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↑剣が峰直下から撮影。ご来光に照らされた富士山自らの影
先日、生まれて初めて富士山に登ってきた。
今夏「無謀な弾丸登山が危険」だとか、「登山客が多すぎ問題」などがニュースになっている富士山だが、現実問題どうなのか?
今後富士山に登ろうと考えている方の参考になればと思い、この記事を書いておく。
①日帰り登山は無謀
よほど普段から登山経験を積んでいる方なら十分日帰りも出来るだろう。
コースタイムは長いが、登り6時間下り3時間行動できる体力と登山スキルがあればイケる。
しかし、たまにハイキングする程度の体力の人は、悪いことは言わないから1泊2日の小屋泊登山を選択すべき。
僕もいろいろ調べた結果、1泊2日の小屋泊を選んだ。
②ルートは吉田ルートが無難
富士山には4つの登山ルートがあるが、最初は吉田ルート一択だと思う。
吉田ルートは途中の山小屋も多く、トイレの数も売店の数も登山客の数も他とは段違いに多い。
それだけ安全安心なコースだということ。
富士山の初回登山は必ず吉田ルートで行くべき。
③山小屋の個人予約は困難
富士山に登ろうと思い立ったのが5月の末ごろ。
しかしその時点で吉田ルートにある10を越える山小屋の宿泊予約は、 夏の山開きシーズンを通して全日埋まっていた。
つまり、山小屋予約不可能ということ。
ただし、これは『ツアー会社各社が予約を押さえているから』というのが理由。
つまり、数ある富士山ツアー会社のツアーに申し込めば、山小屋泊の1泊2日登山が出来る。
僕は某ツアー会社で『新宿発・富士山バスツアー本8合目宿泊プラン・ガイドなし』を5月末に申し込むことで、山小屋泊の権利を得た。
朝、新宿に集合してバスで吉田口5合目へ。
そこから自由に登り、山小屋にチェックイン(バス会社に貰ったチェックインカードを渡す)。
夕食を食べ、次の日の朝の弁当を受け取り、寝て、翌朝1時過ぎに起きて、ご来光を見るための登頂を目指す。
帰りにはバスは温泉にも寄ってくれる。
これで料金は18000円ぐらい。
初回登山はこういったバスツアーを利用するのが最善と思う(なお山小屋の予約に関しては直前にキャンセル等が出て偶然取れることも多いらしい。ただし天気が悪いことが理由だったりするので、出来れば早い時期に予定を立ててツアーに申し込むことをオススメする)。
④富士山登山は本当にめちゃくちゃキツイ
5合目から山小屋まではだいたい4時間。
体力のない人だと6時間ぐらいかかるかも知れない。
その間、ひたすら滑りやすいジャリ道をつづら折りで登り、たまにゴツゴツした岩登りも混じってくる。
景色が良ければ良いが、少し曇ればなにも見えず、ただ単調な急坂を登るだけの苦行。
よほどの健脚なら問題ないが、少々登山経験があるぐらいの人でも相当キツイだろう。
その上、渋滞している。
ガイドさんに連れられたツアー客が30人規模で並んでゆっくり登っているため、その後ろに付いてしまうと渋滞。
無謀にもスニーカーで登ったり、赤ん坊を背負って登ったりする輩が、登り専用の登山道を下ってきたりするので、登り客が待つことになり渋滞。
……などなど、精神的にもいろいろと追い詰められる。
普通の登山とは話が違うと思っていた方が良い。
道中、太ったおばさんとか、半ズボンの太ったお兄さんとか、年取ったおばあちゃんとかが、道端で疲労困憊し、倒れているのを何人も見た。
そういう人たちには「なぜ登れると思った?」と聞きたい。
見た目からして『あなたには登るのは無理でしょ?』という人が、『ガイドツアーだから誰でも登れるんじゃない?』と気楽に参加しているようだが、なんといっても標高3667メートルの山だ。
高尾山に登るような気持ちで来るのは本当にやめたほうがいい。
つらい目に遭うのは自分自身だ。
⑤防寒着は必須中の必須
ご来光を見る場合、翌朝1時に起きて、ヘッドランプを頼りに夜道を渋滞しながら山頂まで登るのだが、問題は山頂に着いてから。
ご来光を待つ時間が、恐ろしく寒いと思っておいたほうが良い。
晴れていても体感温度は10℃以下。
雨でも降って風が吹いたら体感温度はマイナスだろう。
フリースとシェルジャケットぐらいでは凍え死にそうになる。
ダウンジャケットが必須。
そして忘れてならないのが『冬用の手袋』。
温かい手袋を持っているのといないのとでは大違い。
軍手ぐらいではとても無理。
手が凍えてブルブル震えてしまう。
富士山の山頂でご来光を見るのなら、ガチガチの冬の服装を持っていくべき。
カイロとかその手のものもなんなら持っていた方が良い。
⑥ストック(杖)は必須
登山用ストックを2本持っていれば、登りも随分有利になる。
テクニックは必要だが、登りでストックを使うと、腕の力を使えるので、足だけで登るより体力を温存できるからだ。
しかし、ストックが一番必要なのは、吉田ルートの下りだ。
下りは専用の登山道となる吉田ルートは、ひたすらジャリで滑りやすいつづら折りの下り坂が続き、ストック(杖)を持っていない人は、降りるのが恐ろしい道だ。
健脚でバランス感覚がまだ若い人は、転ぶ前に次の一歩を踏み出し、走るように降りていけるのだが、そうではない一般人はストックがないと転びそうで一歩一歩慎重に降りていくしかない。
結果、精神的なプレッシャーがずっとかかるため、疲労が蓄積し、「登りよりも下りがツラかった」という感想になる。
ストック(杖)があれば、4本(もしくは3本)の足でバランスを取るのと同等になり、いざ転んでもバランスを崩しにくく、また腕の力で耐えることも出来る。
吉田ルートで登る人は必ずストックか杖を持つことをオススメする。
以上が実際に登ってみて感じたことだ。
他にも『100円玉をたくさん持っていけ』とか『水や行動食は小屋で買えるから少量でいい』とかいろいろコツはあるみたいだけど、その辺は各自ネットの記事やらYouTubeの動画やらで調べれば良いと思う。
ご来光を剣が峰で見たのだが、渋滞というか混雑がえげつなかった。
狭い山頂が足の踏み場もないほどの人で溢れかえっていた。
一度でいい、と思った。
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