そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





アベンジャーズの完結編。
今までシリーズ作は全部観てきてる。
で、ものすごく楽しみにして観てきた。
その感想。

うん、普通に面白かったよ。
ただし、想像していたよりも普通だった。
もっと凄いことが起こるのかと思っていた。
なので星は2つ半。★★1/2
絶賛と言うよりは、もっと出来たのに、という思いの方が強い。
また映画館に観に行こうとは思わない程度の普通の娯楽作に過ぎなかった。
ここまでの流れを考えれば、もっとスゴイ映画が出来ただろうに、と思えて、実に勿体ない。
だが、世界中で多くの観客がおおむね満足しているみたいなので、ビジネスとしては成功なのだろう。
ビジネスとして、ね。

以下ネタバレでいろいろ文句を言う。
未見の方は読まないように。

↓以下ネタバレ









最初にこの映画のいちばん大きな問題点を挙げる。
この映画を普通の娯楽作にしちゃった最大の原因、それは、「結局タイムトラベルものにしちゃった」という点だ、それに尽きる。
劇中でも他のタイムトラベルものの映画名を挙げて揶揄するという言い訳じみた方法を取っているのだが、そもそもタイムトラベルで過去を改変する以外の解決策をなぜ見つけられなかったのかという点で、とにかく完結編とはいえ普通の作品に成り下がってしまっている。
本当に勿体ない。
今回制作陣がいちばん頭を使うべき部分は、「前作で宇宙の生命を半分に減らしてしまったサノスの愚行をどうやって取り返すか?」だったのに、そこに「過去に戻って改変する」という誰もが一番最初に思いつく方法しか提示出来なかったというのが、もっともダメな点だ。
僕は映画を観ていて、タイムトラベル方向にストーリーが進んだときにもう悲しくて悲しくてだいぶテンションが下がったよ。
なんだよ、結局それかよ、って感じ。
今回の「エンドゲーム」でいうと、とにかく、そこだ。
1978年の「スーパーマン」ですら、地球を高速で周回することで自転を逆転させて過去に戻すという「誰も思いつかない」大技を繰り出して、観客の度肝を抜いたのだから、2019年の今、もっと凄いアイディアを思いつかなくてどうする?
この一点「タイムトラベルを使った」という一点に於いて、この映画は普通の娯楽作と化した。
そしてこのタイムトラベルの安易な使用と、そこにまつわるさまざまな矛盾が、この映画を完結編としてあまりにも不完全にしている原因だ。
冷静に考えるとタイムパラドックス的におかしな事だらけの脚本を、派手なCGと主要キャラたちの生き死にと、過去と邂逅するバック・トゥ・ザ・フューチャー的なドラマで上手に隠蔽し、ファンを騙しきることに成功している……それがこの映画のカラクリに過ぎない。
ヘタすりゃ歴代世界一の大ヒットになるかも知れない。
しかし、いち映画として見ると、余りにも不完全だ。
これならどう考えても「アバター」の方が矛盾なくストーリーが紡がれているし、「タイタニック」のドラマの方が重厚だ。

でも、頭空っぽにして観る分には確かに楽しめるのだろう。
泣いたりしちゃう純粋な人もいるらしい。
だってアメコミだもの。
そもそも論理なんて無視なのだ。
そういう意味では世界中にいる大多数のターゲットをきちんと捉えて大もうけする、世界基準の素晴らしいビジネスなのである。
ディズニーの勝ちだ。
大勝利だ。
そしてスター・ウォーズもディズニーの手により、こういう頭空っぽのビジネスになり果てているのだ。

以上。

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DC陣営の最新作。
この先スーパーマンやバットマンやワンダーウーマンやアクアマンと共に戦うヒーロー。
果たしてどんな感じに仕上がっているのか?
六本木で見てきた。

うん、なかなか良い。
星は2つ半。★★1/2
しょうもないといえばしょうもない。
でもそもそもヒーローものなんだから、しょうもないのだw
いろいろヒーローの設定や悪役の設定に疑問点があるし、主人公の心変わりもイマイチよく分からないし、ドラマは浅いし、とか文句を言おうと思えばたくさん出てくるのだが、頭空っぽにして観る分には十分楽しめる一本。
小難しいことは殆どないし、日本人でもまぁまぁ笑えるのでオススメ。
なによりDC陣営にこのキャラが加わることによって、「明るさ」が加わりそうなのが喜ばしい。
DCユニバースはザック・スナイダーのクセのせいで暗かったのだが、ワンダーウーマンとアクアマンとこのシャザムが加われば、だいぶ作品の方向性が明るくカラッとしてくることだろう。

映画終盤に「おお、そういう展開になるのか!?」と結構驚くようなどんでん返しというか展開があるので、極力ネタバレを践まずに観に行ったほうがいい。
知人の話ではグッズ売り場を覗くとネタバレを踏んでしまうらしい。
なので、映画を観る前にはグッズも観ないほうがいい。
確かに。
アレを知っていたら面白さがだいぶ減るかも知れない。

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傑作だと評判になっていた昨年公開のアニメ映画。
iTunesでレンタルして鑑賞。
その感想。

なるほど、評判が良いのも頷けた。
良く出来たアニメ。
めっちゃ感動するというわけではないけど、ジワジワ来る感動作。
星は3つ。★★★
興味がある人は見て損しないぐらいに良い映画。

ただし、僕の個人的な感想を言うと、「可哀想な映画だったなぁ」だ。
主人公の小学生の女の子、彼女の身に起こることは結構エグイ。
まぁ実際にああいうエグイ目に遭っている可愛そうな女の子は実在するんだろうし、それを物語で描くことに文句はないのだが、あんな超トラウマ級の出来事に巻き込まれた女の子に、映画のラストで起こることがまた余りにもエグすぎて、ちょっと引いた。
これはもう原作小説の問題なんだと思うし、完全に好き嫌いだと思うので、否定はしないけど、僕はこの手の物語仕立てが正直好きではない。
そりゃあんな目に遭った子にそんな酷い仕打ちをすれば、もう物語的な着地点は感動しか残ってないよね、と思っちゃう。
あくまでこれは好き嫌いの話なので、このアニメ映画が大好きだって人はそれでいいと思うのだけど、僕は苦手でした。
いい映画だとは思ったけどね。
この手のいい話って、そりゃそうだよねっていう感想しか僕は残らないのよ。
ひねくれてるのかもしれん(笑)。

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アカデミー作品賞ノミネート作。
「アメリカ史上最強で最凶の副大統領」と呼ばれたディック・チェイニーを、20キロ体重を増やしたクリスチャン・ベールが熱演。
その感想。

はい、これはスーパー傑作。
星4つ半。★★★★1/2
映画としてメチャクチャ面白い。
脚本が素晴らしい。
アカデミー賞ではメイクアップ&ヘアスタイリング賞しか獲れなかったが、それもそのはず。
映画の中身があまりにも政治的だからだ。
さすがにこの映画に作品賞とかをあげてしまうと、共和党支持者がハリウッドに黙っていないだろう。
民主党支持者はバンザイだが、国の分断はますます広がるだろう。
だからみんな無難な「グリーンブック」に投票したのだ。
仕方ない。
この映画はあまりにもブラックジョークが効き過ぎている。

だが、俳優はもちろん、監督始め製作者たちは本当に素晴らしい仕事をしたと思う。
日本ではこんな映画絶対作れないだろう。
「万引き家族」を文部省から金をもらって作っていたというだけで是枝監督が馬鹿なネトウヨたちに叩かれる国なのだから。
あの程度で叩かれるのだから、「バイス」に習って、「ガースー」とか「ヘイゾウ」と最凶の政治家を揶揄する面白ブラックジョーク映画を作った日には、ネトウヨ発狂で映画会社に電突がたくさん来て、官邸からも圧力が掛かり、おそらく企画の段階で映画はつぶされるだろう。
それが今の日本だ。
バカな総理を騙し、私利私欲で日本をどんどん貶めていく「ヘイゾウ」なんてめっちゃ面白い脚本になりそうだし、どこかの名家のお坊ちゃんでバカなので受験に失敗して成蹊大学しか出られなかったボンボン総理大臣の片腕として、右寄りの思想で官房機密費を使って言論統制に乗り出していく「ガースー」もなかなか笑える脚本になりそうだ。
だが、そんな映画は日本では絶対作れない。
アメリカは作れる。
心底、うらやましい。
この「バイス」、とにかく映画として超一級品であり、アメリカという大国の政治ですらこんな感じで動いているのだという恐ろしさを感じ取れるので、今のアベ政権に疑問を持っているリベラルには是非とも見て頂きたい映画である。


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映画館で観られなかったので、ITunesで観賞。
アカデミー賞の作品賞ノミネート作。
音楽賞受賞。
レディー・ガガ主演。
ブラッドリー・クーパーの映画監督デビュー作。
その感想。

うーん、前半は素晴らしく良い。
良い点はまず、レディー・ガガの演技が素晴らしいこと。
レディー・ガガというアーティストは、歌の才能は言わずもがなだけれど、演技も素晴らしかったのだ。
これを発見出来ただけで、もう映画前半は圧巻で、とにかくレディー・ガガに目が釘付けだ。
ハマり役中のハマり役だろう。
平凡な人生を過ごしていた女性が、大スターとの偶然の出会いをきっかけにどんどんスターダムを駆け上がっていく映画前半。
素顔をさらして(素顔どころか0.2秒ぐらいの全裸シーンまであるのだが)演じたレディー・ガガの天才性によって、その映画前半は文句なしの吸引力でグングン転がりを見せていく。
さて、ここから彼と彼女はどうなっていくのか……彼はどう転がり落ちていくのか……と、前の3本の「スター誕生」を見ている観客としてはワクワクしてしまうわけだが、いかんせん映画の後半がもう、ダメなのよ。
その原因は分かっている。
歌が上手いだけで平凡だった彼女のサクセスストーリーだったはずなのに、それが行くところまで行った挙げ句、どうなるかというと、なんとスクリーンの中の主人公の彼女、ただのレディー・ガガになってしまうのよ。
大勢の観客の前で歌い踊り始めたら、それはもう、現実のレディー・ガガと変わらないの。
そこで、この映画のおとぎ話ストーリーが醒めちゃうの。
なんだよ、ただのレディー・ガガじゃねーかって(笑)。
惜しいなぁ。
実に惜しい。
あんな格好いい衣装で歌って踊るアーティストになる話じゃなくて、素朴なカントリーシンガーでスターになる設定とかにしとけば、観客は「ただのレディー・ガガじゃん」って思わずに魔法にかかったままで済んだかも知れないが、あそこまで派手に歌って踊るシンガーになっちゃったら、それはもうレディー・ガガなのよ。
だからそのレディー・ガガが、劇中でグラミー賞の新人賞獲るシーンとか、もう見てらんないの、白っこくて。
星は2つ半。★★1/2
前半星4つ、後半星1つ半って感じ。

そして。
ラストもイマイチ気にくわない。
ブラッドリー・クーパー演じる大物シンガーは、あの結論を出さなくてもいいのではないか?
それこそ1976年版の「スター誕生」のように、事故死(でももしかしたら……)ぐらいのぼやかしたラストではダメだったのか?
……というわけで、確かにこれはアカデミー作品賞は無理だろうなぁと思った映画。
惜しい。
実に惜しい。

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