そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





2度目はIMAX3Dで見てきた。
果たして評価は上がったのか下がったのか?
その感想。

星2つ半。★★1/2 
はい、評価下がりました!(笑)

まずIMAX3Dについて。
二子玉で観たんだが、IMAX3Dの音と映像は素晴らしかった。
二子玉のIMAXではさまざまな映画を観てきたが(最近ですらワンダーウーマン、ダンケルク、猿の惑星、などを二子玉IMAXで観ている)、音のヤバさはずば抜けていた。
あまりに重低音が凄すぎて腹に響くし耳鳴りするし、ジジババの観客たちにこんなにデカイ音を聞かせて身体の調子が悪くなりやしないだろうかと心配するレベル。
1回目普通の2Dで観たときはそんなこと感じなかったので、IMAXでの音の表現がヤバイんだと思う。
3Dもまったく違和感なく、映像を損ねていない。
なので、「ブレードランナー2049」を観るなら最初からIMAX3Dをオススメ。

さぁ、問題は中身だ。

最初に言っておきたい。
映像の美しさに関してだけは、すんばらしいっ!
アートである。
まさにアート。
そこだけは本当に素晴らしい。
よくこんな時代にこんなアートな映画を作って世に出したと思う。
その点だけはまずドゥニ・ヴィルヌーヴ監督を大絶賛しておく。

さぁ、そしてそれ以外の部分について文句を言っていく。
ほぼ100%ネタバレしてるので、未見の人は読まないように。












俺はレイチェルに騙されていた!
俺はレイチェルに目をくらまされていた!
初回観賞は今思えばレイチェルにやられてしまっていただけだった!
言わば「ローグ・ワン」のレイアと一緒だ。
最後レイアが出てきて「うおぉぉぉっ!」と思い、映画全体の感想なんて吹っ飛び、凄くいいものを見せられたような気がした初回観賞。
しかし、2度目3度目と観ていく内に「全然つながってないやんけ」とか「なんでこいつこんなことしてんねん」というようなアラが次々と見えてきて、今では評価ガタ落ち。
そんな「ローグ・ワン」と同じことが「2049」でも起きた!
レイチェルが出てくるものだと分かった上で冷静に観た2回目は、アラばかり見えてきて、ああこりゃこりゃだ。
ああコリャコリャ、なんだこりゃ状態である。

なんじゃこりゃ1「Kの記憶問題」
訪ねてきたKに玩具の木馬の記憶を見せられたアナ・ステリン博士は泣くじゃん。
あの涙にKはノーリアクションで、「チクショー」とか勘違いしてキレて出ていく。
なぜに?
意味不明に突然泣き始めたら、「なんでお前泣いてんねん!」と問い詰めるだろーよ普通。
あれだけ切れ者のブレードランナーなんだからよ。
なぜそこは見過ごしてキレて出ていってんねん?
それにだ。
だいたい博士はなぜ泣くのか?
そもそもなぜアナ・ステリンはKにだけ記憶を移植したのか?
ほかのネクサス9型にも全部移植しているのか?
だとしたらアナ・ステリンは自分が「奇跡の子」だと自覚しているのか?
それなのになぜあんな殺風景な無菌室に軟禁状態で不自由な生活を強いられているのか?
とにかくよく分からない。
矛盾だらけ。

なんじゃこりゃ2「オトリ作戦意味なし問題」
本物の「奇跡の子」であるアナ・ステリンを追っ手から守るために、デッカードやその同志たちが30年前に画策したというオトリ作戦。
そのオトリとなったのがKだが、結局そのオトリ作戦が裏目に出て、デッカードは見つかるわ、アナ・ステリンはKに見つかるわしてるわけ。
本来の筋立てなら、ウォレスとラブがKのことを「奇跡の子」であると勘違いし、Kをレイチェルの子供として追いかける話でないとおかしいのよ。
それがオトリってもんじゃん?
なのに全然違う話になっている。
オトリ作戦が全く意味をなしていない。
逆に、観客に対してのフェイクにだけなっている。
つまり、むしろKが「奇跡の子」かも……っていうオトリ作戦は、観客に対する騙しにだけなっているのよ。
映画にどんでん返しを生むためだけの装置。
とんでもないメタ構造。
そんな映画ある?

なんじゃこりゃ3「ジョシ警部補が簡単に殺されすぎ問題」
仮にもマダムとまで呼ばれているロス市警の警部補が、簡単にラブに部屋まで入ってこられすぎの上に、簡単に殺られすぎ。
未来のロス市警ってあんなにセキュリティ甘いの?

なんじゃこりゃ4「デッカード溺死偽装が甘すぎる問題」
溺れて死んだことになるから追っ手は来ない、みたいなことをKは言うが、いやいや船を引き上げたら分かるよと言うね。
デッカードの死を偽装するならもう少しちゃんと誰もが死んだと思ってしまうような偽装してくれよと。

なんじゃこりゃ5「レプリカント革命軍問題」
アナ・ステリンは生殖能力を持っているとして、その後どうすんのよ?
生殖能力のあるレプリのオスはデッカードだけなんだから、でもそれじゃあ近親相姦じゃん。
結局レプリカントが生殖能力を有して人間を越える存在になるためには、ウォレスの力を借りて生殖能力のあるネクサス10型を開発しなければどうにもなんないわけで、実は突き詰めるとレプリ革命軍とウォレスの目的が合致しているという、とんでもない話ですよコレ。
だからもしこの映画に続きがあるとしたらアナ・ステリンは解剖されて研究材料になるのが必須なわけで。
レプリを人間以上の存在に高めるためにはアナ・ステリンの犠牲とウォレスの技術が必要だという、じゃあそもそもアナ・ステリンを隠していても意味ないって話なんですよ。

なんじゃこりゃ6「オフワールドってなんだよ問題」
最後デッカードをオフワールドに連れていこうとするが、なぜ?
オフワールドに何があるの?
誰か説明出来る人いる?

なんじゃこりゃ7「レイチェルなんで復元されたの問題」
デッカードにレイチェルもどきを会わせるじゃん。
あの目的は何?
お前には昔の女そっくりのをあげるから言うこと聞けってこと?
そんな馬鹿な要求聞くヒーローはいないわけでさ(苦笑)、実はあのレイチェルもどきの登場は俺たち観客を「おおぉぉっレイチェルだ」と興奮させて、破綻している映画のその破綻ぶりを隠蔽するために利用されただけにしか思えないんだよなぁ。
うん、観客の目をくらませるためのレイチェル登場でしかないと思う。
それに加え、「目の色が違う」と言われたレイチェルもどきを射殺するシーンのCGが、本編を通して一番ひどいCGになってる。
あのCGだけ本編の中で浮いている。
だいたい撃ち殺すところをそのままズバリ見せる必要があったのか?
頭に向かってラブが銃を向け、次の瞬間銃声だけで良かったじゃん。
なぜわざわざあんな出来の悪いCGでレイチェルもどきの死を見せたのか?
なんか観客のエモーショナルな部分を刺激しようという作り手の姑息な計算が垣間見えて、なんかいやだ。

なんじゃこりゃ8「全員歩くの遅すぎ問題」
みんな歩くのが遅すぎる。
もう少し速く歩けば、たぶんこの映画2時間に収まったと思う。
これはただの愚痴だが(笑)。

なんじゃこりゃ9「JOIの死が効いてない問題」
今作、唯一の希望の星と言っていいJOIだが、彼女の死が物語上、あまり効いていない。
彼女の死がKに及ぼす影響をもっと濃密に描くべきだと思うのは俺だけか?

以上、2度目を見たらたくさん矛盾を感じる部分、いやな部分、観客を騙すために(煙に巻くために)作ってんじゃないのという無理矢理なプロットや辻褄の通っていない強引な謎設定などが見えてきた。
で、評価を星2つ半に下げた次第です。
いや、ここまで来るともう星2つぐらいでいい。★★

もう映画館に観に行こうとは思わない。
Blu-rayは買うけどね。

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いてもたってもいられず公開初日に観てきたぞ!
「ブレードランナー」の35年ぶりの続編「ブレードランナー2049」だ!

前作を観たのは1982年。
当時中学2年生だった僕は、千葉パルコ裏にあった「千葉劇場」という今はなき名劇場であの名作を観た。
昨日のことのように覚えているわい!
だが中2のちょいと足りない脳みそには少々映画の中身が高尚すぎたのだろう。
見終わった直後は「なんじゃこのつまらん映画」と思ったぞ正直いうとな!(当時ハリソン・フォードの映画にはインディやハン・ソロを求めていたのだ、子供だったからなっ!しかも映画の宣伝がもっと派手なSFアクション風だったからだっ!w)。
しかし、あのスタイリッシュな世界観に何かが引っかかっていて、その後レンタルビデオで何度か見返すうちに、「コレはとんでもない傑作だっ!」と開眼し、世間の評価も同様に「世紀のカルトムービー」ともてはやすようになり、僕のブレラン愛もどんどん高まっていき、あれよあれよという間になんと35年も経ってしまった。
35年って、おいおいどんだけ昔の映画の続編だよ!
どおりで公開初日の劇場はジジババだらけだったよ!
見事にジジイとババアしかいないのw。
そりゃそうだ、こんなの若者ぜーんぜん興味ないだろー。
僕らの感覚に置き換えると『「カサブランカ」の続編が35年ぶりに公開された』みたいな感じになるんだからな。
そりゃ観に行かないわ。
「カサブランカ」の続編どーでもいいもの。
でもいいのだ、僕たち世代の「ブレードランナー」なのだから、その続編は僕ら世代だけが楽しめば。

というわけで初日に観てきた感想だ。
くそーーーっっ、星3つ!★★★
惜しいぞ惜しいっ!

いいのよ、全体的にはとてもいいんだけど、なんかがアレなのだ。
なんかがアレで察してくれ。
なんかがアレとしか言いようがない。
でも僕は泣いた!
何度か泣いた!
だからだいぶ甘めに採点して星3つ半だ。★★★1/2
でもぜんぜん4点とか5点とか付ける気にならないのは、なんかアレだからだ!
ちくしょー!
なんかアレのバカ!

以下、なんかアレをネタバレで書き記す。
観ていない人は絶対に読まないように。
ちなみに僕は近々もう一度この映画を観てくる。
その結果、評価が上下する可能性はある。


以下ネタバレ








ストーリーはとても良い。
なるほどそう来たかと思った。
前作ラストのデッカードとレイチェルの未来にそんな奇跡があったとは。
そこからレプリカントが内包する哲学的な問いかけ(原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」のテーマにより近くなった)に突入していくところなんて、もうなんて言うか「おおおおぉぉぉううぅっっ!」って前のめりになる感じだった。
で、デッカードのレイチェルがらみのシーンで泣いた。
そりゃ泣くよ。
あのレイチェルはCGだと思うが、よく出来ていた。
「ローグ・ワン」のCGレイアとは別物だ。

ところがであーる!
なんか前作とは違う世界になってるのよ。
スクリーンの端々に「こうじゃない感」がうっすら漂うのよ。
プロデクトデザインの問題かな。
前作から30年経っている設定とはいえ、微妙に同じ世界に見えないのよ、なんだか(30年の間に大停電があり、地球の環境変化が進んだ……という設定を加味しても、だ)。
特に日本人だからなんだろう、前作では無茶苦茶だったネオンの漢字や日本語の表現が、今作ではわりとちゃんとしちゃってる。
「コ。ル゛フ月品」が良かったのであって、「ゴルフ用品」ってちゃんと書いちゃつまんないじゃんってこと。
それじゃあブレードランナーじゃないじゃんってこと。
そして、現実世界の「今」とのつながりが、いろいろ強すぎる。
スポンサーだから仕方ないとは言えSONYが多すぎてなんだか引くし、エルビス・プレスリーやマリリン・モンロー、フランク・シナトラが出てくる感じが、いやそんなの前作には一つもなかったじゃん、ここまで現実世界のリアルな人物がその人物として登場すると違和感がありすぎて、うーーーんと唸ってしまう(舞台がラスベガスだから仕方ないとはいえよ)。
いやそこはSONYじゃなくて強力わかもとを出せよ、と。
強力わかもとじゃないとしたら、浅田飴とか龍角散とかジャパネットたかたとかいろいろあるだろ、と。
なぜSONY一辺倒なのか、と。
エルビスやモンロー出したらなんだか生々しすぎて逆に現実感が削がれるじゃん。
作り物の世界感だけが増しちゃうじゃん。
え、そんなのどうでもいい?
そーなんだけど、僕は気になってしまった。
その辺は「感覚の問題」なんだけど、僕にとって今回の「2049」は、元祖「ブレードランナー」とは地続きではない違う世界で起きた出来事に見えてしまった。
そこがもうなんというか勿体ない。
傘の柄は光らせろよって言うね。
なぜビニール傘みたいなのを普通に差しているのか?(大停電があったとしても他の電気結構ちゃんと復旧してるしな)
ブレードランナーが確立したあの雨がじとじと降る陰鬱で雑多でハードボイルドなロサンゼルスの表現というか細かな作り込みが、とにかく1982年版に比べると今回は弱い。
弱いというか、別物。

あと、音楽がダメ!
ダメすぎる!
音楽がぜんぜんブレードランナーしていないのも「こうじゃない感」の原因か。
ヴァンゲリスの凄さがラストシーンでただただ際立った。
あれがブレードランナーよ。
今回の音楽作曲したヤツ、ヴァンゲリスの爪の垢煎じて飲めよマジで。

ただし、ジョイは良かった。
アナ・デ・アルマスはとても良い。
一撃でファンになった。
「穴であります」ってすごい名前だな。
大好きw
売春婦の身体を介してKと結ばれるところや、最後「愛してる」と叫ぶところなど、心を持ってしまったAIの悲哀に富んでいて、涙せずにはいられない。

また観に行く。
オリジナル「ブレードランナー」のように何度か観れば観るほど評価の上がる映画であることを願う。

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ウォーク・ザ・ライン/君につづく道 (字幕版)
リース・ウィザースプーン
メーカー情報なし


観てなかった名作鑑賞シリーズ。
今回は2005年、リース・ウィザースプーンがアカデミー最優秀主演女優賞を獲ったこちら。
伝説のロックスター、ジョニー・キャッシュの伝記物。
その感想。

星3つ。★★★
実話の伝記物なので手堅い。
ひたすら手堅いという印象の映画。
主演のホアキン・フェニックスがギターを練習し、全ての歌を自分で歌っているらしく、その役者魂がまず凄い。
そして主演女優賞を獲ったリース・ウィザースプーン。
決して美人ではない彼女が確かに素晴らしい演技を見せている。
田舎出身の男が、音楽の才能が開花し、ロックスターとなって大スターになり、お約束通りヤク中になり、売れない時期を支えた妻とは離婚し、子供の頃から憧れていた女性と結婚する……というストーリーなのだが、どこにどう感動するというわけではないのだが、なんだかいい映画。
ロックスターの伝記物はいつもこんな感じだ。
どこにどう感動するのか分からないのだが、音楽のパワーで強引に感動させられる。

本当のジョニー・キャッシュの一生はもっとぐちゃぐちゃで、森林火災を起こしたり、自殺未遂を起こしたり、死ぬまで何度もヤク中になるし、嫁さんの姉や妹と不倫したりと無茶苦茶なのだが、そういう本当の暗部は映画では割愛している。
個人的にはエルヴィス・プレスリーの死を物語の中で一瞬でいいので触れて欲しかったかな。

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シャーリーズ・セロンの女スパイもの。
ベルリンの壁崩壊直前の1989年の東西ベルリンを舞台にした冷戦スパイものだ。
公開されたので映画館で鑑賞。

この映画、評価が難しい。
「ユージュアル・サスペクツ」的な「カイザー・ソゼは誰なのか?」みたいな話が「ユージュアル・サスペクツ」同様の回想を織り込んだ構成で進むのだが、とにかく話が複雑に入り組んでて、登場人物も、登場人物名も多すぎて誰が誰なんだかよく分からなくて、前半とにかく混乱する。
「なんだこりゃ?もうどうでもいいや」と飽き始める頃、良いタイミングでシャーリーズ・セロンのレズビアンシーンなんかが始まるのでまた前のめりにさせられ、そのこうしているうちに、映画の後半、とんでもないダイナマイトが爆発する。
10分ぐらいワンカットで見せるアクションシーンがあるのだ。
シャーリーズ・セロンが女1人で男を15人ぐらい銃やマシンガンやナイフやワインオープナーや鍵や車やらでぶっ殺していくのだが、その一連の殺戮シーンがワンカットで進むという奇跡的な撮影(CGも使っているのだろう)で見せられてしまう。
シャーリーズ・セロンが男を次々とぶっ殺しつつ、自分も殴られ、壁に打ち付けられ、ガラスを打ち破り、血だらけ傷だらけあざだらけになっていくというハードなアクションがなんとノーカットでワンカット撮影なのだ。
コレはすごい、すごかった。
もう本当にどう撮影しているのか分からない。
スタントマンは使わず、シャーリーズ・セロン本人が演じてると思われる。
殺されていく男たちもスタントマンだとしても、ガチでやっていたとしたら大ケガしそうなそれこそ本当に死にかねないアクションばかりだし。
ガチのワンカットであれだけのリアルな格闘と殺戮シーンを作るなんて無理だろうから、たぶん止め止めで撮影したシークエンスをCGで上手に繋げてワンカットに見せているんだろうけど、凄すぎて呆気に取られた。
しかも何がすごいってシャーリーズ・セロンもただの超人ではなく、途中でだんだん疲れてきてハァハァ肩で息しながら力を振り絞って立ち上がりまた殺戮を繰り返すという、もうリアルなのだ。
もうこの10分だけで僕は「星5つだ〜!」となったのだが、映画全体でいえば星2つ半 ★★1/2、という感じの評価の難しい映画だった。
たぶんもう一度観ればいろいろ腑に落ちるのだろう。
二重スパイ、三重スパイ、みたいな映画なので、複雑なのだよ。
少し難しすぎるのだ。

映画全編通して、80年代のロックの名曲がかかる。
最後の曲はフレディ・マーキュリーとデビッド・ボウイの奇跡のデュエット曲「アンダープレッシャー」だ。
もうこの選曲だけで評価をプラスして星3つにしてもいいかも知れない。★★★

いや、しかし、あのワンカットアクションシーンを見るためだけにもう一度映画館に観に行っても良いかなぁと思うぐらいに、あのワンカットはしびれたのだった。
シャーリーズ・セロンは「マッドマックス」で完全に女アクションスターとして覚醒したね。

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リブートした「猿の惑星」シリーズ。
その第3弾「聖戦紀」。
前2作がとてもよく出来ていたので、公開3日目に超楽しみにして観に行った。
その感想。

うん、残念。
相当な駄作だった。
星は1つ半。★1/2
なんだろ、これ。
映画を観ていてすごく虚しかった。
「なぜこんなにとっ散らかった映画になっちまったんだろ?」って悲しかったね。
監督は2作目と同じなのに、テンポは悪く冗長なだけだし、誰に感情移入して観たら良いのかよく分からないお話になっていた。
以下ネタバレで文句を言う。

ネタバレ注意






頑張っていろいろな物語要素をぶち込んでいるんだが、全てがうまくいってない。
狂言回し的に出てくる動物園猿、うまくいってない。
旧作とのつながりで出してきた口のきけない人間の少女ノバ、うまくいってない。
息子の小猿は名前がコーネリアスで旧作ファンが「おっ」と思うけど、それだけで、その存在が物語的にはなにも機能してない。
敵役の大佐がただのマッチョ軍人で、暗い過去と戦いの動機を語るのだが全然胸に響かず、最後の自死もピンと来なくて、つまりうまくいってない。
最後シーザーが死んだようだが、全然感動しない、つまりうまくいってない。
そして一番よく分からなかったのが、人間対人間の構図になるその理屈。
まったくもってうまくいってない。
ぜーんぜんうまくいっていない。
(僕は最後実は攻めてきていた軍隊が全員猿だったというオチだと思っていたが、それも違った。なんだよ雪崩で人類全滅って!笑)
もう、ひとことで言っちまえば、つまんない。
うん、ズバリつまんない。

今年は当たりの映画がないなぁ。
こうなったら「ブレードランナー2049」に期待するしかないな。

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魔女の宅急便 [Blu-ray]
宮崎駿
ウォルト・ディズニー・ジャパン


急に観たくなり、自宅地下シアターにて鑑賞。

星5つ。★★★★★
まったく非の打ち所がない名作。
宮崎駿作品は「未来少年コナン」から「カリオストロの城」「ナウシカ」「ラピュタ」「トトロ」そしてこの「魔女の宅急便」当たりまでがまさに黄金期だと思う。
「もののけ姫」以降ももちろん素晴らしい。
だが、若い時期の作品群の突き抜けた素晴らしさとは何か違う素晴らしさに「変質した」のは間違いないかと。
そして僕は変質する前の作品の方が好きだと改めて思った。

とにかく1ミリの隙もない完璧な映画というのはこの「魔女の宅急便」のようなもののことを言うのだろう。
オープニングとエンディングのユーミンの曲がもうとんでもなく良い。

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LION/ライオン ~25年目のただいま~ [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ギャガ


昨年度アカデミー作品賞ノミネート作。
実話を元にした感動ストーリー。
その感想。

星3つ。★★★

以前にフジテレビ「奇跡体験!アンビリバボー」で実話の方のドキュメント映像を見てしまっていたので、その分感動は薄かった。
とはいえ「そりゃ泣くよね」というよく出来た映画。
インドで迷子になり、オーストラリアの夫婦に養子として引き取られた男の子が大人になり、グーグルアースで自分の出生地を発見し、実の母と25年ぶりに対面したという実話の映画化作品だ。
「そりゃ泣くよね」である。

あらゆる意味で「アンビリバボー」で見た本物のドキュメントには叶わない。
だから映画ならではの味付けを、恋人との関係、弟との関係でプラスしている。
なにより映画のタイトル「ライオン」の意味が最後に明かされるのだが、そこで一番「おおっ!」と思った。
まぁ、いい映画です。
とはいえ実話は卑怯です(笑)。

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22年目の告白-私が殺人犯です- ブルーレイ&DVDセット(2枚組) [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


今年春頃ロードショーされて、評判が良かった邦画。
Blu-rayが発売されたのでさっそく観てみた。
その感想。

うーん、良いといえば良い!
でも、惜しい!
前半から中盤にかけては凄く面白かったし、よく出来た伏線、回収、どんでん返し、トリッキーな謎解き、などなどいろいろ詰まっていて大いに楽しめた。
星は3つ。★★★
でも、惜しいのだ。
なんていうか「なるほどそう来たかっ!?」はたくさんあるんだけど、見終わったときにいろいろ疑問が残って、勿体ない。
ちょっとよく出来すぎなんだろう。
よく出来すぎていて終盤にどんどん現実味がなくなっていき、少し醒めてしまう。
要するに作り手が頭を使ってとても良く考えたとても良く出来たお話「すぎる」のだ。
作家が考えに考えに考えたお話になっている分、よく出来すぎていて、ちょっとやりすぎ感が出てしまった。
よく出来たどんでん返しがたくさんあって面白いんだけど、見終わったあと、空虚になってしまうというか。
これ、ハリウッドがリメイクしたらそのへんのシナリオ的弱点を上手に補正して、いい映画にしそうだなぁ。
ていうかこれ自体が韓国映画のリメイクだった(笑)。
まぁでも、今年の邦画の中では傑作の部類に入るのだろう。
日本アカデミー賞とかノミネートはされるかも。


以下ネタバレで文句を言う。




いくら何でも、最後の犯行の日が、殺人事件の時効撤廃の前日だったという設定は都合良すぎるだろう。
真犯人はなぜそんなに絶妙なタイミングで最後の殺人を犯し、そのあと犯罪をやめ、なりを潜めたのか、それがいちばんの謎じゃん。
だからその謎をいちばん解いてほしかったのに、結局なし崩し的に解いてくれず、「あ、ただの偶然なのね」で終わらせてしまったのが至極残念。
そして、妹殺しの理由が全然分からない。
あの殺しは真犯人のポリシーに反するだろうに、なぜ殺した?
あれだけ個人的怨みによる殺人なら、それを示唆する描写がもっと欲しい。
あと、いくら真犯人相手とはいえナイフで刺したり、首しめたり、相当な殺人未遂を起こしまくっている藤原竜也が、その後一切おとがめなしに見える脚本も雑。
惜しいなぁ。
うん、惜しい映画だった。

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完全なるチェックメイト [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ギャガ


冷戦時代の米ソ対立のエピソードを描いた実話。
チェスの天才アメリカ人、ボビー・フィッシャーが、ソ連の天才ボリス・スパスキーを破り、世界チャンピオンになった1972年の史実を描いている。
その感想。

とんでもない天才だし、子供の頃からチェスでは無敵。
史上最年少でグランドマスターになった……みたいな点は藤井聡太くんを思わせる。
彼も史上最年少でプロ棋士になったんだもんね。
ところが、である。
子供の頃から天才過ぎたのか、チェスという競技自体がそういうものなのか分からないが、主人公のボビー・フィッシャーは、子供から青年に、そして大人になるにつれて、どんどん精神を病んでいくのだ。
主人公が精神を病んでいくため、映画が始まって4分の3ぐらいずっと重々しいというか、腹立たしいというか、「こいつむかつくわー」「何わがままばっかりいってるんだこいつは?」的な批判的感情を感じてしまい、上手に感情移入出来ない映画になっている。
だから結局勝ってもスッキリしないというか、「やったぜアメリカ勝ったぜー」と100%ならない。
実話なんだから仕方ないんだけど、そのへんが勿体ない。
星2つ半。★★1/2

その後本物のボビー・フィッシャーはどんどん精神を病んでいき、世界チャンピオンの座を戦わずして明け渡したり、急に何年も行方不明になったり、放浪していたところを捕まったり、アメリカ国籍を剥奪されたり、日本人の女と日本で同棲してたり、いろいろ無茶苦茶だったらしい。
詳しくはWikipediaかなにかで調べれば載っている。
あまり頭を使いすぎるのも良くないのかね。

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コードネームU.N.C.L.E. [Blu-ray]
クリエーター情報なし
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント


この映画。
まったくスルーしていたのだが、誰かがTwitterで「実はこれ好き」みたいな発言をしていたのを見て、観てみることに。
アメリカの敏腕スパイと、ソ連の敏腕スパイが手を組んで任務に挑むというものなのだが、その感想。

僕も結構好き。
星3つ。★★★
ガイ・リッチーの今までの監督作の中でいちばん良くないか?
シャーロック・ホームズのシリーズなんか結構スベっていた記憶があるのだが、これは良い。
マドンナの元旦那で、なんだかスタイリッシュな映画を作るけどたいしてよく出来てないものばかり……というイメージのガイ・リッチーだったが、この作品は初めてきちんと成功しているのではないだろうか?
普通に面白いし、要所要所で出してくるガイ・リッチー節が上手に炸裂していて、「なんだよやれば出来るじゃん」という感じだ。
おそらく、題材が良いんだろうと思う。
何でもありのシャーロック・ホームズとは違い、1960年代の冷戦時代を舞台にしているので、あまり突飛な道具や兵器や敵やオカルトや超常現象が出て来ない分、ガイ・リッチーの暴走に歯止めが効いたんだろう。
いかにもこのままシリーズ展開して続編がありそうな感じで終わるのだが、作るのだろうか?
作って欲しいな。
次は映画館に観に行ってもいいとすら思った。

うん、実はこれ好き。

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邦題が最初「ドリーム/私たちのアポロ計画」だったものの、アポロ計画ではなくマーキュリー計画だという指摘が配給会社に殺到し、邦題をただの「ドリーム」に改めた2016年度アカデミー作品賞ノミネート作。
アメリカでは「ラ・ラ・ランド」よりヒットしたらしい。
金曜日からロードショーされたので観てきた。
その感想。

星3つ半。★★★1/2
まごう事なき良作。
実話はやはり強い。

アメリカで大ヒットの理由は、おそらく黒人の観客中心に映画館に観に行ったからだろう。
まだ差別時代が色濃く残っていた1960年代に、NASAの中で黒人女性たちが差別と戦いつつ、自分たちの力でその差別や偏見を打ち破っていく姿は見る者を感動させる(とくに黒人の観客にとっては勇気づけられる作品なのだろう)。
ソ連のガガーリンに遅ればせながら、アメリカが有人宇宙飛行を成功させたマーキュリー計画。
それを実現させたNASAを支えていたのが黒人の天才女性の計算能力だったという実話は、人種の壁を突き破って感動を呼ぶ。
ただ、それ以上でも以下でもなくて、ある意味想定内の物語になっている。
実話だから極端に映画的に出来ないということもあるだろう。
だからアカデミー作品賞や脚本賞、助演女優賞にノミネートはされたが、無冠に終わったのもうなずける。
良い映画なのだが、何かインパクトに欠けるという感じだった。
とはいえ、史実の黒人差別や、それに反旗を翻した黒人たち、そしてその思いを受け止めた白人のリベラルたちの歴史には感動させられることは請け合いだ(ケビン・コスナーがとても良い)。
オススメです。


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