そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





今年度アカデミー賞に恐らくノミネートされるだろう、マーティン・スコセッシ監督のNetflix映画。
ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノとジョー・ペシがギャング物で初共演。
顔ぶれの豪華さだけで「見るべき」映画なのだが、評判も高い。
早速Netflixで見てみた。
その感想。

これはね、凄い。
けど、ちょっと長い。
3時間半ある。
アメリカの近代史を下敷きにしているので、基礎知識がないと若干置いて行かれるところもある。
ケネディ暗殺や、ウォーターゲート事件は知っていても、全米トラック運転手組合の会長ジミー・ホッファ失踪事件は知らないだろう。
トラック運転手組合の会長が、そもそもなぜそこまでとんでもない権力者だったのか日本人にはピンと来ない上に、1975年に彼が謎の失踪を遂げたこの事件がアメリカの近代にどれだけの影響を与えたか日本人は肌感覚で分かりようがない。
だから、この映画は難解だし、アメリカ人ほどきちんと理解出来るものでもないのだろう。
結果、長いと感じちゃったりするのかも知れない。
未だにホッファの死体は出ていないが、その彼を殺したと最近伝記で告白したフランク・シーランという男がこの映画の主人公。
なぜアイルランド移民のフランク・シーランが、ジミー・ホッファを暗殺することになったのか、その過程が何十年間の男と男の物語として描かれている。
星は3つ半。★★★1/2
アカデミー作品賞は獲らないだろう。
もし獲ったらNetflixをハリウッドが映画と認めることになる。
その辺はまだまだセンシティブな問題なので、ノミネートはされるが受賞はないと見る。

デニーロとアル・パチーノ、そしてジョー・ペシの共演は最高。
マフィア物として実にリアルで、殺人シーンとかは映画的な派手さや格好良さがない分、逆に恐ろしい。
銃で人を殺すというのは、ああいう感じで実はあっさりしているのが現実だろう。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )






エピソード9「スカイウォーカーの夜明け」。
「フォースの覚醒」と「最後のジェダイ」でズタボロにされたスター・ウォーズの(一応の)完結作。
もはや期待ゼロ、興奮ゼロ、まったく「無」の状態で公開2日目、品川IMAXで2Dを観てきた。
その感想。

星2つ。★★
あいかわらずの駄作。
一般のライト層はこれ面白いの?
悲しいことに、これで面白いんだろうね。
よく分からない敵と味方が、よく分からない動機で戦い、ひたすら派手なCGアクションは観れて、ライトセーバーでなんだか分からないけど適当な超能力チャンバラを見せられて…… という空虚な2時間半を許容出来るような観客は、それこそマーベル系の映画とかもメッチャ好きで楽しめるんだろう。
そんなライト層には文句はない。
ディズニーはまさにそういうライト層を狙っているのだろう。

スター・ウォーズとして何点かと言えば、100点満点中、2点だ。
映画の間ずーっと「何をやってるんだろうこれは」と思ってたよ。
「なんだこのどうでもいい話は?」って。
100点満点中「フォースの覚醒」が2点、「最後のジェダイ」がマイナス150点、「スカイウォーカーの夜明け」が2点。
ちなみに「新たなる希望」100点、「帝国の逆襲」100点、「ジェダイの帰還」85点、「ファントムメナス」30点、「クローンの攻撃」12点、「シスの復讐」7点。

周りにも「感動した」「泣いた」とか言ってる友人がいるが、いやいや騙されちゃダメだから!
なに、ヤラレちゃってんだよ?
レイプされてるのに気持ちいいって言っちゃってるようなもんだ。
「フォースの覚醒」と「最後のジェダイ」で暴力振るわれて、ボコボコに殴られて、その結果、ちょっと優しくされただけで「やっぱりこの人いい人だ!愛してる!」ってなっちゃうドメスティックバイオレンスあるあると同じ構造で、みんなヤラレちゃってるんだよ。
騙されちゃあいかぁぁぁぁーーーーーん!

以下ネタバレでこの映画のバカな部分に文句を書く。
ちなみに一度しか観ていないので記憶違いがあったらスマン。




















だいたいタイトルからしてウソなんだもの。
これのどこが「スカイウォーカーの夜明け」なのか?
血筋絶えたじゃねぇか。
レンとレイ、光と闇が結ばれて「スカイウォーカーの夜明け」なら分かるが、レンが死んだら「スカイウォーカーの終焉」だよ。
バカじゃないのか。

相変わらず、最近のハリウッド映画のクセでもある、物語にツイストを生みたいがための刹那刹那の意味のない裏切り脚本。
チューイが死んだかと思ったら、すぐ生きてると判明。
3POはシスの言葉が話せないから他の方法探したあげく、結局3POから聞き出す。
3POの記憶が消えたかと思ったら、すぐ元通り。
もうナイフは必要ないと思ったら、やっばり要ると言い出す。
そういう、本来なくてもいい逡巡が延々と続く「バカなのかお前」と言いたくなる醜悪な脚本。

そしてフリもなく出てくるさまざまな新設定。
皇帝がらみはもうメチャクチャ。
誰も知らない星系であれだけの戦艦軍をどうやって建設したのか?
誰にも説明出来ないぐらい意味が分からない。
ファーストオーダーからのファイナルオーダーという中2が考えたみたいな設定。
お前は居酒屋なのか?
ラストオーター取りに来てるのかよ?
映画史上初めて「スパイが自らスパイだと名乗るシーン」が爆誕。
しかもすぐばれて殺される。
もうあり得ないぐらい酷い。

フォースのガハガバ設定。
前作「最後のジェダイ」の犯した最大の罪を引きずり、今回も旧作を度外視したフォースの使われ方のオンパレード。
飛んでいく宇宙船をフォースで止める。
それが出来たら今までどれほど苦労しなかったか?
「ローグワン」のラストで、逃げていくタンティブⅣをヴェイダーはフォースで止めれば良かったんじゃねーの?
霊体になったルークが海中のX-wingを持ち上げる。
霊体になってそんなこと出来るんだったら、ジェダイは死んだ後霊体になって戦えば最強じゃね?
ケガを癒す、死者を蘇らせる。
あんなヘビの化け物のケガ治すぐらいなら、今まで何人の命救えたよ?
皇帝の電撃がレジスタンスの宇宙船たちを落下させる。
あんなパワーがあるなら、あれで第2デススターを攻撃してきた反乱軍、壊滅させられたんじゃねーの?

書いてて腹立ってきたのでこの辺で。

ウェッジが出てきた!とか、
ハンが出てきた!とか、
チューイにメダルが贈られた!とか、
そういうファンサービスにころころ騙されちゃあいかんよ、いかん。
毎晩のように殴ってくる暴力亭主がたまにケーキかなんか買ってきて優しくしてくれるから「やっぱ好き〜〜」ってなっちゃうような状態に、古参のファンは陥らないように注意して、ダメなものはダメなのだと声を上げていこう。
相手は中2なのだ。
こっちも中2レベルで感動してどうする?

死ぬほど頭の悪い映画です。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )






大ヒット作の続編。
前作の感想はこのブログには書いていないようだが、僕の前作の評価は星3つだった。★★★
ミュージカル映画として音楽が最高にいい上に、映像表現の素晴らしさは格別(画質、動き、カット割り、アイディアなど全て)、そして、ディズニー伝統のお姫様ストーリーの殻を破った点など、納得の名作だと思う。
そんな名作の6年ぶりの続編。
さぁ、果たして?
二子玉IMAX字幕バージョンで見てきた。
その感想。

今回は星3つ半。★★★1/2
さらに名作。
あらゆる面でハリウッドディズニーの底力を見せつけられ、圧倒された。
そして前作を越えてきていると思う。
前作が「子供にも楽しめる音楽がメチャいいおとぎ話』だとすれば、今回は「問題定義を含んだ大人の機微にも触れる神話」なのだ。

何がすごいか。
まずは映像表現だ。
前作以上にきめ細やかで実写と見まごうばかりのCG表現と生き生きとしたキャラクター演出。
それに加え、ひとつひとつのカットの画角、構図、カメラワークなどがもう凄すぎて、日本を始めとしたその他の国のCG映画が20年ぐらい遅れて感じる。
とにかくワンカットワンカットに賭ける情熱というかエネルギー量が半端なくて、もう芸術の域に達している。
とにかく映像が凄い。
そして音楽。
前作の「♪レリゴー」が名曲すぎたので、そこまでキャッチーな曲がない今回は全体に物足りなく感じる人も多いと思うが、いやいやそうは言っても素晴らしい曲揃いだし、やはりディズニーミュージカルの底力は健在。
いやむしろ、よく聞くと前作よりも楽曲の使われ方、映像との一体感は上ではないかという素晴らしい仕上がり。
つまり音楽も前回並に凄い。
そして、だ。
今回は物語が実に味わい深いものになっている。
前作は言っても、FROZENの力を持った雪の女王エルサの自己肯定の旅路を、妹アナとの姉妹愛に帰結させるという、実は「狭いおとぎ語」でしかなかった。
ところが今回は、雪の女王エルサの誕生の秘密を解き明かす過程に、人類が繰り広げてきた少数民族弾圧の歴史や、神や自然との向き合い方(今回は精霊とダム建設という自然破壊行為)にまで物語を広げ、個の話から社会の話に大きく転換してきた。
これは前作の続編と言うより、さらに世界観に深みを増すエピソード0的な位置づけとも取れ、バカみたいにとってつけたストーリーの続編を作らず原点の再構築をやってきた制作陣の真摯な視点が本当に素晴らしいと思う。
もちろん話を広げた分、若干説明不足で難解でご都合主義で、観客を置き去りにしていく部分も確かにある。
今回の映画、気に入らない人はそういう感じだろう。
よく分かんないよ。
難しいよ。
音楽良くないよ。
……そんな感じで。
しかし、それでもなんとなく理解出来るようギリギリの説明は果たしており、逆に説明が少ない分、物語の神話性とミステリ性を増す効果が出ているとも言える。
分かりやすすぎる物語は何度も何度も観賞に耐えない。
しかし少し難解な物語は何度も何度も楽しめる。
そういう側面もある。

というわけで「アナと雪の女王2」はなかなか素晴らしい映画なのだ。
前作を観返してから見に行くことをオススメします。
細かい部分で相当前作が前フリになっているので。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )






猫が死んだ。

名前はポロ。
雑種の男の子。
糖尿病とその合併症で肝炎や口内炎などを起こし、容態が悪くなってから1週間ぐらいで死んでしまった。
7歳7ヶ月の短い生涯だった。

そもそもポロは、フォルクスワーゲンの販売をしていた知り合いの女性が連れてきた。
「顧客の愛車の中から『ミャアミャア』と声がするのでサービス工場でエンジンルームを車の下から点検したところ子猫が1匹入っているのを発見したの」と。
エンジンルームに迷い込んだままその車は何と何十キロも走っていたという。
そんな不憫な子猫を、当時猫を2匹飼っていた僕のところで預かれないかと彼女は相談してきたのだ。
とてもぶさいくな子猫だったけど、奇跡的に命が助かったその子猫を僕は引き取ることにした。
彼が発見された車の車種が、フォルクスワーゲンの「ポロ」だった。
だから彼はポロという名前になった。

先住猫2匹がいたのに、臆することなくのびのび育ち、ポロはいつの間にか3匹の中で一番強い猫になった。
そして、僕に一番なついて、家のどこにいても僕のそばについて回るのもポロだった。
トイレに入ったとき。
風呂に入ったとき。
仕事場で原稿を書いているとき。
寝るとき。
いつもポロが僕のそばにいた。
朝はいつもポロに起こされた。
だから僕はこの数年早起きになった。
いつも朝の7時頃にはおなかを空かせたポロが僕の耳元で鳴き始めるからだ。
もうその鳴き声は聞こえない。
だから僕はここ数日、少しだけ朝寝坊になった。

ポロが急に具合が悪くなった理由には、新しくやってきた子猫2匹の存在もあるかも知れない。
保護猫の子猫2匹を引き取ることになり、その子たちが家にやってきた前後からポロは食欲が落ち、口内炎を発症した。
おそらく子猫が来たストレスが彼の命を縮める一因になってしまったんだと思う。
本当に申し訳ない。
もっと早く動物病院に連れていけば……
もっと早くきちんと血液検査をしていれば……
そしてもう1日でも早く一生続く糖尿病のインスリン注射治療を受け入れる覚悟を決めることが出来ていれば……
そうすればポロは死なずに済んだかも知れない。
でも僕は1日、毎日永久にインスリン注射を続ける治療を続けていく覚悟が持てず、彼を放置してしまった。
ひと晩考えた翌日、医師に糖尿病治療をしたいと告げたけど、そのときポロはもう体温が34℃台に落ちていて、間に合わなかった。
そして、入院して2日弱で死んだ。
後悔だけが残った。
僕の後悔は今後も一生ついて回るだろう。
1日、治療の覚悟を先送りにしたことでポロは7歳7ヶ月という短い命しか全う出来なかった。
本当に、ごめん。
このことを考えると今でも涙が出る。

ポロが死んだのは2019年11月30日の夜。
12月2日の夜、火葬してもらった。
ちいさな骨壺に入ってポロは家に帰ってきた。
僕の家では今、11歳を超える猫2匹と、まだ生後3月の子猫2匹が遊び回っている。
今度、この猫の中の誰かが病気をしたときは、適切で悔いのないな対応をしよう。
一度愛猫を亡くすという経験で僕はそれを学んだ。

ポロ、ありがとう。
天国で安らかに。
7歳で逝かせてしまって本当にゴメン。
お前がいなくなって僕は本当に淋しいよ。
ありがとう。
毎朝起こしてくれて。



コメント ( 0 ) | Trackback ( )






40年ぶりに「シャイニング」の続編が登場。
大きくなったダニーをユアン・マクレガーが演じる。
「シャイニング」大好き人間としては見逃せない1作と言うことで、早速観てきた。
その感想。

これはねー、惜しい!
星は2つ半。★★1/2
普通。
普通に終わっちゃって、実に残念!

というのもミーハーな僕みたいな観客の期待はなんと言っても「超名作シャイニングのあの世界の続きをいかにもう一度見せてくれるか」にあって、そこが最低限きちんと担保されていないとどうしても評価が下がっちゃうの。
つまり何を期待していたかというと「あの山の上ホテルの恐怖をもう一度」という点と、ジャック・ニコルソンの怪演をもう一度観たい、という点。
この2点にどこかで僕は期待しちゃってたわけで、映画全体の評価にこの2点が大きく作用してしまったのだよ。
つまり、ここからはネタバレになるからまだ観ていない人は読まないで欲しいが、今回の「ドクタースリープ」はこと続編という観点で見ると「シャイニング」の要素の描き方がどうも浅いっていかないがしろっていうか中途半端なのよ。
具体的に言うと、ジャック・ニコルソンが演じたジャック、そして子役だったダニー、その母親のウェンディ、この3人が再び出てくるんだけど、なんと、なんとだよ、全部「少し似ている別の俳優が演じてる」のだよ。
いやいやいや、あんたら「ローグワン」のターキン総督やレイア姫を見たのかよ?
「ブレードランナー2049」のレイチェルを見たのかよ?
「ターミネーター・ニューフェイト」のジョン・コナーを見たのかよ?
今の時代、CGで過去の俳優の顔なんていくらでも再現出来るじゃん。
使いどころはここだよ、ここ!
俺たちゃぁジャック・ニコルソンが見たかったんだよ。
ニセモノは見たくないんだよ!(ていうか、そのそっくりさん俳優がまさかの「E.T.」でエリオット少年を演じたヘンリー・トーマスという……w)
ウェンディもダニーも似てるけどやっぱ違う人なんだよ!
そーじゃないんだよ。
さらにあのホテルに巣食う悪霊たちも昔のフィルムを使わずに新撮してるんだけど、双子も、頭から血流してるオッサンも、浴槽で腐ってるババアも全部、全然オリジナルの「シャイニング」とは似てないのよ。
これじゃあファンは醒めちゃうっての。
これは「ハン・ソロストーリー」みたいなもんよ。
あんなのハン・ソロじゃねーよって、スター・ウォーズファンはみんな反発したわけ。
そういう失敗をしているの。
そこが本当に残念だった。

それ以外の、普通の「シャイニング」続編としてのストーリーとか役者の演技とか演出とかは「まぁこんなもんか」という感じで文句ない。
ただひたすら昔の「シャイニング」のまんまの人たちがそのままのビジュアルで出て来ないという点にて、残念だった作品。
惜しい。

コメント ( 0 ) | Trackback ( )