![](http://ec1.images-amazon.com/images/I/217480CBBDL.jpg) | 潮騒三島 由紀夫新潮社 |
この本、僕は読んだことがあるのだろうか?
読んだのかな?
観たのかな?
どっちなのか分からない。
過去に何度も映画化された「潮騒」
その原作小説。
焚き火を挟み、裸の少女が裸の少年に告げる「その火を飛び越して来い」
少年は躊躇せずジャンプ!
ひしと抱き合う男と女。
邦画史上屈指の名シーンだ。
ここだけは少なくとも映画で観た気がする。
本を読んだのか読んでないのか、映画を観たのか観てないのかさえよく覚えていないのだが、今回この本を(初めてor久々に)読んで、僕は痛く感激した。
三島由紀夫、すさまじい。
これが書けるってことはまっとうな人なのだ。
代表作「金閣寺」や、市ヶ谷駐屯地での割腹自殺のイメージから、なんだか癖のある難しい作家だという先入観があった。
美輪明宏の「黒蜥蜴」の脚本家だし、「仮面の告白」は男色の話だし、もう、なんだかなぁ~と思っていた。
すみません。
間違ってました。
三島由紀夫は、極めてノーマルなのだ。
でなければ、ここまでさわやかな青春の初恋を描写できないと思う。
至極ノーマルだったからこそ、アブノーマルを描けるのだ。
そうだ、考えてみれば、そりゃそうなのだ。
すごいぞ「潮騒」
「ここまでさわやかな小説があったのか」というぐらいプラトニックな純愛だ。
39歳になって読むからこそ価値がある小説かも知れない。
薄汚れてしまった大人が読むべき本。
三島由紀夫、すさまじい。
すさまじい、その筆力。
まぁ、こんな僕が今さら褒め称えるまでもない大作家なのだが、それでも「潮騒」は意外性で僕を魅了した。
ああ、なんていい本なんだ。
そして三島由紀夫はどこまで天才なんだ。
すごいのはラストの3行だ。
僕はそこを読んだとき鳥肌が立った。
そこに三島由紀夫の迫力を感じた。
純愛の話をここまで美しく仕上げておきながら、最後のたった3行で、ただのロマンチシズムに終わらせないのだ。
ただの甘ったるい話に終わらせないのだ。
ああ、なんていい本なんだ。
そして三島由紀夫はどこまで天才なんだ。
次は短編集「真夏の死」を読んでみる。
実はこの順番。
文豪ナビとかいう本に書いてあった三島由紀夫オススメコースなのだ。
ちなみにそのコースとは……
「潮騒」→「真夏の死」→「金閣寺」→「仮面の告白」→「豊饒の海(4部作)」
まずはこのコースを辿り、その後、知り合いの女の子が勧めてくれた「音楽」「命売ります」を読んでみようと思う。
寝不足が続きそうだ。
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