「セッション」「ラ・ラ・ランド」「ファースト・マン」と3作立て続けに大傑作を生み出してきた天才デイミアン・チャゼル監督。
その最新作「バビロン」が公開されたので、早速観賞。
3時間9分の大作。
その感想。
これは、過去3作に比べると明らかな後退。
やりたいことは分かるのだけれど、ぶっちゃけスベっている。
星は2つ。★★
なんとも勿体ないというか、「あれ?こういう方向の映画は苦手なのかな?」と感じた。
1920年代のハリウッド黄金時代をエログロナンセンスなんでもありのブラックコメディに仕立て上げたい意図は分かるのだけれど、スベっている。
めちゃくちゃハチャメチャなわけでも、めちゃくちゃエロいわけでも、めちゃくちゃブラックなわけでもなく、全てがどこかで見た過去の映画のエッセンスの縮小版みたいに見える前半。
後半、いよいよ物語がシリアスに、エモーショナルになってきて、ようやくデイミアン・チャゼルの本領発揮かと思いきや、主要登場人物が4人もいる群像劇なので、物語は分散、視線は拡散、どれ1つ大して盛り上がらず、後半も全てがどこかで見たことのある過去作のエッセンスの縮小版みたいに見えちゃった。
音楽は最高にイイ。
映像も最高にイイ。
ただし脚本なのか編集なのかが雑で、要するにとっ散らかっているのだ。
3時間の映画内にはときどき「おっ」と思うシークエンスや「おっ」と思うセリフや演出があるのだけれど、それも映画全体が猥雑で整理し切れていないので、サラリサラリと流れていく。
うーん、過去3作あんなに隙のない映画を作ってきたデイミアン・チャゼルにしては首をひねるような出来。
全部がフワフワしていて、なんかスベっている。
そういう映画だった。
それでもラストの数分は、泣いた。
だが、あれはズルイ。
あんなことをされれば、映画ファンは泣くに決まっている。
「雨に唄えば」と「ニューシネマ・パラダイス」。
その組み合わせはズルイだろ。
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