そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない



キャロル [Blu-ray]
ケイト・ブランシェット
KADOKAWA / 角川書店


2016年キネマ旬報ベストテンで外国映画ベストテンの2位に入った作品。
その感想。

僕的にはピンと来ず。
いい映画なんだろうと思うんだけど、致命的に面白くないんだよね。
最初まったく面白くなくて、ジワジワ面白くなってくるのかなぁ〜と思っていたら、そんなに面白くなくて、そのまま終わるという。
要するに女性の同性愛の話なんだけど、非常にお上品というか、物語に深みはあるんだけどおとなしいというか。
ずっとジワジワしたまま終わるので、正直言ってこれがキネ旬2位かよという思いもある。
まぁ1位が「ハドソン川の奇跡」なので、うんよく分からないのだが(笑)。
星2つ半。★★1/2

ケイト・ブランシェットってすごい筋肉質だよね。
背中が男らしいのよね。

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エクス・マキナ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
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NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン


ヤバイ!
傑作発見!
昨年度米国アカデミー賞で大本命「フォースの覚醒」を差し置いて最優秀視覚効果賞を獲得した作品「エクスマキナ」。
こいつぁ大傑作だった。

A.I.の話だ。
A.I.つまり人間以上の人工知能を有したロボットがもし作られたらどうなるかという話。
これはねぇ、たぶん人類の未来を予言する映画になる気がする。
「ターミネーター」もそうだったけど、人工知能が人間同等の知能を身につけたら、そりゃこうなるよ。
いちばんの邪魔ものは人間なんだよ。
だからこうなる。
怖い。
でも面白い。

こんな傑作があまりひと目に触れられず映画史の中で葬り去られていくってどうなんだろう?
これは相当スゴイ映画だと思う。
1982年の「ブレードランナー」クラス。
あまりに素晴らしすぎて、少しばかり呆気に取られた。
星4つ。★★★★

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スポットライト 世紀のスクープ[Blu-ray]
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VAP,INC(VAP)(D)


昨年度の米国アカデミー作品賞受賞作。
遅ればせながらBlu-rayで観賞。
その感想。

これは作品賞で異論なし。
素晴らしく重厚な作品だった。
まぁ実話だからズルいんだけど。
それでも演出が素晴らしい。
星は4つ。★★★★
昨年度のアカデミー作品賞は個人的に「マッドマックス」を激押ししていたんだけど、これ観たら納得です。
この映画に作品賞を与えた米国アカデミー会員たちはなかなかたいしたもんだと思いました。
キネマ旬報の年間ベストテンもそうだけど、正しい作品に正しく賞を与えるって大事。
「君の名は。」がキネ旬のベスト10に入らないのもそりゃ当然なわけ。
正しい目で見れば、そうなるの。

いやー、いい映画だった。
まぁ実話なのだが。
結局、実際にこのスクープをものにしたボストングローブの記者たちがいちばんすごい。
カトリック教会って怖いね。
神父の中に小児性愛者ってそんなにいるんだ。
全体の6%だって。
こわいこわい。
ノーマルで良かった自分。

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あなた、その川を渡らないで [DVD]
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ポニーキャニオン


すごく良いと聞いて観てみた。
韓国のドキュメンタリー。
その感想。

まぁそりゃ感動するよ。
76年連れ去った老夫婦の片方が他界するまで。
星3つ。★★★
そりゃ泣く。
そりゃ感動する。
事実なんだもん。
その分、点数は少し差し引いている。

撮影が見事。
この監督、気配をどのように消して撮影しているのか。
2人の老人のごく近くで自然に撮影しているし、音声もきっちり録音できている。
時間をかけて取材対象者に寄り添った結果だろう。

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ズートピア MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


今年の米国アカデミー賞アニメ部門の大本命。
順当ならこれが作品賞で頭角なのだが、今年は「君の名は。」がある(ノミネートはされるだろうと思う)。
で、実際のところ(個人的にはぜんぜん好きじゃないのだが)「君の名は。」がアカデミー賞を獲る可能性もないとは言い切れない。
いや、もしかすると獲るかも知れない。
そのぐらい大本命であるこの「ズートピア」が、実はパンチ不足なのだ。

この映画、ものすごくよく出来ている。
ザ・ディズニーアニメだ。
王道中の王道。
しかも今回は、動物の世界を描いたアニメでありながら、アメリカの人種差別問題や、世界的な移民排斥の動きを根本に流れるテーマにしている。
その辺のテーマ設定も、まったくまともなテーマが内包されていない「君の名は。」に比べれば、まさに作品賞候補にふさわしい。
だから、たぶん獲るだろうとは思う。
でも、なんだか不安だ。
それはなぜか?
ひとことで言えば「パンチ不足」としか言いようがない。

要するに、この手のよく出来たディズニーアニメに飽きているのだ。
僕はもちろんのこと、もしかすると世界中の人々が飽きているかも知れない。
よく出来すぎていて、もう面白みがないのだ。
そりゃよく出来てるんだけれど、なんだか予想の範囲内なのだ。
そうなると、異国のオタクが童貞感丸出しで作った異色でムチャクチャなご都合主義だらけの恋愛ストーリーが、それでも手法が新しいように映ってしまって、万が一にもアカデミー会員たちの票を集めることがあるかも知れない。
もし獲ったら日本のマスコミとか大騒ぎなんだろうな。
まぁ、知ったこっちゃないが。

この「ズートピア」。
点数は星3つ。★★★
繰り返すが、とてもよく出来ている。
出来すぎていて、ある意味つまらない。
面白い面白くないで言えば、僕も「君の名は。」の方が面白かった……今まで見たことがないものを見させられた、という意味ただ一点に於いて。




追記(1月24日)
「君の名は。」はアカデミー賞ノミネートを逃しました。
ほっとしました。
これで「ズートピア」で確定でしょう。

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アリーテ姫 [DVD]
片淵須直
小学館


「この世界の片隅に」の監督・片淵須直氏の2000年の作品。
「マイマイ新子」に続いて観てみた。
その感想。

ポスト宮崎駿はこの人なんだなと分かる。
海外原作もののアニメなので、宮崎駿でいえば「ハウルの動く城」と似た感じ。
ストーリーがやや難解かつ駆け足気味なので中盤少し息切れするのだが、画面の構成やキャラクターの動かし方のテンポが非常に素晴らしいので、ずっと観ていられる。
最後には少しホロリとさせられた。
全体のトーンがなんとなく「魔女の宅急便」に近い。
当初「魔女の宅急便」の監督をやるはずだったのに映画会社の意向で降板させられた片淵須直氏の悔しさがここに現れているのかも知れない。

「この世界の片隅に」や「マイマイ新子」と同じく女性が主人公。
荒唐無稽なファンタジーなんだけど、どこか「この世界の片隅に」に通じる肌感覚を持った映画だった。
星3つ。★★★
原作に興味が出た。
「ハリー・ポッター」なんかよりよほどきちんとした児童文学ではないのか。
調べたら、だいぶ原作とこのアニメでは話が違っているようだ。
原作の主要なエッセンスを抜き出して再構築する手法も、まさにポスト宮崎駿にふさわしい気がしてならない。

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グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)
クリエーター情報なし
中央公論新社


ギャツビーを久々に読んだ。
村上春樹の新訳で。

小説を書くというのは本当に大変な仕事で、僕も何度も挫折したし、一冊書き上げたときは本当に精根尽き果てた。
書いて分かったのは、小説執筆にはなにより持続力が必要と言うことだ。
普通の人には(僕を含めた凡人には)その持続力がそもそも備わっていない。
小説を書くと、最初はいいのだが、次の日、また次の日、百枚、二百枚と進むにつれ、どんどん持続力がもたなくなっていき、ついにはあきらめてしまうのだ。

フィッツジェラルドは偉大な小説家だ。
史上屈指の美文家としても知られる。
だがそれでもやはり持続力と戦ったのだろう。
この「華麗なるギャツビー」を読んでもそれはよく分かる。
最初の数十ページの美文の素晴らしさが、中盤徐々に息切れしてきて、だんだん雑になっていき、それでも何とか持ちこたえ、最後の最後は再び美文ラッシュになる。
最後まで小説を書ききるのにとんでもないエネルギーを使っているのが、見て取れる。
そういうフィッツジェラルドの人間的な部分を感じ取れるのも、時代を超えて読み続けられる小説の素晴らしさの一つだ。
フィッツジェラルドという人間はこの小説の中で永遠に生き続けるのだ。

村上春樹の新訳は、英語で書かれたフィツジェラルドの美文を日本語で出来るだけ再現しようと務めたという。
なるほど、過去に何度か読んだギャツビーとは少し違う気がした。
なんにせよ名作である。

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運命じゃない人 [DVD]
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エイベックス・ピクチャーズ


オススメされて観てみた。
「アフタースクール」の監督、内田けんじ氏の監督2作目。
カンヌ映画祭などで多数の賞を獲得した作品。
その感想。

なるほど、面白い。
「アフタースクール」と物語の構造が非常によく似ている。
というのも、この映画があまりに評判が良いので、「運命じゃない人」みたいな映画をもう一度作ってくれと言われて作ったのが「アフタースクール」らしいのだ。
僕は「アフタースクール」の方を先に見てしまっていたので、この映画の感想が「アフタースクールみたいだな」になってしまったというわけ。
しかし、映画の出来としてはこちらの方が格段に良く感じた。
役者はほぼ無名の人ばかりで、その辺も「アフタースクール」とは比べものにならないのだが、こちらの方がよく出来ている。
いやホント、よく出来ているという言葉がピッタリの映画だ。
星3つ。★★★
素晴らしいんだけど、全体が非常によく出来ているがあまり、物語の落としどころにもっとすごい大オチとか大どんでん返しを期待してしまって、そういう意味では物足りない終わり方に感じてしまった。
だからこの点数。
前半から中盤、そして後半までずっと素晴らしいだけに、オチに対する目線がどんどん上がっていって、結果、少し肩透かし。
まぁ、とはいえよく出来ていた。
この手の映画が好きな人にはたまらないんだろうな。
僕はこの手の何というか「上手にひねりました〜」的なサブカル的というかインディペンデンス的というか小劇団的な日本映画は実はそこまで好きではないこともあって、そこまで高く評価しないのだが。

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今回は完全ネタばれ記事である。
「ローグ・ワン」を未見の人は読まないように。






何かがずっと引っかかっていた。
「ローグ・ワン」のラストシーンがどうしても「エピソード4」と矛盾している気がしていたのだ。
引っかかっている原因は、「ローグ・ワン」のラストで、スカリフ上空の戦域から脱出する「ブロッケードランナー(レイアが乗った船・エピソード4冒頭で捕まる船と同じ)」の船影をヴェイダーはバッチリとその目で見ているのに、「エピソード4」の冒頭で「この船はオルデラーン行きの外交船だ」としらを切るレイアがあまりにも見え透いたウソに見えてしまうので気持ち悪い、この点かな〜と思っていた。
だが違ったのだ。
もっと決定的な矛盾があった。
ついにその原因を突きとめた。
これは海外サイトではもう誰かが指摘しているだろうが、日本ではあまり見ないので、ここにしっかり書いておく。

矛盾は「エピソード4」ののシナリオをきちんと原文で読めば分かる。
「エピソード4」冒頭、ブロッケードランナーに乗り込んだヴェイダーが乗組員を尋問する。

Trooper:トルーパー
The Death Star plans are not in the main computer.
デス・スターの設計図はメイン・コンピュータにはありません。
Vader:ヴェイダー
Where are those transmissions you intercepted? What have you done with those plans?
傍受した通信内容はどこにある?あの設計図はどうしたのだ?
Antilles:アンティリーズ
We intercepted no transmissions. This is a consular ship. We're on a diplomatic mission.
通信の傍受などしていない。この船は外交船だ。我々は外交任務中だ。
Vader:ヴェイダー
If this is a consular ship, where is the ambassador?
外交船だというのなら特使はどこにいる?
Vader:ヴェイダー
Commander, tear this ship apart until you've found those plans! And bring me the passengers! I want them alive!
司令官、設計図が見つかるまでこの船を徹底的に調べ上げろ!そして乗員たちをわしのもとへ連れて来い!生かしたままでだ!

ここで重要なのはtransmissions=通信と何度も繰り返している点だ。
しかも単数形ではなく複数形というところも重要だ。
ヴェイダーは「ローグ・ワン」のラスト、デス・スター設計図のデータファイルを反乱軍兵士が手渡しで味方に渡すところのギリギリまで追い込んでいる(屈指の名シーンだと思う)。
あの状況でヴェイダーが兵士の手にあった設計図に気付かなかったとは考えにくい。
100歩譲って、ここでいうtransmissions=通信は、スカリフの地上から反乱軍旗艦への送信のことを行っているのだ、と取れなくもない(かなり苦しいが)。
だが、たとえヴェイダーが反乱軍兵士の手に持った設計図に気付いていなかったとしても、あるいはtransmissions=通信がスカリフ地上から旗艦への送信を指していたのだとしても、次の会話でやはり矛盾は決定的になる。
続くヴェイダーとレイアの会話だ。

Leia:レイア
Darth Vader. Only you could be so bold. The Imperial Senate will not sit still for this. You've attacked a diplomatic--
ダース・ヴェイダー。乱暴が過ぎるわね。帝国元老院も今度ばかりは黙っていないでしょう。外交船を攻撃するなんて・・・
Vader:ヴェイダー
Don't act so surprised, Your Highness. You weren't on any mercy mission this time. Several transmissions were beamed to this ship by Rebel spies. I want to know what happened to the plans they sent you.
見え透いた芝居はおやめなさい、姫君。今回は慈悲深い任務ではないはずです。反乱軍のスパイがこの船に数度の送信を行いました。彼らの送った設計図がどうなったのかを知りたいのですよ。
Leia:レイア
I don't know what you're talking about. I'm a member of the Imperial Senate on a diplomatic mission to Alderaan.
何を言っているのかさっぱり分かりません。私は帝国元老院の一員としてオルデランへの外交任務に就いているのです。
Vader:ヴェイダー
You are part of the Rebel Alliance and a traitor.
貴様は反乱同盟軍の一員であり反逆者だ。
Vader:ヴェイダー
Take her away!
連れて行け!
Daine:ダイン
Holding her is dangerous. If word gets out, it could generate sympathy for the Rebellion in the Senate.
彼女を拘束するのは危険です。このことが漏れれば元老院が反乱軍支持に傾きかねません。
Vader:ヴェイダー
I have traced the Rebel spies to her. Now she is my only link to finding their secret base.
反乱軍スパイを追跡して彼女にたどりついたのだ。いま彼女はわしにとって秘密基地を見つけるための唯一の手がかりだ。
Daine:ダイン
She'll die before she'll tell you anything.
自白する前に死を選ぶでしょう。
Vader:ヴェイダー
Leave that to me. Send a distress signal, and then inform the Senate that all aboard were killed.
わしに任せろ。遭難信号を送信し、元老院に搭乗者は全員死亡したと報告するのだ。


はい、完全にヴェイダーが言ってます。

Several transmissions were beamed to this ship by Rebel spies
反乱軍のスパイがこの船に数度の送信を行いました。

「数度の送信」を「この船に」と断言している。
ヴェイダー自身が言っている。
設計図を巡る「ローグ・ワン」のラストの経緯と照らし合わせると、このセリフは「Several=数度」もおかしいし、「この船に送信」もおかしい。
完全な矛盾になってしまっている。
さらに付け加えるなら、ヴェイダーのこのセリフ。

I have traced the Rebel spies to her. Now she is my only link to finding their secret base.
反乱軍スパイを追跡して彼女にたどりついたのだ。いま彼女はわしにとって秘密基地を見つけるための唯一の手がかりだ。

「ローグ・ワン」を思い出して欲しい。
ヴェイダーはスパイを追跡して彼女にたどり着いたわけではない。
スカリフの戦闘中に反乱軍の旗艦に乗り込んでバッサバッサ兵士を斬っているうちにたどり着いたのだ。
いや中には、このセリフは長年ヴェイダーがスパイを追跡していてレイアの尻尾をつかんでいた、と解釈できるという人もいるだろう。
だが、そのあとの、

Now she is my only link to finding their secret base.
いま彼女はわしにとって秘密基地を見つけるための唯一の手がかりだ。

これはひどい。
スカリフ上空であんなに大戦闘しておいて、あれだけの反乱軍大艦隊がいろんな手がかり残していっただろうに、レイアだけが秘密基地を見つける手がかりだなんて。
何を言ってるのヴェイダーさんよ、ってことになる。

というわけで、「ローグ・ワン」は最後の最後でかなり重要なミスを犯してしまった。
無理せず、レイアの乗った「ブロッケードランナー」はもっと離れた宙域にいて、数度に分けたデータ送信でデス・スターの設計図を受け取る話にしておけば、こんなことにはならなかったのだ。
実にもったいない。
ホント、詰めが甘いとしか言いようがない。
映画的な面白さを考えているうちに矛盾を生じさせてしまうというありがちなミス。
だから我々長年のディープでコアなファンたちに撮影に入る前にまず脚本をチェックさせろと思うのだ。
本気でちゃんとチェックするのに。
もったいない。
実にもったいない。

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