御神楽少女探偵団その36
--------------------------------
大連で三人組が捜査を開始した所からである。
■殺サレルベキ男 前編 捜査篇1 続き
教会内を一通り見て回り、静斗と話していると森松警部補が登場し、三人組にも捜査を許可してくれた。
神父には腕以外に外傷はないが、死後に腕を切断された可能性もあるらしい。
死亡推定時刻の5時から8時には、神父の部屋に入っていく人間はいなかったようである。
さらに所持品の日記が紛失している。
そして、野中五十鈴は御神楽事務所のことを知っていて、神父が相談したがっていたようだと言う。
神父は教会の土地を巡るトラブルに巻き込まれており、その件で時人に相談をしていたらしいとのことだ。
■殺サレルベキ男 前編 捜査篇2
裏庭で森田老人に聞くと、5時から8時の間には誰も神父の部屋に入って行く者はいなかったという。
五十鈴の話では、神父の部屋には日記がある筈なのに、それが見あたらない。
そしてホテルへの帰りがけに、巴は凄い美女に出会った。
美作すえと名乗ったその美女は、別れ際に「畑中神父は・・・ あの人は殺サレルベキ男だったんです」と、小声で呟いたのである。
■殺サレルベキ男 前編 捜査篇3
逢坂町教会の玄関で、高田老人に美作すえのことを聞いてみると、確かに教会には何度か来ているし、それに畑中神父はすえに好意を持っているように見えたそうである。
しかも美作すえも、神父には親しくしているように見えたと、言うのである。
再び高田老と話すと、どうやら五十鈴も畑中神父を慕っていたらしい。
神父の教会の土地を巡るトラブルとは、教会を土地を売るよう強要されていたことで、その相手は、料亭「ことら」の店主「寝間虎蔵」だった。
とのこと。
座敷割烹ことらに行ってみると、林琴次郎と名乗る若い男が出て来て、主人は外出中とのことだった。
大連民政署に戻り、森松と話すと「食屍鬼」という薄気味悪い伝説があるそうだ。
人を殺してその四肢を喰らうという、不気味な伝説である。
大連大公園で森田と会い、大連港倉庫を覗いてから座敷割烹ことらに回る頃には、日はとっぷりと暮れてすっかり夜になっていた。
ことらでは主の寝間がようやく戻っていたが、なんとも品の悪いガラの悪いオッサンである。
寝間と話すと、「探偵さん達も、妙なことにはあまり首を突っ込まない方がいいよ」などと脅されてしまった。
その後、離れの庭で倉本あかねと再会したが、どうも様子がおかしい。
使用人の林は、あかねは今はこの料亭で修行中だというが、それにしてもあの清純なあかねとも思えない風情なのである。
大連港倉庫で苦力たちに聞いてみると、苦力は出身地ごとに集まるが、教会に行っている連中は山東省の連中だろうとのことだ。
その場所は支那市街裏通りとのことである。
しかし時間は既に夜の10時を回っていて、裏通りには人影もまばらである。
更に奥へ進むと、突然数人のいかつい男達に囲まれてしまった。
その男達は下卑たにやにや笑いをたたえながら、三人に近づいて来る。
森山警部補や静斗から、夜は裏通りには近づくなと言われていたことを思いだし、後悔したが、時既に遅い。
危険を感じた巴が、スカートの下の懐中鉄炮に手を伸ばした時、いきなり激しい打撃音が連続して響いた。
そして、一人の壮漢が暴漢共をあっさり叩きのめして、三人娘の前に立った。
漢「こんな時間にこんな所に来るのは、馬鹿だけだ」
礼を述べようとする三人に、
「おれは日本人は嫌いだ!」
とだけ言い残して、漢は夜の闇の中に溶け込んでいった。
御神楽少女探偵団その37へ続く
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます