ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

そのほかのサプリメントについて 「スピルリナ」

2011-07-03 | 放射能関連情報
 こちらの投稿でも、あくまで私が知っている範囲内のことで、ベラルーシに限定されたことであるとご理解のうえお読みください。
 多くの方からご質問があった「スピルリナ」についてです。
 ベラルーシでもスピルリナの放射能排泄効果について、大人や子どもも使った実験が行われました。
 その結果、排出作用があるとベラルーシ保健省が結論を出しています。

 他にもこのような実験データがありますので、ご紹介しましょう。
 ベルラド研究所が2001年に発表した本で、題名は「住民を放射能から守る方法と助言、その効果」で、執筆者は前所長のワシーリイ・ネステレンコさんです。
 2000年8月に「サナトリウム・ベラルーシ」という保養所にて、ベラルーシ保健省、チェルノブイリ委員会、ベルラド研究所、保養所で働く医療従事者が共同で行った実験です。
 チェルノブイリ汚染地域で暮らす親子がこの保養所で滞在していましたが、それを5つのグループに分けました。

第1グループ(22人)Vitusヨードという各種ビタミン配合のヨウ素剤を摂取。
第2グループ(18人)スピルリナ(藻類)を摂取。
第3グループ(27人)ビタペクトを摂取。(ベラルーシ製のペクチン剤)
第4グループ(30人)ヤブロペクトを摂取。(ウクライナ製のペクチン剤)
第5グループ(36人)何も摂取せず。

 同じ期間だけ毎日飲み続けた結果、保養期間終了後の全員の体内放射能値(セシウム137)を測定すると以下のような結果でした。摂取前と摂取後の変化を%で表しています。
第1グループ 平均すると24.9%減。(子どもの平均は31.1%)
第2グループ 平均すると26.8%減。(親子間に大きな違いはなし。)
第3グループと第4グループの間に大きな差はなく、どちらのグループも子どもの平均は49.5%減。親は40.9%減。
第5グループは16.8%減。(親子間に大きな違いはなし。)

 1回だけのデータですので、確定的なことは言えませんが、これだけの効果があったということです。
 しかし、ベラルーシではスピルリナは広く国民の間に浸透しませんでした。
 それはスピルリナは藻類なのですが、ベラルーシには生息しておらず、飲もうと思ったらサプリになった商品を全て輸入しないといけないからです。
 ベラルーシは関税の高い国ですから、当然値段が上がってしまいました。ビタペクトの10倍の値段です。ベラルーシ人の平均月給は約3万円です。ビタペクトは300円ぐらいなので、スピルリナは3000円ぐらいです。
 月給3万円の人が3000円のサプリを、しかも家族全員の分買うのは難しいことです。
 そのため、ベラルーシではスピルリナが薬局で売られていても、なかなか売れず、したがってビジネスの観点から考えると、輸入しても売れない商品ですから、だんだんと輸入されなくなっていきました。
 そのため今ではベラルーシではスピルリナはめったと薬局で売られていないし、放射能排出策としては主流ではない、ということです。
 チロ基金としても、スピルリナはこのような状況ですので、チェルノブイリの子ども向けへの支援活動としてはスピルリナを使ったことがありませんし、たぶん将来的にも使わないと思います。

 日本ではスピルリナが売られていますが、値段はどうでしょうか? これも日本人であっても値段の感じ方は人によりけりだと思います。
 それからこのような注意事項もありますので、お子さんが飲まれるときには気をつけたほうがいいと思われます。

http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail86.html


 ベラルーシからの情報は上記のとおりですが、日本ではまだスピルリナが放射能の排出効果があるのかどうか、確定されていないようですね。
 私としては(言い方が悪くて申し訳ないですが)被爆した人に実験として飲んでいただいて、効果のほどをきちんとした機関で実証してほしいです。日本人の専門家が立ち上がってほしいです。


そのほかのサプリメントについて 「プルシアンブルー」

2011-07-03 | 放射能関連情報
 私は2002年からベラルーシでビタペクト2というペクチン剤を使ってのチェルノブイリ支援活動をしている者です。
なのでペクチンに関しては、経験も知識もあるほうなのですが、そのほかのサプリメントについては、専門家でもないので分からないのです。
 しかし、福島第1原発事故後、「チェルノブイリのときはこれこれのサプリが使われたそうですが、どうなんですか?」というメールがたくさんくるようになりました。
 繰り返しになりますが、私は専門家ではなく、ビタペクト2以外のサプリについては経験もありませんし、知識も乏しいです。チェルノブイリ後の対策として使われた、と言うことになっていますが、私が分かるのはベラルーシ国内の範囲内のみで、ウクライナやロシアで行われたことはよく分かりません。
 ここで回答するのはあくまで私が知っている範囲内のことで、ベラルーシに限定されるとふまえた上でお読みください。

 まずセシウムの除去剤として知られる「プルシアンブルー」ですが、放射能に汚染された土壌改良に使われる、とちらっと聞いたことがありました。
 しかし、ベラルーシの専門家に尋ねてみると、ベラルーシ国内ではプルシアンブルーを土壌改良に使ったことはないそうです。
 また人間に投与したこともないそうです。(他のロシアやウクライナではどうなのか私は知りません。)

 ベラルーシでは一度、乳牛のえさにプルシアンブルーを詰めたカプセルを混ぜて食べさせ、体内のセシウムを排出させようという案が出されました。しかし、酪農家の方から
「何この青いの。気持ち悪い。牛に食べさせたくない。」
という意見が出て、結局実行されませんでした。
 そのため効果があるのかどうか分からないままです。
 そもそも染料として使う化学物質なので、子どもはもちろん人に飲ませるのは、二の足踏むといった態度のようです。(ベラルーシの場合。)

 プルシアンブルーについてはこちらの毎日新聞の記事もご参考になさってください。
 原発で事故が起きたときのために備蓄しておくのは、高線量の急性被ばくをした職員が緊急に飲めるということで望ましいが、低線量被爆をする可能性の大きい一般住民が、服用するのはどうなのか? ・・・というのが私の率直な感想です。 

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<東日本大震災>福島第1原発事故 セシウム体外排出促進薬、「低線量」で効果不明
2011年7月2日(土)18:00
 ◇厚労省「注意を」

 東京電力福島第1原発の事故で被ばくへの不安が広がる中、複数の医薬品輸入代行業者が、高線量の急性被ばく時に投与される「プルシアンブルー」(PB)を個人向けに売っている。体内の放射性セシウムの排出を促し内部被ばくを軽減するとされるが、低線量被ばくへの効果は不明。逆に、不整脈などをもたらす低カリウム血症や便秘などの副作用が懸念され、国は医師の処方に基づく適切な服用を呼び掛けている。

 PBはセシウム137が体内にとどまる期間を3分の1に縮める効果があるとされ、世界保健機関(WHO)が各国に備蓄を推奨している。日本では昨年10月に販売が承認された。

 今回の原発事故では、医薬品製造販売会社「日本メジフィジックス」(東京都江東区)がドイツから7万2000カプセル(1カプセル0・5グラム)を緊急輸入し、政府に無償提供した。政府は原発復旧作業での急性被ばく時の投与を想定しており、一般の医療機関では扱われていない。

 ところが、同社によると、複数の医薬品輸入代行業者が事故直後、インターネットで輸入代行業務を始めた。薬事法上、医薬品の輸入自体は規制されず、購入しようと思えば誰でも手に入る。

 放射線医学総合研究所(放医研)はPBについてホームページで「(セシウムによる内部被ばくが)30ミリシーベルトでは治療の利益がなく、300ミリシーベルトで有意な効果がある」と説明。医療機関に対し、投与の際は▽医師の処方に基づく▽効果を内部被ばくを計測する「ホールボディーカウンター」で測る▽治療データを放医研に報告する――ことを求めている。

 前川和彦・東京大名誉教授(救急医学)も6月30日の政府・東京電力統合対策室の会見で「低線量被ばくへの効果は未知数」と述べた。

 厚生労働省災害対策本部は「PBには副作用があり得るし、偽物が出回ることもある。個人での入手や使用は勧められない」としている。【池田知広】

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 ■ことば

 ◇プルシアンブルー

 絵の具にも使われる青色顔料で、87年、ブラジルで医療用放射線源のセシウム137が漏れた事故で入院した住民46人の治療に用いられ、特に成人で効果が大きいことがわかった。しかし、それ以外の治療データはほとんどない。ドイツの製薬会社がカプセル状にして「ラディオガルダーゼ」の名で97年から販売している。