三船敏郎と石原裕次郎が共演し、黒部ダム建設の紆余曲折を描いたスペクタクル作品が、初ソフト化された。
なんでも石原裕次郎が「大きなスクリーンで観て欲しい」との理由でソフト化に反対していた、というのが今までソフトが出なかった理由らしい。
超大物二人の共演作ということで、興味を持ったので鑑賞してみた。
その感想なのだが……
金が莫大にかかっている感がハンパない。
北アルプスでトンネル掘ったら破砕帯にぶつかり、苦労の末に突破する……ある年代以上の日本人なら誰もが知っているあのお馴染みの実話を描いているため、トンネルの掘削シーンの大掛かりな撮影はすごい。
三船敏郎と石原裕次郎が水びたしのびっちゃんびっちゃんになりながら熱演している。
スゴイ。
まぁスゴイといえばスゴイのだ。
だが、映画としては完全に破綻している。
これ、この監督のクセなんだと思うのだが、映画全体的にいろいろと気になる「ちぐはぐ感」がハンパない。
意味の分からないリフレイン編集、わけの分からない緊張感を削ぐ音楽、あえて人物をアップでずっと映し続ける変なカメラワーク、これ要らないだろという挿話、こいつ誰なんだよというサブキャラ、とりあえず大物俳優たくさん出しとけばいいだろ的な脚本、とにかくツッコミどころが次から次へと出てきて、三船敏郎と石原裕次郎の熱演すらところどころ薄ら寒くなり、最後の最後には石原裕次郎と三船敏郎がまさかのラストシーンでまさかのセリフをしゃべり、「それで終わりかいっ」と思わずツッコんだところで、「終」が出た。
ひどい。
こんなにひどい日本映画は久々に見たかも知れない。
金がかかっていて、俳優陣も豪華至極なのに、これはない。
今までDVD化されなかったわけだ。
日本映画史に残る恥部なのではないか?
映画の冒頭、雪山を調査していた男が崖で足を滑らせ、滑落して死ぬシーンがある。
だが、落ちていくものが完全な人形なのだ。
どうみても人間ではなく、人形感100%のものが落ちていく過程をカメラがずっと追うのだ。
あんなに完全な人形感が出ている落下物を延々と映したカットを平気で使うこの監督の感性にいやな予感がしたのだが、そのまま最後まで見続けてしまった。
あそこでやめておけば良かったのだ。
そうすれば石原裕次郎と三船敏郎が映画の最後であんな間抜けなセリフを吐くのを聞かずにすんだのに。
星1つ。★
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