村上春樹、フィーバーの新刊。
やっと読破した。
購入し、読み始め、最初の数十ページは読み進みにくかったのだが、中盤から俄然おもしろくなり、一気に読みおえた。
その感想、というか、読みおえたときの印象。
内容について僕は批評できるような立場ではないと思うし、そもそもファンなので公正な批評ができるとも思えない。
どうしてもひいき目で見てしまう(少女時代のすべてを素晴らしく思うのとおそらく同じ原理だ)。
なので、内容についてはひとまず置いておく。
だが、ひとことだけ言っておくなら「とてもおもしろかった」になる。
これまでの村上春樹の小説のイメージは、風呂敷を広げるだけ広げておいてどうも着地点がぼんやりしていて、それでいてなんとなくおもしろい、そういうイメージだった(あくまで個人的なイメージだが)。
どこが好きだったのかといえば、ずばり文体だった。
文体が好きで、だから一冊残らずすべての作品を読んできた。
今回も終盤まで、どうせぼんやり終わるんだろうなぁと覚悟していた。
だが、この小説はついにきれいに着地した(気がした)。
それが、静かな感動を呼んだ。
初めて村上春樹が、僕にとって普遍的なものを書いてくれた気がする。
ファンタジーではない、なにか普遍的なものを。
答えをきっちりと。
いろいろ批判のある本作だが、村上春樹の小説の中では今までで実はいちばん分かりやすく、この現実世界との乖離が少ない作品かも知れない。
そのせいか、昔つきあっていたある女の子のことを思い出した。
思い出したのでさっきその女の子に2年ぶりとかでメールを送った。
その子とはいろいろ話し合える親友なのだ。
そういう小説でした。
万人には決してお勧めしませんが。
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