ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

動物実験

2011-07-29 | 放射能関連情報
 7月27日付の投稿で「あやしい放射線対策」という記事のことを紹介しましたが、その後思ったことがあります。この紹介記事の中で、味噌のことが取り上げられているのですが、こうなっています。

「味噌については、その成分として含まれているジピコリン酸に効果があるとするマウスの実験があると宣伝されている。しかし、寿命が約3年しかないマウスと寿命が80年以上の人では生体維持機構が異なっている可能性があるし、実際に人とは代謝機構などが少し違っていたりするので、マウスでの実験結果がそのまま人では通用しない場合も多い。」

 これを読んで、これが本当ならマウスやラットを使った実験はほとんど全て無駄になってしまうのではないか? と思いました。
 それはそうです。人間とネズミはちがいます。でもそんなことを言っていると、動物実験をすること自体が無駄のように思えてきます。
 最初から何でも人間で実験するほうがいいと思いませんか?
 これは悪い冗談としても、よくテレビの健康番組でもマウスを使った実験の映像を流していますよね?
 これも全部、証拠としては無駄(人間でも同じ効果があるかどうか分からない。)ということになります。
 今後はテレビの健康番組で動物を使った実験を見ても、見る価値がない、と思ったほうがいいのでしょうか?
 
 それから動物を使ってなくても、テレビ番組の実験でよく
「このような実験をするのは、今回協力してくれた○○大学の○○先生も初めてです。」
と紹介していたり、実験結果を
「本邦初公開!」
と前ふりしたり、さらには実験をした先生が
「このような結果になるとは・・・!(専門家である私も予想していなかった。)」
と驚いていたりする様子が番組で放映されたりします。

 これも「でもたった1回やった実験の結果ではないか。」とか「被験者は5人だけではないか。」ということで信用してはいけない、ということでしょうか?
 こうして考えると、健康がテーマの教養番組を見て信用していいのかどうか分からなくなります。
 
 「本当に効くのかどうか分からないので、放射能に効くと言われている物をあわてて買ってはいけない。」
というアドバイスも大事だと思います。しかし、テレビの健康番組で「○○がインフルエンザ予防になる。」というだけで、次の日、その○○を買いに行く人は日本にたくさんいます。
 もちろん○○を摂取したからと言って、インフルエンザにならない100%の保証があるわけでもありません。
 要するにテレビの健康番組で放映された結果も、そこまでに至った経緯を、超がつくほど詳しく説明しているわけではないので、そういう場合は、信用するな、ということになるのか? ということです。
 だったら見るに値するテレビ番組なんて、ごくわずかになるでしょう。 

 それから医学的に効果があると確かめられていないといけない、という意見も前出の記事にあります。(以下抜粋です。)

「健康食品に関しては、動物実験などでその効果が証明されたとして宣伝されているものも少なくないが、人で実際に有効性がきちんと確かめられていないと信頼性は低い。もし、本当に高い効果が証明されているのならば、医薬品や治療法としての公的な認定を受けているはずである。健康食品のままであるということは、医学的に効果があると確かめられていないということでもある。」

 では日本で例えばペクチンが放射能排出に有効である、ということを医学的に証明するにはどうすればいいのか、皆さんご存知ですか?
 私が薬品関係の専門家に尋ねたところ、このように教えてもらいました。

 まず被曝している被験者を集める。体内の被曝量を測定する。同時に血液や尿、大便の放射線量も測定する。
 その後病院や保養所のような施設に1ヶ月住んでもらう。3度の食事は全て細かく放射能測定し、含んでいる放射能をチェックする。それ以外の食品を持ち込んで飲んだり食べたりするのは不可。そして毎日ペクチン剤を摂取する。
 こうした状態で施設内で暮らす。
 5日後、10日後、というように定期的に被験者の体内放射能と血液や尿、大便の放射線量も測定する。その変化をグラフにしてどれぐらいの放射能がどのように体外へ排出されたか調べる。
 以上のような実験を、今度は被験者の性別や年齢層を変えたさまざまなグループでも実験。
 もちろん1回ずつではなく、大勢の被験者を使って実験を繰り返す。
 その結果、本当に体内放射能値が減少していれば、ペクチン剤には放射能排出の効果があると、医学的に証明される。

 ・・・ぜひ日本国内の専門家が集まって、以上のような実験を早くしていただきたいです。
 とは言うものの、証明されるまでに、どれぐらいの時間が過ぎていくのでしょうか?
 数年はかかると思われます。
 その間に被曝していく人もいると思います。いまだに福島第1原発から放射能が漏れ続けています。
 
 チェルノブイリの事故が起きたとき、ペクチン剤などベラルーシにはありませんでした。ビタペクトのような商品として開発されたのは2000年です。事故発生から14年経過していました。
 日本はもっと早くに何かできるはずです。

 話は戻りますが、これからは日本での被曝に関する実験を取り巻く状況はよくなりますよ。わざわざ放射線を当てなくても、マウスの代わりにすでに放射線被曝している方がおられるでしょうから、動物実験段階は省略し、すぐに人体で実験できます。動物で実験しても信用できないと言うなら、そんな無駄は省いてさっさと人間で実験してください。
 ただし、私自身は動物実験が無駄とは思っていません。また日本でこのような実験の被験者になる方々の心境を思うと、胸が痛いです。
 ベラルーシやウクライナでは、すでに大勢の人が被験者になっています。それは被曝している国民が大勢いるからできたのです。
 その結果を日本人研究家も貴重な資料だと考えていただきたいです。
 ところがそう言うと、今度は
「日本人とベラルーシ人(あるいはウクライナ人)では体質が違うから、外国人の実験結果はそのまま日本人に通用するとは限らない。」
という専門家が出てくるんですよね・・・。
 そうこう議論している間にも、どんどん時間が経っていきます・・・。