そこそこの放送作家・堀田延が、そこそこ真面目に、そこそこ冗談を交えつつ、そこそこの頻度で記す、そこそこのブログ。
人生そこそこでいいじゃない





トム・クルーズ主演の「ミッションインポッシブル」シリーズ7作目。
バイクで崖から飛び降りるスタントがずいぶん前から公開され、トム・クルーズ本人のスタントへの果敢な挑戦が話題になっていた本作。
公開から数日経った平日昼間に見てきた。
その感想。

ぶっちゃけ、普通。
星2つ半。★★1/2
とくにこれといった素晴らしいポイントはなく、それでいて決定的にダメな点もなく、いわゆる普通。
好きな人は映画館に観に行けば損はしないし、そうでもない人は別に観に行かんでもいいし……って感じ。
そもそも「スパイ大作戦」なわけで、ストーリーなんて正直言って二の次。
この手の映画はガンガン派手なアクションが見られればそれでいいのだ。
そういう意味で十分面白いし、アクションはさすがに良く出来ている。
とくにラストの列車の車両を使ったつるべ落としアクションはなかなか珠玉の出来だと思う。

当たり障りない感想はそんなものだが、この映画、見ている最中ずっと「なんだか『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』に似てるなぁ〜」と不思議に感じていた。
実際、いろいろと類似点が多い。
以下、若干ネタバレになるが類似点を挙げていく。







インディ5とミッションインポッシブル7の類似点。

①どちらも字幕が戸田奈津子
②どちらもヒロインがコソドロ
③どちらも敵が入り組んでて人間関係が複雑
④どちらもモノを奪い合うストーリー
⑤どちらも大事なものは2つを1つに組み合わせて使う
⑥どちらも列車の上で戦う
⑦どちらも市街地のカーチェイスシーンが長い
⑧どちらもパラシュートで飛び降りる
⑨どちらも地下鉄に轢かれそうになる
⑩どちらも馬に乗る
⑪どちらも海の底に大事なものがある

もしやインディの脚本が流出してるのではないか?w
いや、その逆って可能性もあるなwww

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宮崎駿10年ぶりの新作。
前情報一切なしの中、初日に見てきた。
その感想。

正直、映画としてはうーんと首をひねっちゃう出来。
いち映画としては星2つ。★★
難解すぎると思う。
論理的にストーリーを追っても無駄な類の映画なので、宮崎駿の最後の仕事を見届けるつもりでただ映像を浴びるように観賞するのがいい。
なにしろ作画はすごい。
アニメ表現としての完成度はとんでもない。
それだけで見る価値はあるが、いかんせん映画としては難解すぎる。

僕個人的には、宮崎駿の全生涯が詰まった自伝だと捉えた。
80歳になってついに、幼少期に抱えた心の奥底の闇からアニメ界の巨匠に至っての苦悩まで、ファンタジーの形を借りて吐露した私小説だ、と。
タイトルの「君たちはどう生きるか」は観客に説教臭いメッセージを伝えようとしているわけではなく、幼少期に宮崎駿自身が実際読んだ吉野源三郎の小説「君たちはどう生きるか」から受けた深い感銘と、「物語」が持つ人生を変える力、そして「物語」が描く崇高な生き方とは相反する実の父親の人間像へのわだかまりや、自分自身の心の奥に潜んでいた弱さや卑怯さ、そういった理想と現実の狭間で揺れ動きそれでも「物語」の力を借りて前へ進む幼少期の宮崎自身を、隠すことなく描いたように思う。
つまり、観客へのメッセージ性のある難解映画ではなく、これはあくまで宮崎駿が自分自身とその家系や血筋への思いを正直に描いただけなのではないか。
作中で起こる出来事の多くは、宮崎駿の深層心理の中、それは時に意識下、時に無意識下に潜む心の傷や願望、夢の集大成だと感じる。
以下、ネタバレで少し宮崎駿の人生に触れる。















まず父親と父の家系(血筋)に関する思いだ。
宮崎駿の父はゼロ戦の部品などを作る工場の社長で、裕福な家で幼少期の宮崎駿は育った。
母は身体が弱く、長期間入院していた(この辺は「風立ちぬ」の元ネタだろう)。
宮崎駿4歳の時、宇都宮で米軍の空襲に遭う。
裕福だった宮崎一家は、当時は珍しいガソリン車に乗って逃げるが、その途中、子供を抱いた男が「車に乗せてくれ」と助けを求めてきた。
だが、宮崎の父は車を停めずに、その親子を見捨てて走り去った。
それが宮崎駿の心の傷となり、いつまでも忘れられない出来事になったという。
尊敬すべき崇高な人物であってほしい実の父が、目の前で犯した非道。
そのとき「乗せてあげて」と言えなかった自分。
「君たちはどう生きるか」に書いてあった「正しい生き方」とは違う父へのわだかまり。
とっさに「正しい生き方」を選択できなかった自分への罪悪感。
そしてそんな家を築いてきた祖父、曾祖父たちへの思い。
そんな宮崎駿の心の傷が、今作のストーリーにはちらほら顔を出す。
作中で主人公のマヒト君は母から贈られた小説「君たちはどう生きるか」を読んでボロボロと泣き、そこから打って変わって積極的に人を助け、冒険に歩み出す。
「物語」が人生に与える力を信じる宮崎駿は、自らの実体験をファンタジーの姿を借りてストレートに描いているのではないだろうか?

他にも、なぜか大量に登場する鳥類は、もしかしたら宮崎駿にとってのトラウマかも知れないし、鳥にこだわる何か引用的な作品があるのかも知れない。
継母のおなかにいる子への複雑な心境は、宮崎駿自身の境遇とは重ならないが、先妻を1年で亡くした後に宮崎駿の母と再婚したという実父に対する何らかの思いがそこに反映しているのかも知れない。
そのような深層心理の中に潜む心の闇を、幼少期の宮崎駿が自ら旅するような、今作。
主人公のマヒトはもちろん宮崎駿自身の投影だが、最後に出てくる大叔父ももしかすると宮崎駿自身の投影かも知れない。
自身が築き上げ、危ういバランスで立っている積木の塔。
13個の積木で積み上げられているその塔は自身の監督作映画という金字塔ではないか?(奇しくも13という数字は宮崎駿が手掛けた映画の本数と一致する)
それを、自分の血を引く子孫に継がせることを夢みた老人は、結果、その夢をかなえることができず、世界は崩壊する。
ジブリの崩壊を予期しているのか?
アニメという文化の崩壊と再生と後継者への委譲を描いているのか?
宮崎駿の深層心理に潜む闇は、なかなかに恐ろしい。

ただ、いかんせん難解すぎる。
映画作品としての世間的な評価は低くなりそうだし、大ヒットも難しいだろう。
それでも見終わったあとになにか深い余韻が残る映画だし、時間がかなり経ったあとに再評価される類の映画だという気もしている。

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1981年の「レイダース/失われたアーク」に始まる考古学者インディアナ・ジョーンズの冒険活劇第5弾。
最初の3部作は疑う事なき「神」。
で、4作目は駄作。
あれから15年、またまた(今度はディズニーによって)作られた5作目。
公開初日に観てきたので、その感想。

まず、いち映画作品としてジャッジする。
星2つ。★★
ちょい駄作。
見る価値はほぼない。
見たい人は見ればいいかなぁ〜ぐらい。

評価が低いのは、いち映画作品としての基本的な出来がそもそも悪いから。
主人公のインディを始めとした全ての登場人物たちが、2時間30分の上映時間中、いったい何をモチベーションに、何に向かって行動しているのかが、ずっと曖昧でモヤモヤする。
誰がなんのためにあれこれしている様を見させられているのかが、分かるようで分からない。
この人は誰なのか、何が目的なのか、なぜ登場し、なぜすぐ死ぬのか、そういうことがいちいちスッキリしない。
第一、今回の表題である「運命のダイヤル」がどんな効果を持つ宝物であるかがほぼ説明されずに進むため、そのどんなものか分からない宝物をなぜか奪い合うというストーリーのタテ軸になっていて、初見の観客は著しく混乱する。
しかも、主人公のインディ自身が別に「運命のダイヤル」探しに対してモチベーションを持っておらず、探したがっているのは他の登場人物なのだ。
(この「なんのための宝探しかが分からない」「しかも主人公のインディ本人の宝探しへのモチベーションが希薄」という欠陥脚本は「クリスタルスカル〜」が同様で、だからこそあれも失敗作になっているのだが……)
何の立場の人物なのか分からない黒人女性と、何が本当の目的なのか判別しづらい敵役、おねーちゃん、ガキ、さらにインディ本人までが入り乱れるため、初見の観客は全く持って置いてきぼり。
だんだんそれぞれの目的や、運命のダイヤルの使い道がうっすら分かってくるのだが、「だとしたらなんで?」が逆に浮かび上がって来て、二度見ても意味が分からないところが多々ある。
そんな映画、あるか?w
聞くところによると、脚本がダメでダメで、何度も何度も練り直され、最終的に4人の脚本家が名を連ねる事態になった今作。
4人の主義主張がゴチャゴチャとミックスされた結果、こう言う意味の分からない筋の通らない脚本になったものと思われる。
ということで、1本の映画として、とにかく出来が悪い。
物語のタテ筋に共感や感情移入が出来ず、よく分からないけどガチャガチャ戦ったり殺し合ったりカーチェイスしたり海に潜ったり殴ったり転んだり死んだりするのを観客はひたすら傍観するだけ。
まさによくある最近のハリウッドのバカ娯楽映画っていう感じで(ダメ映画の大半がこういう構造)、映像が派手で金がかかっているので一見面白くて多くの無垢な観客はバンザイして喜ぶのだが、結果として、映画史にも観客の記憶にも何も残らない駄作。

はい次。

インディ・ジョーンズのシリーズ最新作として考えたときには、もっと点は低い。
これをインディの第5弾だとするなら、星は1つでも多いぐらいだ。★
駄作中の駄作。
キング・オブ・駄作インディ。
シリーズとしては、スピルバーグが撮った第4作「クリスタルスカル」の方がまだテイストが最初の3作に近かったが、監督が替わった今回は、もはやこんなものはインディ・ジョーンズではない。

そもそもこのシリーズは、コミカルでテンポの良い冒険活劇だったはず。
モブキャラが死ぬときは笑いが生まれるよう演出脚本が配慮されていたし、悪役は悲惨な目に遭って死ぬけど、インディの仲間は基本的に死なない……そんな子供が観賞してもOKな、楽しくて優しい冒険活劇シリーズだった。
ところが今回は、冒頭から暴力シーンや無垢な一般人がめちゃくちゃ撃ち殺される生々しいシーンばかりで、ただただ理不尽に人が死んでいく。
この「善良な市民をバンバン殺す問題」が今回1番罪深いと思う。
このせいで映画全体のトーンが全く笑えなくなっている。
過去作では、死ぬのは基本的にナチかカルト教徒か兵隊か悪党だった。
思い返してみたら、失われたアークで殺された一般市民はゼロ。
魔宮の伝説でもゼロ。
最後の聖戦、ゼロ。
クリスタル・スカルですらゼロ。
なのに今回は学校の教員2人撃ち殺し、善良な船乗りさんを撃ち殺し、洞窟の入り口の係員を撃ち殺す(この係員のみ撃つ描写はないが死んでいるのがのちに映る)。
完全に作風がインディではなくなっている。
仲間の死だってインディシリーズではそんなになかった。
魔宮の伝説の冒頭のバーのシーンで相棒だった中国系の男がインディの腕の中で死ぬ。
クリスタル・スカルのラストで相棒(であり裏切り者の)マックが異空間に吸い込まれて死ぬ。
だが今回のアントニオ・バンデラスの死に方は酷い。
インディの腕の中で死ねた上海の中国人とは違い、即死だ。
インディと別れの言葉を交わす間もなく、だ。
今回のジェームズ・マンゴールド監督は、スピルバーグと違い、劇中での「人の死」への尊厳が足りないと思う。
だから映画が殺伐とした緊張感で満たされる。
さらに、だ。
シリーズお馴染みのプロローグが、テンポが悪く、長く、メリハリがなく、その上戦闘シーンにコミカルさのかけらもない。
アクションシーンにギャグやコミカルな描写がないので、ただひたすらなんか知らんが戦っているものを見させられるだけ。
バンバン何の罪もない善良な人たちが射殺されていくので、そっちの恐怖感が先に立ち、観客は身構えてしまう。
結果、ギャグらしきものがたまにあるのだが、映画館はシーンとしたままだ。
アクションシーンになるたびに物語がストップし、ただアクションしたいだけのアクションが続くのは、昨今のB級馬鹿ディズニーヒーロー映画と同様。
しかも、先に述べたように、根本的になんで戦っているかが分からない。
なんで殺すのか分からず、なんで殺さないのかも分からず、なんで拉致するのか、なんで生かしておくのか、その辺の理屈が全て、ストーリーの都合だけで進む。
なんなら、奪い合っている宝物(運命のダイヤル)が、今、誰の手元にあるのかすら分からない場面もある。
3分前に逃げ去ったはずの敵の車が、気付いたらすぐ横を走っていたりする。
そしたらまたすぐ無抵抗の人を撃ち殺す。
主人公のインディもヒロインの女も敵も味方も総じて、すぐ相手の顔面を思い切り殴る。
そのうえ何故存在しているのか不鮮明なキャラクターが多く、正体を明確に明かさないまま殺されたり、敵同士の繋がりもよく分からないままだったりする。
こう書いていても、どんどん腹立ってくる。
こんな酷いインディをなぜ作ったのかディズニーは?

他にも細々と文句ばかりが浮かぶ。

・そもそも邦題「インディ・ジョーンズと運命のダイアル」の「と」ってなんだよ?
これまでこのシリーズは「レイダース/失われたアーク」「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」「インディ・ジョーンズ/最後の聖戦」「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」って感じで「と」なんて一度も入ってたことないんだよ。
そんなことも知らずに適当に邦題付けてるのかディズニージャパンは?
・冒頭パラマウントの山をスルーしルーカスフィルムロゴからのOL。
 大人の事情で前4作で培ったお約束をいきなり破壊。
 ここだけでもうこの映画はダメだと思う。
・年号と場所出ないのこんなのインディちゃうやん。
 顔の覆いを取られ若いインディが登場した瞬間に「ドイツ1944年」と出せよ。
 「ニューヨーク1969年」も出せや。
 出さない理由がまるで分からない。(単純に忘れてるんちゃうんか?)
・若インディの顔、CG感が強すぎだろ。ディズニー金ないんか。
 あと列車の上を走るインディ、CGアニメの動きかよ?
 安っ! ディズニー安っ!www
・冒頭の1944年から1969年の間はダイヤル探ししてなかったのに、あのメガネのおっさん急に今になってダイヤル探し再開したのなぜよ?
 だいたいさ、疾走する電車の上で障害物に「ドゴーン!」とスゲー勢いで最後身体ごと吹っ飛ばされていったじゃん、アレで死なない奴いるか?w
 あのおっさんは治療に25年掛かってたんか?www
・インディと言えばの「地図の上を走る線とその上を飛ぶ飛行機」が出てくるの遅すぎだろ。
 今回忘れてるのかと思ったわ。
・海に棲む「人食いウナギ」ってなんだよ?
 海の中にいる「eel」は「ウツボ」って訳せよ!
 戸田奈津子、またいつものように映画を見ずに字幕付けてんだろ!
・また虫かよ。
 虫は使ったよ、第2弾の「魔宮の伝説」で。
 ほかのアイディアなかったんか。
・アルキメデスの仕掛けた謎解き、安すぎやしないか?
 天才数学者アルキメデスが絶対考えてないだろ、あの謎解き。
・インディいつからあのアルキメデスの時代のことを一生掛けて研究してた考古学者になったんだよ?
 初耳なんだが。
・そもそも親友に「絶対壊してくれ」と言われて受け取ったダイヤル、なんで保管してたねん?
・最後のカレン・アレンのくだりはずるいよ。
 そりゃ泣く!
 ただ物語上の帰着点としてちゃんと登場していたら、今の100倍泣けたはずだけどな!
・エンドクレジットのレイダースマーチのテンポが遅い。
 インディが老いたのは分かるが、ジョン・ウイリアムスの指揮テンポまで老いることないだろ。
 そして クレジットの最後がレイダースマーチで終わらないのも悲しすぎる。
 何あんな暗い曲で終わってんのよ?
 最後の大団円ちゃうんか?

もう疲れたからこの辺にする。
「クリスタルスカル」の方がまだインディだった。
あれはあれでものすごく酷くて認めてないけどね。


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