そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





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昨年公開され話題になっていたヨーロッパ企画上田誠氏による作品。
Amazonプライムで配信が始まったので、地下ホームシアターで鑑賞。
タイムループものだということだけ知った状態だったが……

これは傑作。
星4つ。★★★★
途中、映画の4分の3ぐらいまで、これは星5つだなという勢いでずっと爆笑して見ていた。
とにかく冒頭から中盤に掛けてがメチャクチャ面白い。
「なるほど、タイムリープものでこういうやり口があったか」と感心した。
ただ、最後の最後、タイムリープの種明かしと解消が行われるのだが、そこで突然、小劇場の演劇感が出てしまった。
ここの謎解き部分がもっと映画らしく格調高い何かになっていれば、間違いなく5点満点だっただろう。
まぁ、ヨーロッパ企画らしいといえばらしいのだが、この大オチの部分がなんだか残念だった。
贅沢言うなって言われそうだけど、ここがなぁ〜!もう少しなぁ〜!なんか他のアイディアなかったかなぁ〜!笑
なのでマイナス1点して星4つ。
でも、とんでもなく面白いのは間違いない。

僕個人的にはこの映画、どこか既視感があった。
で、よく考えたら、あ、そっかと思い当たった。
理由は僕のキャリアにあったのだ。

僕はかつてジャルジャル主演の「営業100万回」という映画の脚本を書いたのだが、何を隠そうこの映画のオマージュ元は「恋はデジャ・ブ」という僕が昔から大好きだったハリウッド映画で、それは1人の天気予報士(演じるのはビル・マーレー)が雪に閉ざされたある町で同じ1日のタイムループを無限に繰り返すというものだ。
そこから着想を得た僕の「営業100万回」は、田舎のひなびた温泉宿に漫才の営業に来た2人が、謎の殺人鬼に殺されては元の時間に戻るというタイムループを無限に繰り返すというものだった。
そしてこの「リバー、流れないでよ」は、タイムループの舞台が京都・貴船の温泉宿で、しかも季節は雪なのだ。
ほら、まさに「恋はデジャ・ブ」と「営業100万回」が合わさったような設定なので、僕は既視感を覚えたというわけ。

……とはいえ、映画の出来としては「リバー、流れないでよ」の方がそれこそ100万倍良い(笑)。
ここからはネタバレになるので、未見の方は読まないで欲しい。











「恋はデジャ・ブ」でも「営業100万回」でも、タイムリープを自覚しているのは主人公の男性1人だけなのだ。
ところがこの「リバー、流れないでよ」では、登場人物全員がタイムループを自覚している。
この発明がなによりすごいし、そこから上田誠氏の筆が走ること、走ること(笑)。
しかも、だ。
そのタイムループの時間がたったの2分。
すごくないか?
2分経つと元の状態に戻るという高速タイムループ。
そんなの初めて見た。
で、そんな異常な高速タイムループの中、温泉宿の従業員や泊まり客たちが、ああだこうだとグランドホテル形式で右往左往するという素晴らしいアイディアで上田誠氏の脚本は進む。
かつて「サマータイムマシンブルース」という超絶傑作映画を産んだ上田誠氏。
今回の映画も、もう「さすが」というほかない。
「タイムループが2分でしかも全員が自覚している」というこの設定のアイディア一発で激走する脚本は、もうアッパレとしかいいようがない。

というわけで、「リバー、流れないでよ」。
Amazonプライムに加入している人は、今なら見れる。
ぜひ観た方が良いです。
感服いたしました。

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