そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





今年の米国アカデミー賞に11部門もノミネートされている怪作「哀れなるものたち」。
二子玉の映画館で観てきた。
その感想。

映像、デザイン、撮影、衣装、音楽、とにかく素晴らしい。
主演女優のエマ・ストーン、スーパー素晴らしい。
だが、だがである。
いち映画としてどうかと問われると非常に難しい。
星2つ。★★
期待しすぎたのかな?
なかなかのスーパーカルト映画ですよ、こいつは。

いわゆる映画的な構造(起承転結的なものとか伏線と回収とかその手のいわゆる映画的なシステム)を意識的に解体しているような脚本であり、ストーリー。
大人のおとぎ話、といえばその通りで、赤ん坊の脳を成人女性に移植させちゃった女版フランケンシュタインの成長物語だといえばその通りなのだが、ずっと「なにを観させられているのか?」とモヤモヤした感覚を抱きつつ観るような映画になっている。
純真に産まれた赤ん坊が、成人女性の身体を持ったままいきなり社会に放り出されたので欲望に忠実に、食欲、性欲のお化けとなっていく。
そして、徐々に知っていく人間世界のおぞましさ……みたいなことで、こう書くととても面白そうな話に聞こえるのだが、そんなに面白くはない。
設定と主人公のキャラ造形がぶっ飛びすぎていて、感情移入ができないため、ただ傍観者として映画を観ることになる。
結果、日本の観客には不評なようで、ここ十数年、映画館ではエンドクレジットを最後までみんな観るような空気が日本では出来上がっているのだが、この映画ではエンドクレジットが流れた瞬間、観客が帰る、帰る、帰りまくる。
よほどお気に召さなかったのか、年配のお客さんがバンバン帰っていくので、まぁ、確かに映画としては意味がよく分からなかったし、つまらなかったのだろう(かく言う僕もそうである)。

ただし、とはいえアカデミー賞11部門ノミネートの堂々たる映画なのだ。
どうなんだろう?
この監督、ギリシア人で、2019年「女王陛下のお気に入り」でアカデミー作品賞と監督賞を逃している人物だ(主演女優賞だけ獲った)。
今回は撮れるのだろうか?
いや、個人的な予想では、作品賞はあり得なくて、監督賞はあるかもなぁって感じ。
作品賞を差し上げるにはちょっと「アクがつよ」すぎる。
去年のエブエブよりもアクが強いので、さすがに無理かなぁ。
でも、映像、デザイン、撮影、衣装、音楽、そして主演女優のエマ・ストーンの演技は、スーパー素晴らしいので、その辺の技術各賞、主演女優賞はあるかも知れないです。

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