ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

食品の放射能測定 その3

2011-07-30 | 放射能関連情報
 測定器の上部パネルで表示された数値と先に測っていた検体の重さ、検体名などを職員がパソコンに入力します。
 そうすると、1リットルあたりの数値、そして1キロあたりの数値に換算されたものが表示されます。
 今回の検体はベリーで固形物(液体ではない)なので、1キロあたりの数値のほうに注目します。
 さらに検体によって基準値が違いますので、この場合「自家菜園のベリー類」の基準値(1キロあたり)も表示します。
 そして基準値より、多い数値だったら、食べてはいけない。少ない数値だったら食べてもいい、という判断をします。

 測定後、全ての数値をプリントアウトしたものを渡されます。測定料金は日本円にして1件100円ほどでした。(ただし料金が改定されることがあります。)

 この結果の表の見方ですが、ロシア語なので日本人の方にも分かるようにご説明しますと、
1番目の検体はスグリ(間違って職員さんが「ビルベリー」と入力していますが、スグリ(カシス)です。)
 依頼者の氏名、そして検査する個数が1点。重量は0.597キロ。
 測定時間は10分。1リットルあたりの数値は「7ベクレル以下」1キロあたりの数値は「12ベクレル以下」
 基準値は「野生のベリー類とそれを原料とする濃縮果汁食品 1キロ当たり 185ベクレル」なので、
「このスグリを食べてもよい。」という判断です。

 この「7ベクレル以下」という表示「<7」が、分かりにくいと言えば分かりにくいですが、つまり
「とても精密に検査すると、6.9ベクレルとか6.8ベクレルかもしれないけど、7ベクレルは超えないでしょう。」
ということです。

 精密に検査をしてみたら、
「7ベクレルだって言ってたけど、6.9ベクレルだったじゃないか!」
と怒る人はあまりいないかと思います。
 大事なのは基準値を超えているか超えていないかなので・・・。

 さて、2番目の検体はさくらんぼです。
 依頼者の氏名、そして検査する個数が1点。重量は0.653キロ。
 測定時間は10分。1リットルあたりの数値は「7ベクレル以下」1キロあたりの数値は「11ベクレル以下」
 基準値は「園芸栽培されたベリー類 1キロあたり70ベクレル」なので、
「このさくらんぼを食べてもよい。」という判断です。

 さらに検査員と所長のサイン、ベルラド研究所の公印が押してあります。

 いやあ、測定を受けてすっきりしました。0ベクレルではありませんでしたが、食べてもよい、という数値だったので家に持って帰って食べました。
 切り刻んだり、ぎゅうぎゅう詰めにしてつぶしたりしないので、測定したものも元通り返してもらえ、もちろん食べられます。
 ベリー類の汚染がこの程度だったので、他にもらった野菜も大したことはないでしょう。

 人によっては
「1ベクレルでも検出されたら、食べたくない!」
という人もいるかと思います。でもそんなこと言っていたら、現在のベラルーシでは食べられるものがとても少なくなってしまいます・・・。
 肉類だったら、塩水につけておくと放射能が減ります。(ベリー類は表面を水で洗うぐらいしか方法はないのですが、そんなに効果はないそうです。)
 肉類を測定してみて「1キロあたり基準値ちょうどの500ベクレルです。」と言われても、水につけて放射能が減るんだったら、食べられるようになるし、私だったら捨てたりせず食べますね。(そしてビタペクトも飲んでおく。)

 とにかく日本でももっと効率よく多くの食品を検査できるようになってほしいです。
 そして日本が定めた基準値が「ゆるい」と思っている人が多いようなので、測定して「食用可」あるいは「不可」と2種類に区別するだけではなく、食品そのものに測定した数値のシールを貼ってほしいです。
 肉類は1キロあたり499ベクレルだと日本では食用可、で流通・販売されますが、人によっては
「うちの子はまだ小さいから、食べさせたくない。」
と思う人もいるでしょう。また逆に
「私は年寄りだから、499ベクレルの肉でも買って食べます。」
と考える人もいると思います。
 また「100ベクレルでした。」という食品を下ごしらえで工夫して10ベクレルにまで下げられる方法を知っている人からすれば、「これぐらいなら、家でこれぐらいに私は減らせる。だから買おう。」という判断の目安になります。

 こうして購買者に詳しい測定値の情報を提供して、それぞれに判断してもらうほうがずっと気分よく食品を買えるようになると思います。
 (ベラルーシでは測定結果を食品それぞれに表示していません。基本的に「売られているものは全て基準値以下」ということになっています。) 
 

食品の放射能測定 その2

2011-07-30 | 放射能関連情報
 すでに日本では食品から放射能が検出され、特に牛肉の安全が大きな問題となっています。 
 牛の全頭検査をする、ということになっていますが、検査する器械の数が少なくて追いつかない状態ですね。

 日本のニュースでも検査の様子が紹介されていましたが、驚いたことが1点ありました。それは肉でも野菜でも、1センチ角に刻んで、さらに専用容器に入れるときにすりこぎのような棒で、ドンドン押し込んでぎゅうぎゅう詰めにしていたことです。
 ぎっしり詰める理由は「空気が中に入らないようにするため。」で、どうして空気が入ったらいけないのかと言うと、その空気に含まれる放射能も検出すると、純粋に牛肉だけの値を測定することができなくなるから、ということでした。

 ベルラド研究所での食品測定ですが、全くぎゅうぎゅう詰めにしませんでした・・・。
「ベリーの間に隙間があるから空気が入っていることになりませんか?」
と尋ねましたが、職員の方は
「ごくわずかな量の空気ですから、大丈夫です。」
と言う答え。
 日本では塊の牛肉を切り刻んでから、容器に入れて空気が入らないようにぎゅうぎゅう詰めにしている、と話すと
「ぎゅうぎゅう詰めにした場合としていない場合との間に、そんなに大きな差が出るほどだとすると、その空気は高度に放射能汚染されている可能性が高い。だとすると、そのような空気を吸いながら検査する人に被曝症状が出る。そんな危険な放射線量のところで、食品の検査をしているんですか? 検査せずに検査員は自分の健康のため避難するほうがいい。」
と言われました・・・。

 つまりぎゅうぎゅう詰めにしてもしなくても、そんなに大きい差が出るとは思えない、と言うことです。
 そしてぎゅうぎゅう詰めにする作業自体が、無駄と言われてしまいました・・・。
 日本の食品検査では測定に1-2時間かかり、今は検査の希望が殺到しているから、追いつかない、と話すと
「ぎゅうぎゅう詰め作業は飛ばして、測定プロセスを簡略化し、効率化をはかれ。」
と言われました。
「肉や野菜を切り刻むのも意味がない。塊ごと測定しても大きな差は出ない。これも時間の無駄。」
だそうです。

 ベルラド研究所の検査ではそんなことは一切していない、ということでした。
 画像は容器に入れたベリーを測定器に入れたところです。測定器械の蓋はまだ閉まっていません。
 (それにしても年季の入った器械・・・。今まで何万件と測定してきたんだろうな・・・。)(^^;)
 
 蓋を閉めてから測定開始。そして10分で終了。
 検出した数値が上部のパネル部分に表示されます。 
 10分だけの測定時間で大丈夫なのか? という意見もあると思います。これに対し、ベルラド研究所は
「長く測定すればするほど、正確な値が出る。しかしベルラド研究所での測定の経験から言えば、最低10分測定すれば、30分や45分、1時間、1時間半とさまざまに異なる時間で測定した場合の結果とほとんど同じだった。つまり測定時間は10分以下だと、不正確な結果になる可能性があるが、10分だったらそれ以上長く測定しても違いはない。」
 ということで、この研究所では測定時間10分、と決めているそうです。 
 測定するのはセシウム137です。 
 
  

食品の放射能測定 その1

2011-07-30 | 放射能関連情報
 私はこのブログ上でお知らせしているように、自分と自分の子どもでペクチン剤を飲むという人体実験(^^;)をしている者です。
 7月21日中間報告をしましたが、引き続きビタペクトTを飲んでいます。
 もちろん食べる物にも注意しています。
 先日夫が友だちといっしょに釣りに行ってきました。帰りに友だちの実家(チェルノブイリ原発から約340キロの場所)に寄ると、そこの家庭菜園で作った野菜やベリー(さくらんぼ)をたくさんもらいました。スグリ(カシス)ももらったのですが、これはこの友人の実家の近くの林の中に生えていたものです、
 うれしい。しかし私は今、人体実験中の被験者である身。放射能に汚染されているかもしれないものは食べられない・・・。
 それで、もらったものの中でも、一番放射能を取り込みやすいと言われているベリーだけ、ベルラド研究所で測定してもらうことにしました。これが大丈夫だったら、同じ菜園で作ったほかの野菜も安全だろう、と思ったからです。
 今回はそのレポートです。
 画像は持っていったスグリの重さを測っているところです。 赤スグリと黒スグリが混ざっています。