そこそこの放送作家・堀田 延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこの映画のブログ。
人生そこそこでいいじゃない



クリーピー 偽りの隣人[Blu-ray]
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松竹


ちょい前に見た「CURE」と同じ黒沢清監督の2016年の作品。
Netflixにあったのでなんとなく観賞。
その感想。

うーん。
なんだこりゃw
星2つ。★★

前半ね、なんだか面白いのよ。
香川照之のキャラがすごくて、もうすごく面白いのよ。
それなのに中盤ぐらいからどんどん「?」が生まれてきて、こんなことするわけないだろとか、こんなバカな奴いないだろとか、こんな偶然あるわけないだろとか、そんなものこの世に存在しないだろとか、もう「?」の乱打戦よ。
前半がすごーく面白い分星2つだけど、後半だけ見たら星1つだね。
まぁ、どんな惨状なのかは見てもらうといいと思う。
とにかく映画に最低限のロジカルを求めてしまう人は無理。
だって無茶苦茶なんだもの。
「CURE」はその辺まだ最低限のロジカルを保ちつつ最後まで行けてたのにな。
これは酷いな。
そもそもゲラゲラ笑いながらツッコもうと思って観たら、楽しめるかも知れないw

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殺人の追憶 [Blu-ray]
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KADOKAWA / 角川書店


ここからは「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督が選ぶ、オールタイムベストの時点の作品群を観ていく。
まずはこれ。
2003年の韓国映画。
前に一度観てモヤモヤした記憶があったのだが、再観賞。
その感想。

さすがの傑作。
星3つ半。★★★1/2
韓国で実際に発生した未解決連続強姦殺人事件を元にした話だが、見終わったときのやるせなさがこの映画の真骨頂。
事件解決でスッキリしたい人には全く向いていないフィルムノワール。
未解決事件の捜査に当たる刑事たちの姿を通して、何が真実で何が嘘か分からない社会の不条理を描いている。
まぁ、圧巻ですよ。
実際の事件で犯人が捕まっていないで時効迎えちゃったっていうのがまた闇深くていい。
ドキドキするし、超怖いですが、オススメです。

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会議と会議の合間に観賞。
オーシャンズ11シリーズ久々の新作。
今回は泥棒チーム全員が女。
その感想。

まぁ、普通だなぁ。
星2つ半。★★1/2

メトロポリタン美術館で年に一度開かれるメットガラで、カルティエの1億5000万ドルのネックレスを盗むという話。
女優の首に架けられたその超豪華ネックレスをいかにして盗むかというストーリーに文句はない。
つたない字幕のせいかもしれないが、前半話を見失いがちになる部分が多々あり、混乱しちゃうのもまぁいい。
いざ盗みが始まればまぁ見ていられるので、それもいい。
だけど、この手の泥棒もので定番の、唐突に発生する「予期せぬハプニング」とそれに対する「機転を利かした見事な回避」というカタルシスがなんとほぼなんにもなし。
あれよあれよとスイスイと宝石を盗み出すことに成功しちゃうのだ。
まぁなぜスイスイだったのかの理由はのちに分かるわけだし、さらにその先に「なるほど」という大オチも用意されているんだけど、とにかく映画としての熱量が足りない。
映画全体がスマートすぎて、僕は2時間弱ずっと「なんだろうなぁこの絵空ごとは」と醒めた感じで観ていた。
いや、そう観るしかなかった。
登場人物の誰1人汗をかかないし、観ている方も全然ドキドキしないし、どうせうまく行くんでしょと思っていたら本当にうまく行ってしまうというありそうでなかった脚本で、逆に斬新かも知れないと思うほどだw
見終わって思った。
この映画を作りたかった奴は誰なのか、と。
この映画本当に作りたかった奴はいるのかスタッフの中に、と。
こんな感じで有名女優を8人集めて、ファッション的にもおしゃれな感じでキラキラさせて、オーシャンズシリーズのパッケージで新作作れば、そこそこ観客をだませて、チケット代が入って、儲かるんじゃね?
みんなそれで金儲かるからいいんじゃね?
……という感じにちがいない。
そうなのだ。
本当に本当にこの映画を作りたい奴なんておそらく1人もいないのだ。
ビジネスに過ぎないのよ。
違うよ、本気をくれよ本気を!
本物の熱量を見せてくれよ!
ああだめだ!
もう「カメラを止めるな!」の洗礼を浴びてしまったあとでは、たいていの映画がその「熱量」でアレに勝てんぞ。
置きに行った映画は、圧倒的に「熱量」が足りなく感じちゃう。
その点、トム・クルーズの「MI6」はトム自身のスタントへの異常なまでの熱量を感じたから、観ていられたのだろう。
そういう映画とは違い、金儲けになりそうだから作っているこういう「企画映画」「ビジネス映画」はもう物足りん!
「カメラを止めるな!」と「MI6」の爪の垢を煎じて飲めバカ!!!

サンドラ・ブロックがマイケル・ジャクソンそっくりの顔になってきていて、ヤバい。
いちばんの感想はこれ。
出てくる男優がヒュー・ジャックマンと顔が似過ぎているが、ヒュー・ジャックマンではない。
いちばんの驚きはそこ。

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博士の異常な愛情 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


上田慎一郎監督が選ぶオールタイムベスト10シリーズ。
今回はキューブリックの「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」。
うん十年ぶりの観賞。
その感想。

ご存じアメリカ軍がソ連に誤って水爆を落ちてしまうブラックコメディ。
初めて見た人は「え、落ちるの?」と驚くと思う。
1964年の映画なんだけど、これ当時のアメリカ人はコメディとして見られたのだろうか?
水爆実験はまだ各国がガンガンやってる時期だし、キューバ危機は1962年だし、今よりも遥かに第三次世界大戦が身近に感じられていた時代に、この映画が描く核戦争の恐怖はもっともっとリアルなのだったはず。
ブラックコメディと評される作品だけど、映画はほぼシリアスに進むし、確実に「これ笑わそうとしてるだろ」と分かるのは、最後の方に出てくる車椅子のストレンジラブ博士の挙動だけで、他は結構「このぐらいのバカは米ソの中枢にいるだろうなぁ」と妙にリアル。
一人三役のピーター・セラーズを観るための映画だと割り切ればすこぶる面白いけど、今観る人はピーター・セラーズも知らないし、一人三役にも当然気付かないし、案外シリアスな物語として受け止めちゃうんだろうなぁと感じた。
星は3つ。★★★
昔見たときも今見ても、記憶に残るのはストレンジラブ博士の右腕だけである(笑)。
アレは卑怯だよw

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マグノリア [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [DVD]
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ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


上田慎一郎監督が選ぶオールタイムベスト10シリーズ。
今回は、もう19年前の映画となる「マグノリア」。
僕はこの映画は30歳過ぎの時に見て、正直言うと「なんじゃこりゃ」と思った。
ネタバレになるけど、もう19年も前の映画だからいいか(笑)
……カエルだよ、カエル。
……最後、空からカエルが降ってくるよく分からないシュールな映画、みたいな印象を持っていた。
その映画を50歳になった今、再び鑑賞。
その感想。

いや、ちょっと待て。
これとんでもない名作なんじゃないの。
30歳そこそこの自分には分からなかった感情が揺さぶられ、中盤から自分でもよく分からず涙がポロポロこぼれた。
映画はそれを観るときのその人の人生、年齢など、さまざまな要因で受け止め方が変わる。
30歳そこそこでノリノリだった若き日の自分にはただのシュールな映画と受け止めるしかなかった映画が、人生の峠を越えた50歳で観たらこんなに違う印象になるとは。
星5つ。★★★★★
とんでもない傑作です。
こんな名作が日本ではBlu-ray未発売ってヤバいだろ。
今すぐ発売しろ。
版元どこだか知らないけど。
いやこれはヤバいね。
出ている役者が全員神演技を見せている。
トム・クルーズとか死ぬほどいい。
傑作。

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アパートの鍵貸します [Blu-ray]
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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


上田慎一郎監督が選ぶオールタイムベスト10シリーズ。
1960年のアカデミー作品賞受賞作「アパートの鍵貸します」。
昔観たような気がするが映画の中身は全く忘れていた。
久しぶりに観たその感想。

これは若いときに観ても分かんなかったんだろうなぁ。
素晴らしい脚本。
ジャック・レモン演じる主人公のなんとも言えない等身大の小物感が素晴らしく共感を呼ぶ。
そして最高なのはとにかくラストシーン。
そこまでクスクス笑うような映画だったのに、あのラストシーンのシャーリー・マクレーンの最後のセリフ一発で突然泣けた。
この脚本のセンスは素晴らしいし、昔の映画ってこういうところ洒落てるよねって思う。
素晴らしい映画だった。
星4つ半。★★★★1/2

60年前でも今とやっていることは変わらない。
不倫は文化だね、人類のw。

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CURE [DVD]
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KADOKAWA / 角川書店


上田慎一郎監督が選ぶオールタイムベスト10シリーズ。
黒沢清監督の「CURE キュア」を見た。
その感想。

ミステリーホラーなんだけど、まず見終わったときは「哭声」を思い出したなぁ。
あの映画と同じく完璧な解などないのだろう。
この手の映画(答え出ない系サスペンス)をどれだけ評価出来るかはもう好き嫌いだと思うけど、僕的にはとても面白く観た。
星3つ半。★★★1/2

前半はロジカルな組み立てなのでとても面白い。
謎の男と接触した人物が、突然殺人を犯す。
そして必ず死体の首筋をナイフで×印に切りつける。
さぁ、なんで……というところまではとても面白い。
ところが中盤ぐらいで刑事と犯人が色濃く絡むようになってきたあたりから、ロジカルな編集を捨て、どんどんエモーショナル編集になっていき、フラッシュバックは起きるし、妄想の映像化が突然挿入されるし、とにかく映画の後半に行けば行くほど説明なさ過ぎ&脈絡なしで放り込まれるシーンの連発で意味不明になっていくので、そういう映画が嫌いな人はやめたほうがいい。
まぁでも結局言いたいことは伝わるんだけどね感覚的に。
それが映像という芸術のすごいところだな。

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ミッドナイト・ラン ユニバーサル 思い出の復刻版 ブルーレイ [Blu-ray]
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NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン


上田慎一郎監督が選ぶオールタイムベスト10シリーズ。
こちらはロバート・デ・ニーロのアクションコメディ。
僕は初見。
その感想。

ロードムービーで、バディもので、アクションありコメディ要素ありとなかなか楽しめた。
事件を解決してはい終わり、悪役を倒してはい終わりという映画ではなく、正義のために人生の負を背負ってしまった男2人が出会い、その2人が友情関係を構築していく過程がストーリーの主軸になっているところとか、見終わったとき爽快な気分にしてくれるところなど、非常に「スティング」的な映画だと思った(あんなどんでん返しものではないがw)
星3つ。★★★
僕はこれをオールタイムベスト10に入れようとは1ミリも思わないが、それは趣味嗜好だろう。
ロバート・デ・ニーロ本人が、自分史上一番の映画だと言っているらしい。
あの「タクシードライバー」を差し置いてだ。
まぁ、好きな人にはたまらないロードムービーなのだろう。

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愛のむきだし [Blu-ray]
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アミューズソフトエンタテインメント


「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督が、オールタイムベスト10の1本に挙げていた本作。
上映時間が4時間もあって長すぎるため、ずっと観ずに敬遠していた。
しかし、「カメ止め」の監督がそんなに推すなら観ざるを得まい。
というわけで、2日間に渡って観賞。
その感想。

こりゃスゲーわ。
なんかもうスゲーわ。
AAAの西島くんが主演なんだけど、パンチラを盗撮しまくって、満島ひかりのパンチラを見たときだけ勃起するという大役。
そして満島ひかりはガンガン男たちを殴り倒しながらパンチラし、さらに全編に渡ってパンチラしまくる大役。
さらに安藤サクラもパンチラしつつ、満島ひかりとのキスを決め、さらに血まみれの大役。
……と書いてしまうと頭のおかしい映画だが、確かに頭がおかしい(笑)。
だがタイトルが示す通り、その愛のむき出しっぷりは凄まじく、園子温監督の最高傑作の呼び声高いのも頷ける。
もうなんというか、頭がおかしい正真正銘の愛のむきだし映画だ。
満島ひかりの魅力が大爆発。
AAA西島くんも素晴らしい。
いやぁ〜最高。
星4つ半。★★★★1/2

この先、上田慎一郎監督のオールタイムベスト10の映画リストの中から、まだ観ていない映画、見たけど覚えてない映画を順に見ていくことになる。
「カメ止め」を作った監督の才能を培った映画を勉強したいのだ。

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トム・クルーズの雄姿を観に、公開初日に観てきました。
シリーズ第6弾。
トム・クルーズが全てのスタントを自らやり、アメリカではシリーズ最高のヒット。
その感想。

普通以上に面白いです。
星3つ。★★★
やはりトム・クルーズが自らスタントをし、ヘリの免許を取って自分で運転しているのかと思って観ると、スゲーっす。
トム、お前すげーよ!って映画。
トムお前56歳でこれはすげーよ!
まさにトムを観るための映画。
全米大ヒットもうなずける。

ストーリーの方は、誰が良い者で誰が悪者なのかぜんぜん分からないし、戸田奈津子の字幕のせいで誰がなんて名前なのか固有名詞が全然入ってこないし、もうメチャクチャ混乱します。
ストーリーが余りにも追いにくいため、そこで心折れた観客がたくさんいたようで、エンドクレジット始まった途端、たくさんの観客がしかめっ面で劇場をあとにしていきました(笑)。
半分は、戸田奈津子の字幕のせい。
半分は、脚本を作らずにまずトムがやりたいスタントシーンから撮り始め、撮影したスタントシーンに脚本を後付けしたという手法にあるかな。
そうなんすよこの映画、まずアクションシーンを撮って、あとで脚本作るという無茶してるんです。
だから予告編に出てきたアクションシーンが丸ごと本編になかったりします。
脚本を後付けで作っているせいかストーリーがごちゃごちゃで複雑で、映画の途中、誰がなんて名前でどこに所属していて結局いい奴なのか悪い奴なのかが判然としないんですよ。
最後まで観たら、なんとなく分かるんだけれど、時すでに遅しだよね。

ただ、アクションシーンは凄いです。
トムが命がけでジャンプして足骨折し、バイクに乗り、ヘリを操縦し、スカイダイビングして、ロッククライミングします。
それだけでなんかスゴイものを観たような気持ちになるという素晴らしい娯楽作でした。

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予算300万のとんでもない傑作「カメラを止めるな!」
この映画についてこのブログに書くのは2度目になる。
前回の記事のあと、さらに渋谷と川崎で1回ずつ合計3回観て、この映画が「日本映画史上屈指の超傑作である」という確信に至った。

この映画を細かく因数分解していった結果、ダメな部分が「低予算に起因するチープさ」以外にひとつもないことを確認した。
つまり、いかんともしがたい物理的要因以外、この映画のマイナス部分はひとつもない。
まさに奇跡的な大傑作だ。
クチコミ効果で多くの観客が今映画館に押しかけていて、みんな「面白い」「笑った」「最高」などと述べていて、その状況だけでもう素晴らしいのだが、この映画の本当の価値を世の映画評論家たちはそろそろ本気で分析し、語り始めるべきではないだろうか。

いったい何がすごいのか?
ネットを始めさまざまなメディアで今いろんな人がいろいろと分析し始めている。
どれも納得の意見だし、僕も「ウンウン」と頷きながら読んだり聞いたりしている。
誰が観ても面白い、楽しい、感動出来るというエンターテイメントとしてあまりにも素晴らしい作品であるという厳然たる事実。
素晴らしい脚本、構成、アイディア、どれも的を射ている。
世界中で通用するであろう大傑作であることは間違いない。
僕はこの映画、もっともっと拡大していくし、世界中でこの先もっともっと評価されていくだろうと予言する。
そのぐらいこの映画は映画に革命を起こしている作品だと思う。

いったい何がすごいのか?
これは僕のあくまで個人的な意見だ。
正しいか正しくないかなんて分からない。
ただ、最初に観たときに僕はこの映画に「普通の映画とは明らかに違うなにか」を感じた。
「なにか」が宿っているという感じ。
「なにか」が普通の映画と違う。
実はその正体こそ、この映画の持つ革新部分の「核」だと思う。
そして僕はそれを「映画の既成概念からの逸脱とその共有」ではないかと思う。

映画とは、「虚構」だ。
1年間に世界でどれだけの数の映画が作られるのか知らない。
とんでもない数であることは間違いないだろう。
だけれど、世界中で無数に作られる映画の全ては、映画である以上、「虚構」である。
「虚構」は「作り話」と言い換えてもいいだろう。
観客は映画館に映画を見に行くとき、映画の作り手の語る「作り話」に(無意識に)身を委ねようと映画館に足を運んでいる。
映画という「大ウソ」に約2時間の間、「お付き合いする」ことを許容し、それに金を払い、映画を観ることで現実を忘れ、決して自分の人生では味わえない冒険やラブロマンスを体験し、恐怖や感動を味わい、ひとときの異次元空間にトリップする。
それが普通の「映画」だ。
映画とは、ウソだという前提を観客全員が共有し、それを楽しむ娯楽だ。

だがこの「カメラを止めるな!」は、「虚構」を飛び越えている。
それは何か?
計算され尽くし、プロの映画マンたちがプロの技術を作って緻密に作り上げてきた「(しょせん)虚構」に過ぎないあまたの映画とは違い、「カメラを止めるな!」で我々が観た冒頭37分のワンカットゾンビ映画は、その撮影を成功させた映画スタッフや役者たちが実際に「汗をかき」一発勝負の緊張感の中、「なしえた奇跡の成功」を画面の中に記録し、撮影現場の彼らの情熱をも画面の中に封じ込めたものになっているからだ。
つまり、「虚構」だったはずの映画が、「虚構」を飛び越え、現実のドキュメントとして立ち上がっているのがこの映画の第1幕なのだ。
それは「映画の映画」を作ったことによって図らずももたらされたのかも知れない。
そもそも映画の製作者は観客に対して大ウソをつき、観客は製作者に大ウソを見せられている……というのが今までの映画の概念だったが、映画を映画にしたことでその概念を飛び越え、ウソではない本物の努力のたまもの(としての映像)をこの映画の観客はまず冒頭に見せられ、そして観客はそれを本能的に本物だと感じ取る構造が立ち上がった。
そこに観客は「虚構」ではない「リアルの息吹」を感じ取る結果となる。
映画が現実世界とリンクし、映画の熱い作成過程を体感させられ、まるで自分たちが作った作品のような熱量を受け取り、この映画のスタッフ演者たちのサクセスストーリーをも映画の一部かのように共有する。
映画の冒頭の37分間で、「虚構」ではない努力の結晶をその情熱とともに観客が受け取るからこそ、その後の2幕、3幕で描かれる1幕目の伏線回収に、「虚構」にすぎなかったかつての映画では決して感じえない「本物のドキュメント」と「その裏側」を見たような一種の快感を覚えるのだ。

「虚構」をできるだけスマートな「虚構」として作り、その「虚構」の枠の中でいかに観客にリアリティを感じさせるかで今までの映画は戦ってきた。
だが、その既存の方程式を飛び越え、「虚構」ではない本物の血と汗と涙、スタッフたちの苦悩と努力を、この「カメラを止めるな!」という映画はストーリーのベースに敷いている。
それこそが観客たちを、今まで観たことのない興奮と爆笑と感動にいざなう発明装置となっているのではないか?
虚構である映画にリアルを持ち込んだ。
それは低予算という枷によりたまたま起きた偶然かも知れない。
だが、虚構にリアルを持ち込み、それをまず第1幕で打ち出し、その熱量をベースにその後この映画は最後まで突っ走った。
それこそ、あまたの他の映画と一線を画するこの映画の特殊な部分だと思う。
革新の核だと思う。
だから僕はこの映画を、映画に革命を起こした歴史に残る傑作だと思う。
シルベスタ・スタローンの「ロッキー」にいちばん似ているのかも知れない。
売れない役者だったスタローンが人生を賭け、一か八かで自ら脚本を書き、映画会社に売り込み、低予算を獲得し、そして自らの肉体を極限まで鍛え上げ酷使して作り上げた「ロッキー」の第1作。
あの映画の中で、リング上で戦っているロッキーは、「虚構」の映画の中のロッキーである以上に、現実世界のスタローン本人だった。
映画のシーンとはいえスタローンは全力で走り、全力で筋肉トレーニングし、地獄のような腹筋や腕立てをカメラ前で何度も行い、リング上で本気でアポロと殴り合った。
そしてそんな「虚構を越えたリアルな」姿を投影した作品こそ「ロッキー」という大ヒット映画だった。
あの映画も、「虚構」である映画の概念を逸脱し、観客がそこにリアル世界のスタローンの熱量を感じ取った作品だった。
それと同じなのではないかと思う。

この映画が持つなんとも言えないグルーブ感、客席の一体感。
この映画を作ったスタッフ、出ている役者たちに対して観客が思わず抱いてしまう愛おしさ。
愛すべき映画に出会ったという確信。
それら今起こっている現象全ての核は、この映画が「映画は虚構である」という今までの常識を飛び越え、「映画なのに現実世界の汗を感じる」という領域に至ったからなのだと、僕は思う。

あと何回観に行くのか分からない。
もっともっと評判になり、スーパー大ヒットして欲しい。
我が子のように応援している。
目指せ100億突破!
目指せアカデミー賞。
……本気である。

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ジュマンジ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


ついでにオリジナルを観てみた。
もう何年ぶりだろう。
僕はこの映画が当時とても好きだったんだけれど、世間の評価はそうでもなかった気がする。
その感想。

うん、名作。
星2つ半。★★1/2
確かにかったるいし、CGはちゃちいんだけど、やってることは「ウェルカム・トゥ・ジャングル」と変わらない。
むしろ全編架空のジュマンジ世界の中で展開するあっちより、現実世界にジャングルの生き物たちが出現して暴れまくる今作の方が緊迫感でいうと切実だ。
リメイク版は現代の映画のテンポと、現代のCG技術によって素晴らしい娯楽作になっていたが、この1995年のジュマンジもなかなか頑張っている。
ロビン・ウイリアムス(合掌)の素晴らしい演技。
のちに「スパイダーマン」のヒロイン役となり、ブスなヒロインの代表格となってしまったキルスティン・ダンストは、子役として熱演している。
リメイクなんだけど、続編としても繋がっているこの1995年の「ジュマンジ」と2018年の「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」は、順番に観るとより面白いかも知れない。
もちろん1995年版を先に。

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