今回の冤罪事件。
本当にひどい。
17年間服役していた彼には心から同情する。
警察や検察に対する怒りも当然だ。
警察、検察、裁判官は、きちんと謝罪するのはもちろん、冤罪を生んだ経緯を徹底調査し、再発防止と自浄の努力をし、彼から奪った17年間の保証と穴埋めをすべきだろう。
それは、そうなのだが……
どうも納得いかない点がある。
彼自身や彼を支援してきた弁護団は、声高に「警察は許せない、検察は許せない、謝罪せよ」と繰り返している。
マスコミ各社の取材を受け、そこで警察や検察に対する批判を繰り返している。
そして、マスコミも同情論一色だ。
だが、本来いちばんに考えられるべきは、20年近く前、幼い子供を何者かに殺された被害者ではないのか。
真犯人を逮捕起訴できなかった警察と検察の責任はもちろん重い。
だが、いかなる状況とはいえ虚偽の自白をしてしまったことで、真犯人逮捕の可能性を遠ざけてしまった「責任」についても、彼や彼の弁護団は言及すべきでは?
虚偽の自白をしてしまった本当の理由は分からない。
拷問はなかったと信じるが、長時間の取り調べによる精神的圧迫、苦痛、そして彼自身の心の弱さ、もうどうなってもいいやという厭世観など、虚偽の自白をしてしまった理由はいろいろあるだろう。
ただ、たとえ強要されたものだったとしても、自白してしまったことで真犯人を取り逃がしてしまった彼自身の「責任」についても、そこはやはり少なからず言及すべきではないか?
そして同時に「真犯人は名乗り出よ」「ぜひとも逮捕を」「時効制度撤廃を」など、被害者救済についてもきちんと言及すべきではないか?
決して「警察が悪い」「検察が悪い」「許せない」一辺倒では片付けられないと思う。
無垢で幼い子供の命が最初に奪われているのは事実。
そして、その卑劣な真犯人がどこか別にいるのも事実なのだ。
奪われた17年間に対する恨みつらみは分かる。
だが彼には、事件被害者の気持ちまで背負った上で、冤罪撲滅のために活動していってほしいと僕は思うのだ。
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