ある女の子から「健康診断を受けた」と聞いた。
看護士が下手くそだったため、採血のとき、注射針を2回も刺されたらしい。
そりゃお気の毒に、という話だ。
で、思い出したのが、僕が注射嫌いになった理由だ。
あれは小学4年生ぐらいの時だったと思う。
当時岐阜県に住んでいた僕は、ある日、母に連れられ、バスに乗ってちょっと遠くの大型病院に行った。
医師の前に連れて行かれると、僕は両腕のシャツの袖をまくられた。
すると看護婦さんが、僕の腕にマジックペンで、文字を書き始めたのだ。
羊、犬、猫、化繊、ダニ、じゅうたん、畳、etc……
片腕に8つ、両腕で16。
僕の両腕に、いろんな文字が等間隔で並んだ。
僕はいったい何が始まるのかと思っていた。
すると、その直後、信じられない光景が!
銀色のトレーに載って、なんと注射が16本出てきたのだ。
それは、アレルギーの検査だった。
マジックペンで書いた文字の横に、それぞれに対応する注射を射つのだ。
羊のところに、羊の注射。
犬のところに、犬の注射。
猫のところに、猫の注射だ。
僕はこうして16本連続で注射を射たれたのだ。
まだ10歳だ。
たった10歳だぞ。
ああ、なんて可哀想な10歳だったんだ、僕は!
赤く腫れるとそのアレルギーがあると判明するらしい。
だが、そんなこたぁ知ったこっちゃない。
こっちは16本連続注射なのだ。
針で腕を16ヶ所ブスブス刺されたのだ。
軽いパニックだ。
たぶん、泣いたと思う。
いや、泣いたどころか、泣きじゃくったに違いない。
だが、よく覚えていないのだ。
もしかすると、失神したのかも知れない。
こうして、僕は注射嫌いになった。
あんな仕打ちを幼少時代に受ければ、誰でも注射嫌いになるだろう。
今でも注射が嫌いゆえ、風邪ひいたぐらいじゃ絶対医者なんて行ってやらないのだ。
ちなみに、僕にはあと2つ、トラウマがある。
「海が怖い」と「ゴキブリが嫌い」だ。
前者には映画「ジョーズ」が関係していて、後者には少年時代のある出来事が関係している。
それについては、またいつか気が向いたら書くことにしよう。
今日は、注射のことを考えるだけでいっぱいいっぱいだからだ。
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