![](http://ec1.images-amazon.com/images/I/21wfnhlBqjL.jpg) | NEON GENESIS EVANGELION DVD-BOX '07 EDITIONキング |
エヴァンゲリオン。
リメイク、というか新作が、9月1日から公開される。
僕はこの作品にひそかに期待している。
映画館まで観に行くかどうかは別として。
とは言っても、今回公開される「序」編はどうでもいい。
たぶん、ただのツカミだろうから。
3作か4作を順次公開していくらしいのだが、後半に期待だ。
でも期待しているのは決して面白さではない。
思想を、だ。
アニメなら現代に響くかも知れないから。
埋もれた若き天才たちの一部に響くかも知れないから。
もはや活字にその役割は無理だ。
音楽にも無理だろう。
テレビにも無理だ。
最後の切り札がアニメやマンガだと思う。
マジでそう思う。
日本の若き天才たちは、今たぶん、秋葉原やマンガ喫茶や自宅のパソコン前に引きこもって埋もれているのだ。
10年前の「新世紀エヴァンゲリオン」はかなり特殊な作品だった。
特殊、というか、すごい作品だったと思う。
アニメなのに純文学的思想を語ったからだ。
正直、映画は無茶苦茶だった。
意味が分からないと激怒する観客もいた。
だがそこには、
「生と死」
「他者に認められたいという若き渇望」
「愛で全てを分かち合えるという幻想」
「自分は他人とは違い、他人とは永遠にわかり合えないことこそアイデンティティーであるという残酷な現実」
などなど思想のヒントがふんだんに、それも堂々と語られた。
難しいことを難しくきちんと語ろうとした。
それがスゴイ。
個人的には、映画館に集まっているオタクたちを名指しで全員「気持ち悪い」と言い切ったところで拍手した。
「アニメを捨て、現実世界に生きよ」と観客に向かって言い放ったあれはあれで思想の1つだ。
生とは何か?
死とは何か?
正義とは何か?
愛とはなにか?
自分は何か?
そんな思想に現代では向き合わずに生きていけるのだ。
夢を持たなくても生きていける。
マンガ喫茶に寝泊まりして生きていける。
働かなくても死にゃあしない。
娯楽と欲望にまみれ、不誠実と不正義と怠慢で生きていける国になった。
世間が不誠実と不正義と怠慢だらけだからだ。
だから若者は思想になんて向き合わない。
敗戦で日本が失った神。
目覚ましい経済発展の中で次第に必要とされなくなっていった思想。
だけど、国家の斜陽と国力の衰退の今、心の拠り所となるきちんとした思想が必要とされるはずだ。
それも若者に向けて。
若く、そして実は天才性を持つ彼らオタクの心に響く形で。
でなければ日本は終わる。
庵野監督は10年ぶりにエヴァンゲリオンをリメイクする。
一体なぜか?
理由があるはずだ。
10年前とも日本の形は変わっている。
新たに語りたい思想があるんだと僕は思う。
そのための新作なのだ、たぶん。
アニメを観に行って、思想という稲妻に打たれて欲しい。
そのためのエヴァンゲリオン新作であることを願う。
……なんてことを書いてみた。
どうしよう。
ただの娯楽作だったら。
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