そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





元日本人(現アメリカ人)のカズ・ヒロ氏がアカデミー賞でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した本作。
事実を元にした物語。
公開されたので観に行ってきた。
その感想。

これはね、良いですよ。
星は3つ半。★★★1/2
2016年にアメリカで実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動。
アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局FOXニュースは共和党を全力応援する保守派。
そこの人気キャスターグレッチェン・カールソンが、仕事を与える見返りに性的関係を迫っていた超パワハラセクハラ豚野郎のCEOロジャー・エイルズを提訴。
5000万ドルの賠償金を得たという実話が映画になっている。
グレッチェンの提訴に「私もセクハラを受けた」と援護射撃したメーガン・ケリーという人気キャスターを演じるのはシャーリーズ・セロン。
メーガン・ケリーは当然FOXを追われたが、その後、民主党派のNBCでちゃんとキャスターとしてやっています。
良かった良かった。

この映画、シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーの豪華共演が話題だが、凄いのはシャーリーズ・セロンだ。
この女優さんはただ者ではないと前々から思っていたが、今回それが如実に分かった。
素晴らしい迫力です。
もう、スクリーンに彼女が出てきただけで迫力が凄い。
ニコール・キッドマンやマーゴット・ロビーなんて正直霞んでしまうぐらい、シャーリーズ・セロンの迫力が凄い。
もちろんカズ・ヒロ氏の特殊メイクアップも凄いんだけど、それ以上に演技が凄い。
もうね、圧巻です。

残念なのは字幕がイマイチ分かりにくいこと。
字幕翻訳者は松浦美奈氏だけど、最近よく見る彼女だけど字幕そんなに上手かな?
松浦氏は意訳がヘタで観客を少し混乱させる傾向があると、個人的に思います。かといって戸田奈津子みたいなメチャクチャな意訳は望んでないんだけど笑。

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テレビでCMをやっている。
「木村拓哉主演の『マスカレード・ホテル』がAmazonプライムに登場」って。
なるほど、ただだったら観ても良いか、と鑑賞(実際ただではないのだが笑)。
その感想。

これは酷い。
星は1つ。★
今の日本映画の悪いところが凝縮したような映画だった。

原作は東野圭吾。
読んでないけど、まぁこういう内容のミステリーなんだろう。
それをだ、映画にするときに、さぁどんな演出で、どんな脚本で、どんなカメラワークで、どんなセットで、どんな照明で、どんな俳優でって考えるところで完全に失敗してる。
観ていて最初に感じたこと……安っす。
次に思ったこと……テレビか!
次に思ったこと……大根か!
次に思ったこと……つまんな!
つまり、致命的である。
この映画、木村拓哉が主演だという点以外に勝算がひとつでもあったのか?
ないだろう。
その木村拓哉ですら、ダサい演出とダサいカメラワークとダサい照明のせいでスベらされているのだもの。
韓国映画の爪の垢を煎じて飲んだほうがいいだろう。
これは酷い。

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「万引き家族」とカンヌ映画祭でグランプリを争ったという韓国映画。
村上春樹の短篇小説「納屋を焼く」が原作。
気になっていたのだが長らく観られずにいた。
ようやく鑑賞。
その感想。

原作である短篇「納屋を焼く」は非常に良い作品で、たった30ページぐらいの短さで、まだ村上春樹を読んだことない人に入門編としてオススメの1本。
短いながら村上春樹色がふんだんに入っている短篇で、ミステリアスで美しい比喩と暗喩に満ちていて、読む人によっていろいろな解釈が出来る。
その「納屋を焼く」を映画化した本作は、確かに「納屋を焼く」なのだが、その意味合いは短篇小説よりも1歩踏み込んでいると感じたし、最後に驚きの展開も待つ。
で、これが面白いか、良い映画かといわれると首をひねってしまうのも事実。
まず映画として余りにも冗長で退屈だし、結局なんだったのかが小説よりも1歩踏み込んだ分、陳腐な解釈方向にやや寄りすぎているかな、と思う。
星は2つ。★★
こういうインディペンデンス的というか、単館劇場ものというか、芸術性方向に行っちゃってる映画は個人的に苦手なのでこの点数。
カンヌ映画祭では絶賛されたらしいので、刺さる人には刺さるのだろう……僕は全然刺さらなかったが。

ただし、映像はものすごく綺麗。
なんだろうこの映像美は。
日本映画とはなにかが確かに違うクオリティが韓国映画のカメラには宿っている。
日本映画の演出家やカメラマンたちの映像の進化が実はどこかの時代で止まってしまっていて、はるか韓国に後れを取っている部分もあるのではないか?
映像を見るとそういう感想。
風景は似ているのになんだろう、この差は。

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実話をベースとした物語。
「クレイジー・リッチ」のコンスタンス・ウーが主演だが、ジェニファー・ロペスが実質の主演。
ストリッパーたちがウォール街の金持ち相手に仕掛けた犯罪とその行方。
その感想。

これはね、なかなか良い。
星は3つ。★★★
見て損はない佳作って感じ。

ストリッパーたちの物語だが、性的な描写は過激ではない。
女同士のバディなので、女性の観客の方がより感情移入出来るかも知れない。
50歳を越えているとは到底思えないジェニファー・ロペスが、ダンスにポールダンスに凄いスタイルを見せつけまくり、とにかく格好よく、結果、主演のコンスタンス・ウーは完全に飲まれている。
リーマン・ショックで不景気になったニューヨークでストリッパーたちが自営のために犯罪に手を染める実話だが、ダマされる男の方が悪いだろとしか思えず。
映画として問題点をひとつあげるとすると、最後の最後で話の筋が一瞬よく分からなくなる点だと思う。
これは日本語字幕の問題かも知れないので、なんとも言えないが、最後の最後で急に「え?どういうこと?」と戸惑う感じがあった。
見てもらえば分かると思う。
まぁでも見て損はない佳作です。
ジェニファー・ロペス無双を堪能してください。


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惜しくもアカデミー作品賞を逃したサム・メンデス監督の第一次世界大戦もの。
全編(疑似)ワンカットで話題。
どんなものかと品川IMAXで観賞。
その感想。

これは星3つ半。★★★1/2
観ればオスカーを逃したのがよく分かる内容。
撮影賞は獲ったのも当然だけど、作品賞はこりゃ無理だわ。
全編(疑似)ワンカットでオスカーを獲った「バードマン」よりも中身が薄いし、体感映画的なすごさで言えば「ゼロ・グラビティ」の方が上。
正直、面白いし、凄いっちゃあ凄いんだけど、惜しいのよ。
こりゃ「パラサイト」に勝てないなぁという感想です。

以下ネタバレで、この映画の問題点を挙げる。
僕が感じたその問題点を、看過出来るか出来ないかで、この映画の評価は大きく変わると思う。

















この映画、前半はものすごく良い。
ワンカット撮影も大迫力だし、俳優2人の演技もいいし、ロケの臨場感も凄い。
ところが、である。
2人の伝令兵のうち1人が死んでしまうところまでは最高だけど、それ以降、かなり雑じゃないですか?

突然大勢現れる味方の兵隊。
え、こんなに簡単にこの人数ここまで来れるの?
は? ……みたいな違和感に始まり、トラックを降りたところからすぐの廃墟で狙撃される主人公。
え、だったらあのトラックの連中も狙撃されてたろ、……とか。
あの燃えていた町でドイツ兵に追われた末に出会う女と赤ちゃん。
あのくだり必要?
大体あんな場所にいてもすぐ見つかるよね?
男しか出て来ない映画に無理矢理女の人出してポリコレ的なバランス取っただけなんじゃないの?……とか。
え、森の中であんなに歌ってた兵隊から少し歩いたらもう最前線?
距離近すぎない?……とか。
いろいろ雑すぎやしないか?
で、しかも肝心のワンカットを途中で一度諦めましたよね?
え、諦めるの?……とか。
で、見終わって思うよね。
たいした話はなかったなぁって。
ストーリーにひねりはほぼない。
序盤で2人のうち1人が死ぬという点だけがひねり。
「1人で伝令するな」というフリとか、「兄貴は顔が似てる」ってフリも未回収。
そもそもドイツ軍が撤退してるのになぜ無人地帯を抜けなきゃならないのか?
伝令は飛行機で飛ばせば良いじゃないか?
あんな大事な伝令をたった2人だけに頼むか?
もっと何組も同時に伝令に出されるんじゃないか?
だから映画のラストは、例えば「すでに別の方法で伝令は伝わっていた」みたいな終わり方もあっただろうに……とか。
後半、雑すぎません?

これ、ワンカットにこだわったがゆえ、戦場の距離感が全部適当になっていて、ワンカットの分移動の距離が取れてなくて、まるで戦場の箱庭みたいになっていて、リアル感が後半どんどん失われていくっていう致命的な構造矛盾抱えてるのよ。
実際は半日以上かけて移動する距離なのに、映画だから2時間にしなきゃダメで、でもワンカットだから、A地点からB地点、B地点からC地点が余りにも近くて、リアリティが全然なくって、どんどんどんどん醒めてくるのよ。
それなのに、一度気絶するシーンでワンカットを諦めてたりして、おいおい、中途半端だなぁ〜としか思えん。
だったら、ワンカットなんか最初から捨てて、カット割りして良いから、半日間のあの兵士の伝令の行軍模様を、もっときっちりリアルに描いたほうがよほどいいんじゃないかとしか思えないのよ。
つまり、ズバリひとことで言っちゃえば、「策に溺れた」のよ。
ワンカットという策に中途半端に溺れ、結果としてリアリティや物語性など失ってる。
ワンカットなんかやめて、もっとストーリーにひねりを持たせ、「1人で伝令するな」というフリでラストはベネディクト・カンバーバッチ大佐とひと悶着あるべきだし、「兄貴は顔が似てる」ってフリをしたんだったら、少なくとも顔が似てないとダメじゃんw(←兄貴は弟とすがすがしいほど似ていないの)

ということで、1人が死ぬところまでは緊張感やワンカット撮影の臨場感、ロケセットのリアリズムなど秀逸だったんだけど、それ以降が余りにも雑な映画だった。
まぁ、素晴らしかったという人もいるだろうし、僕も最後は泣いたけども、オスカー獲るまでの中身ではないなぁというのが結論。

どう考えても「パラサイト」の方が上。
投票したオスカー会員はなかなか優秀ね。
ただし、撮影賞受賞だけは文句なしです。

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韓国で、昨年、あの「パラサイト」を押さえナンバーワンヒット。
歴代でも第2位の興行収入記録を叩き出したという大ヒット作。
めっちゃ面白いという評判を聞き、観てきた。
シネマートという新宿の小さな映画館で。
その感想。

これはねー、良くも悪くも韓国映画なのよ。
そういう意味で、とてもクセが強い。
韓国映画特有のギャグとか、身内ネタとか、脚本や撮影、編集の変なクセとかがあって、「パラサイト」とは違うのよ。
そういう意味で、面白いところはメチャクチャ面白いんだけど、正直どうかと思う部分もあり、評価が難しい。
星は一応3つにしておく。★★★
この韓国映画味の強いクセが気にならずに観られる人なら、もっと高得点だろう。
何しろ、ストーリーの設定が抜群に面白いのだ。

ヤクザの麻薬取引を捜査するために集められた5人組のポンコツ捜査官たち。
失敗ばかりの彼らが最後のチャンスとしてある大物ヤクザの事務所を張り込むことになる。
張り込める場所は、道をはさんだ向かいのチキン屋しかない。
しかしそのチキン屋は店を売りに出し、閉店するという。
張り込みのために退職金を前借りし、チキン屋を買い取ってしまう捜査官班長。
その店で張り込みを続ける5人だったが、客が来るから仕方なくチキンを作って出したら、美味い美味いと大評判で、行列の出来る店になる。
……というこの骨子のアイデアだけでもう抜群に面白そうで、良く思いついたなぁと感心するのだが、実はこの映画、この「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」という面白さが実は用意された面白の一部に過ぎず、もっと最初から最後までハチャメチャなバカ麻薬捜査官コメディ映画なのだ。
逆に言うと、「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」をもっと観たかったのに、それ以外のよく分からないギャグや物語展開が結構出てくるので、フリがデカすぎていざ観てみたら少しガッカリという、いわやる「目線が上がった」状態になりがちなのが勿体ない。
むしろ、「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」は忘れて、ただの「ハチャメチャバカ麻薬捜査官コメディ」だと思って観に行くと、相当楽しめるだろう。

これ、どこかがリメイクしないかな?
「張り込みのために仕方なく始めたチキン屋が大繁盛」をストーリーの中心にドンと据えて、リメイクしたらもっと面白い話が出来そうな気がする。
この映画の場合、「大繁盛」をわりと早く捨ててしまう展開になるので、勿体ないのだ。
もっともっとムチャクチャ流行って、その結果が麻薬捜査に結びつくような展開もあるだろう。
それと、悪役のヤクザもバカキャラなのが実はもったいない。
悪役は心底怖いキャラにしておくと、もっとカタルシスのある後半が出来たはず。

ということで、日本の映画会社の誰かさん、これリメイクしませんか?
アイデア出しのブレーンとして参加しますよw

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スター・ウォーズ「最後のジェダイ」で盛大に失敗したライアン・ジョンソン監督の最新作。
あんなひどい映画を作ってしまったあと、サクッと撮ったにしては、アカデミー賞で脚本賞にノミネートされているなど評価は高い。
さて、どんなものか?
TOHOシネマズ日比谷で観てきた。

これはね、まぁまぁかな。
星3つ。★★★
ぶっちゃけ、映画でやる必要ないぐらいの小粒なミステリー。
テレビドラマだったら最高だが、映画館でわざわざこれを見させられても、という感はある。
ミステリー風に始まって途中でコロンボ(古舘任三郎)風に転換する構成は面白いけど、トリックは割とありがちだし、犯人は途中でほぼ2人のどちらかに絞られてきて、まさかその通りじゃないだろうと思ったらその通りだったし。
面白いには面白いが、なんつーか、「ハイハイ、よく考えましたね」って感じにしか思えない。

以下ネタバレも少し含むので、未見の方は注意。




ライアン・ジョンソンって監督は、結局その程度のものなのだと思う。
観客の予想を裏切ることを至上の喜びにしているのか、「最後のジェダイ」でもそうだったが、全くフリなしでいきなり観客を裏切るシナリオをぶっ込んできたりして、一番最後の最後なんて僕はドン引きした(あのカラクリナイフ、劇中に一切フリがなく、あそこで突然出してくるかね?)
手紙があぶり出し、なんてのもウソだろっていうぐらい古典で、それに気がつかないあのオッサンもキモすぎるし、そもそも肝心の殺人トリック(厳密には違うが)のところの理屈が通っているようで通っていないと思われ、主人公のアナ・デ・アルマスの注射のくだり、100㎜打つクスリと3㎜打つクスリが同じサイズの瓶に入っている時点であり得ないし、それを誤注射した理由も真実に気付いた理由も一緒なのでそもそもじゃあ後からでも気付くだろという意味で論理的に破綻しているわけで、まぁ、ありえない。
小手先のなんとなく面白そうに思わせる小ネタの数々で観客を煙に巻きつつ、実は破綻したどうでもいい話を大仰に語る、という意味で「最後のジェダイ」と一緒。
つまり、ライアン・ジョンソンとはその程度の映画監督なのだ。

でもまぁ、面白く観れるので、100点満点中マイナス150点を叩き出した「最後のジェダイ」よりは、2億倍ぐらいマシである。

最後にひとこと。
途中、犬神家かと思ったわ!www

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