えられる。
この小説で主題的に扱われる『夢』はもちろん、『眠るジプシー女』とか『戦争』などの作品は、たしかに一種悪魔的な魅力を持っている。
なんというか、一度見たら忘れられない絵なのだ。

思わずルソーの画集を買ってしまったよ。







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大いなる眠り
レイモンド・チャンドラー
早川書房


チャンドラーの長編デビュー作『大いなる眠り』
村上春樹氏がチャンドラーの新訳をここ数年に渡って発表しているが、ようやくこの『The Big Sleep』を出してくれた。
個人的には『The Long Goodbye』に匹敵するほど好きな作品。
出てくる悪党や美女たちが“いかにも”で面白く、主人公も“いかにも”で面白いからだ。
なので、村上新訳によってがらりと印象が変わり、ラストの意味まで変わってしまった旧訳『長いお別れ』と新訳『ロング・グッドバイ』のように、この『大いなる眠り』も旧訳と新訳でまるで違う印象の作品に生まれ変わっているのかどうか、楽しみに読んでみた。
その感想なのだが……

あまり印象は変わらなかった。
だからこそ村上春樹氏も『大いなる眠り』の翻訳はあとまわしにしたのかも知れない。
『The Long Goodbye』の村上新訳は本当に衝撃だった。
ラストのGoodbyeのシーンが“この先長く別れることになる”のではなく“別れを言うのに長く時間がかかった”だったという、180度違う解釈になったからだ。
あれぐらいすごい大転換は残念ながら今回の『大いなる眠り』にはなかったので、単純に楽しめた新訳だった。
言葉の選び方は今風になっているので、旧訳版よりサラサラと読みやすい。
若さと美しさだけが自慢の大金持ちの馬鹿娘たちが、女の裸ぐらいではビクともしない心が強靱な私立探偵の主人公に、分かりやすくまとわりついてくる。
いかにもな悪党たちが拳銃を不器用に使って主人公を“のそう”とするが、逆にやられてしまう。
そういう痛快なハードボイルドの原点がここにある。

オススメです。

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指輪物語の前日譚。
トールキンの最初の冒険小説「ホビットの冒険」を「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督が映画化した3部作の第1作となる今回の映画。
早速映画館で観てきた。
フレームレート48の高解像度3Dでの上映。
果たしてその出来は?

大満足。
やはりピーター・ジャクソン監督は指輪シリーズが得意なのだ。
神懸かり的と言って良いほど、今回の映画もよく出来ており、原作に上手くプラスαの要素を盛り込んで「ロード・オブ・ザ・リング」三部作と完璧にリンクされた物語に仕立て上げている。
しかも今回の映画を見ると、より「ロード・オブ・ザ・リング」三部作に深みが増し、あの三部作で描き足りなかった部分を補完する作品にもなっているという素晴らしさ。
これで残り2本の映画も傑作になることがほぼ確定。
公開は来年の冬と、再来年の夏らしいが、今から楽しみで仕方ない。

いかんせん上映時間が長い。
今回も「ロード・オブ・ザ・リング」の時と同じく、2時間50分もある。
僕は上映前にビールを飲んでしまったため、中盤ぐらいからずっと尿意を我慢しイマイチ映画の内容に集中出来なかったのだが、それでも面白かったと言うことは近年稀に見る傑作かも知れん。
もう2、3回は映画館に観に行ってもいいかも知れん。
星は4つ。★★★★

それはそうと。
隣の上映が「ワンピース」だったのだが、大変な混雑だった。
そんなに「ワンピース」って面白いか?
正直、まったく意味が分からない。
申し訳ない。
僕は「ワンピース」が好きだという輩とは、一生分かり合えない自信があるのだ。


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BSジャパンの『小林麻耶の本に会いたい』という番組の忘年会で、日比谷の中華料理屋『慶楽』へ。
番組内で、開高健や池波正太郎ら文豪が愛した名店として紹介したお店だ。
文豪たちが必ず注文するという名物の大きな春巻。
開高健が訪れた際には必ず注文していたという蒸し魚。
池波正太郎が好きだったという焼きそばやスープ炒飯など、美味しい料理の数々にたっぷり舌鼓を打った。
味も雰囲気もまさに名店なり。
それでいて値段も比較的リーズナブル。
ごちそうさまでした。

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地下の風呂場にアリが出る。

冬になり、グッと冷え込むような日になると、小さなアリがどこからか何匹も風呂場に入り込んでくる。
どこから入ってくるのかさっぱり分からない。
この現象は数年来続いていたので、折を見て、壁に空いている穴という穴、隙間という隙間はすべて塞いできたつもりなのだが、それでもアリは入ってくる。
実害はまったくないのだが、気持ちがいいものではない。
問題は元から断つ、ということでアリの侵入経路を調べることにした。

アリといえば角砂糖に群がるイメージがある。
そこで、風呂場の一角に砂糖を撒いた。
角砂糖は持ち合わせていないので、普通の砂糖を撒いた。
これで数時間放置すればアリたちが砂糖粒を巣に運び込もうと列を作り、結果どこから風呂場に侵入してきているのかが判明するというわけだ。

が、数時間経ったがアリは列を作らない。
というよりも、砂糖に興味を示さない。
いつからアリは砂糖嫌いになったのだろう。
アリといえば角砂糖じゃないのか。
僕の記憶違いだろうか。

アリについて少し調べてみたら、アイスとかクッキーに集まる的なことが書いてある。
そうか、砂糖じゃないのかも知れん。

というわけで、後日風呂場にクッキーを撒いてやろうと思っている昨今なのである。

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