そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない



マダム・マーマレードと暗い日曜日
堀田延 SCRAP
講談社


拙書「マダム・マーマレードと暗い日曜日」を購入してくださった方、LINE小説で読んで下さった方、ありがとうございます。

映画「マダム・マーマレードの異常な謎/出題編」もなかなか好評なようで、安心しました。
一度映画を観ても謎解きできなかった皆さんは、映画館の入場チケットの半券を劇場窓口に提示して「リピーター券ください」と告げれば、1000円でもう一度「出題編」が観られます。
二度目を観れば謎解きに正解する確率は上がりますし、三度目ならもっと上がります。
ぜひ劇場に何度も足を運んで、11月22日から上映が始まる「解答編」のエンドクレジットに名前が載るように頑張ってみてください。
解いたときの「スッキリ感」は保証します。
これしかない、という答えが必ず待っています。

さて、小説も映画も好評ということで、そのお礼に「マダム・マーマレードと暗い日曜日」の「幻のプロローグ」を掲載します。

小説「マダム・マーマレードと暗い日曜日」は当初違うプロローグから物語が始まっていました。
最終段階で現在のプロローグに書き換えたのですが、元のプロローグも結構気に入っていました。
なので特別に掲載します。
ちなみにこのプロローグは、SCRAPの加藤隆生氏が書いたものをベースに、僕が小直ししています。
思えば「暗い日曜日」のストーリーは加藤氏が書いたこのプロローグから始まったのです。
せっかく書いてもらったのに、まるきり没原稿にしてしまうのも勿体ないと思いまして……(笑)



プロローグ

 あの日のことは鮮明に憶えている。
 そのレコーディングは簡素なギターの伴奏と無名の歌手によって行われた。私はテープを回し、声とギターにマイクを向けて、そのシンプルな音を録音していった。録音室のソファには、陰鬱な顔をした作詞者と作曲者が座っていた。
「よい詩ですね。なんだか心に沁みてくる。よい録音にしましょう」そう私は話しかけた。だが彼らは私を見ようとはしなかった。いや、彼らは私だけではなく、もはやなにも見えていなかったのかもしれない。彼らはただ目の前の虚空を見つめているにすぎなかった。
 レコーディングはすぐに終わった。
 無名のギタリスト。無名の歌手。そして陰鬱なメロディーと歌詞。
 録音したばかりの曲をスタジオで流したとき、ギタリストと歌手は少しだけ満足そうな顔をしたが、作詞者と作曲者は顔色ひとつ変えなかった。
「どうですか? もし満足がいかないようでしたら、もう一度録りますか? ただし、別料金になりますが……」私がそう尋ねると、作詞者は「いや、その必要はない」と答えた。「これでいい」と。
 私たちは最後にもう一度みんなでその曲を聴いた。私ははじめて、一リスナーとしてその曲を聴いた。そのとき、ふと心に黒い雲のようなものが沸いてきた。
 この曲はいったいなんだ? 人を不思議な気持ちにさせる。不安を煽るというよりは、どこか遠くの闇の底で生まれたような陰鬱さを、宿命的にこの曲は内包している。
 いいのか?と私は瞬間的に思った。
 この曲を今、ブダペストの街に垂れ流してしまっても本当にいいのだろうか?
 隣を見ると、ギタリストと歌手も沈み込んだ顔をしていた。この曲にはなにか我々には制御できない力がある。異世界から届いた、抗えない強い力がある。
「これでいい」
 私の不安は作詞者の強い言葉でかき消された。
「わかりました」と私は言い、レコーディングした楽曲のマスタリング作業に入った。スタジオにいた人々は、言葉もなく、録音したばかりの曲にじっと耳を傾けていた。
 その曲の名は「暗い日曜日」。
 のちにハンガリー中に暗い影を落とす、呪われた曲だ。


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少女時代や東方神起が所属する韓国の大手芸能プロダクションSMエンタテインメント。
そのSMエンタテインメントが年に一度、所属するアーティストを一堂に会して開く大イベントSMTOWN2013が、今年も東京ドームにやってきた。
50倍ともいわれるプラチナチケットをゲットし、今回初めてそのSMTOWNを観に行ってきたのだが、まぁこれが阿鼻叫喚ものだった。

僕のお目当ては当然少女時代。
東方神起やSuperJunior、SHINee、EXOなどその他の男性グループや、f(x)やBOAなどにはまったく興味がないのだが、いつどこで何度少女時代が出てくるか分からないので、全て観るしかない
夕方17時に開演し、終わったのは21時半。
実に4時間半、全53曲の長時間にわたるスーパーライブを堪能してきた。
もう、はっきりいってへとへとである。

少女時代は7曲。
テヨンとティファニーとソヒョンのユニットTTSが1曲。
ティファニー、ソヒョンが男子と組んでそれぞれ1曲。
ヒョヨンがダンスだけ絡むのが1曲。
といった具合で少女時代ファンの僕でも非常に楽しめたのだが、観てみての感想は「東方神起の人気は凄い」と「女子ファンたちの悲鳴は超音波攻撃」ということだった。
東方神起はもちろん、SuperJunior、SHINee、EXOといった男子グループが出てきたときの周囲の女の子たちの耳をつんざくような悲鳴があまりにすごく、いまだに頭痛がする。
隣を見たら、なんかもう泣きじゃくっている女の子とかがいたりして。
見たら泣いちゃうほど好きって、凄いなぁ。
ジャニーズのコンサートとかもこういう感じなんだろうなぁ。
こわいこわい。

少女時代はアウェーな感じがした。
BOAなんかはもっとアウェーな感じ。

にしても、女性の皆さんあそこまでキャーキャー悲鳴が上げられるものかと、ある意味感心した。

日本は平和。
あそこに日韓摩擦は存在しない。

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一億総ツッコミ時代 (星海社新書 24)
槙田雄司
講談社


どこかのなにかでオードリーの若林くんがこの本のことを語っていて、だから購入して読んでみた。
面白かった。
うんうんとうなずけることがたくさん書いてあった。

僕もこのブログで、映画を見ては良いとか悪いとか書いちゃっている。
それがこの本に書かれている「どいつもこいつも評論家ヅラ」「自分では何もしないけれど、他人や世の中の出来事には上から目線で批評、批難」に当たるのかどうかはわからないけど、たしかにここ最近の僕のブログ記事は安全地帯から書いてばかりで楽しているなぁ、とは思う。
ブログを始めた当初はもっと攻めていたし、身を切っていた。
もっと身を切ってボケていかないとだめかもな。

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アウトロー [Blu-ray]
トム・クルーズ
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


2日連続でトム・クルーズだ。
大作映画に次々と主演するなんて、ガチでトム・クルーズは大スターなんだなぁ。
というわけで、観た感想。

悪くない。
上手にまとまっている印象。
邦題が「アウトロー」だから、もっとハチャメチャな主人公なのかと思いきや、普通に正義の味方だ。
違法なこともお構いなし的な描写はそんなにない。
平均的なーハードボイルドの主人公を思い浮かべるとこんな感じかも知れない。
007とは違って簡単に女と寝ないのも好感が持てる。
微妙に躊躇しつつも悪党は容赦なく殺す……その感じもハードすぎずソフトすぎず、ほどよい感じ。
星2つ半。★★1/2

もったいないのは悪党の設定。
なんか凄みだけは派手なのだが、結局なんのための犯罪だったのかとか、なぜそこまで周到に準備するほどの犯罪なのかとか、あの裏切り者はそもそもどういう理由で悪党に協力していたのかとか、そもそもあのおじいさんはなんなのかとか、かなり説明不足のまま映画が終わってしまうので、スカッとするようでそうでもない。
悪党は徹底的にもっともっと悪く、それでいて知的に描いて欲しかった。
その点だけもったいない。

シリーズ化は大歓迎。
もう少しキャラクターがこなれて、主人公の過去とか描き始めると面白くなりそうだ。

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オブリビオン [Blu-ray]
トム・クルーズ
ジェネオン・ユニバーサル


トム・クルーズ主演のSF「オブリビオン」を観た。
その感想。

うーむ。
嫌いじゃない。
こういうのは嫌いじゃないのだが、ヒットしなかったのもうなずける。
なかなか凝ったお話で、ストーリーラインだけを聞くと「おおっ!」となるだろう。
脚本の時点で傑作の予感、というか。
しかし、それを実際に映像化していくとリアリティの欠如がどんどん目についてしまい、結果として駄目になる。
なんかそんな感じの映画だった。
観客に「そんなわけないがな」と思わせてしまったら負け。
その辺が「ブレードランナー」との差かなぁ。
なぜ「ブレードランナー」と比較するのか分からないが。
「インディペンデンス・デイ」とでも比較したほうがニアリーだけど、僕個人的には「ブレードランナー」と比較したい感じのテイストのなかなか好きな映画だった。

星は2つ半。★★1/2
悪くはない。

最後に少しだけネタバレだが。
モーガン・フリーマンがセリフだけで語る「数千人のジャック・ハーパーが……」を映像で観たかった。
そうすれば、もう少し映画が盛り上がったと思う。
でも、そのビジュアルをCGで作ろうとしたら予算パンクだろうな。
結局、映画は予算なのだ。

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シュガー・ラッシュ ブルーレイ(2枚組/デジタルコピー付き) [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


ディズニーCGアニメ『シュガー・ラッシュ』を観た。

よく出来ているし、面白いし、文句のつけようはない。
でもなんだか物足りなく思ってしまうのは、この手のCGアニメに基本飽きちゃってるからだと思う。
『トイ・ストーリー』から始まった(と僕は認識している)一連のCGアニメ映画だが、いよいよ飽きてしまった。
最初こそ映像の美しさとか滑らかな動きで、興奮と感動を覚えたものだが、もはやそれが当たり前になってしまった。
こうなると作品の本質の部分での良し悪しになってくる。
ディズニー映画の本質はどれも似たり寄ったりだ。
友情と愛情と絆を賛美する毒のない物語だ。
となると、物足りなくなってしまう。
この『シュガー・ラッシュ』で言うと、既視感がハンパない。
なんか観たことあるなぁ~という感じ。
だから、それほどヒットしないし、話題にならないし、記憶に残らない。
すごく大金が掛かっているし、すごい人数のスタッフが関わって、時間をかけて頑張って作り上げているのに、もったいない。

ハリウッドの映画産業はかなり難しいところに来ているようだ。
CGの技術が進みすぎ、表現出来ない映像はなくなってしまった。
その分、物語の本質の部分での素晴らしさや、物語自体の他に類を見ないオリジナリティ、あるいは映画の枠組み自体の突破が求められる。
そうじゃないと、『なんか観たことあるなぁ』で済まされてしまいかねない。
うん、難しい時代になってきた。

この作品に関していえば星2つ半。★★1/2
普通。
普通に面白いのでなんの文句もないけど、なんか物足りない。

その点、10月25日に公開される『ナゾトキネマ/マダム・マーマレードの異常な謎』は異色。
映画としての良し悪しは別として、今までの映画というものの枠組みは突破している。
だって映画の上映中に館内が明るくなったり、上映中にメモを取っていい映画が、かつてあっただろうか?
ないでしょ。
……ということだ。
映画としての良し悪しではなく、記憶に残る映画館体験にだけはなるはず。
金返せ、と言われたり、こんなの解けるかぁ!と暴動が起きたりしても、正直仕方ないと思っている。
だとしても、前例のないアイディアを実現した事実が大事。
……と、個人的に思う。
言い訳ではありません。

自分で脚本を書いた映画なので、試写で観たけど、もう良し悪しはよく分からなかった(笑)
自分の携わった映画は自分では良し悪しが判断できないのだ。
とにかく『なんか変わったもの作っちゃったなぁ』という感じ。
上映期間はたったの二週間ですので(たぶん)、お見逃しなく!

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