いろいろなサプリメントについて、このブログ上で情報をご紹介しましたが、ここで
「じゃあ、ペクチンはどうなのか? 効き目はあるのか?」
と質問される人もたぶんいるだろうな、と思いました。
すると、すでにこのような記事「『健康食品で解毒』を信じてはいけない」がありました。松永和紀さんという科学ライターが書いた記事で、スピルリナとアップルペクチン(ビタペクト)への批判記事です。
引用すると長くなるので、記事の前半のスピルリナの記事「スピルリナ効果は論文がない」について関心のある方はリンク先をご覧ください。
http://www.foocom.net/column/editor/4494/
ペクチンについてはここで抜粋します。以下をご覧ください。 < >内の文は私が記入したものです。
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アップルペクチンは論文あるが、こてんぱん
サンデー毎日は「セシウムを排出するアップルペクチンの効能」というタイトルで記事化している。紹介しているのは、ベラルーシの研究機関「BELRAD研究所」が行ったという研究。アップルペクチン(2g相当)を添加した食品を3週間食べさせた場合と食べさせない場合の体内セシウム量を比較したところ、未摂取の子どもは13.9%減だったが、摂取した子どもは63.6%減っていた、という。
pubmedで、pectin(ペクチン)とcaesium(セシウム)という二つの言葉で検索すると、たしかに2004年に、Institute of Radiation Safety Belradが論文を2つ出している。
この研究所は、ウェブサイトによれば、民間組織であり、アップルペクチンにビタミン類や微量元素等を加えた食品添加物「Vitapect」を作り、売り出していることが明記されている。そして、21日間子どもに食べさせた結果、プラセボ群は体内の放射性セシウムが14%減、Vitapectを食べさせた群は66%減となったことが説明されている。この内容がサンデー毎日の記事に近い。
では、論文の中身はどうか?
Vitapect摂取による体内セシウム濃度や心臓疾患への影響などを調べている。地元でできる汚染された食品を食べながら、Vitapectを1日に2回、5gずつ16日間にわたって摂取した結果、もともと体内セシウム濃度が中程度のグループでは、体内セシウムが39%減った。高程度のグループでは、28%減である。心臓血管系や心電図の異常も、Vitapect摂取により軽減されたという結果が出ている。
2004年1月の論文 2004年12月の論文 <当ブログからこの論文には飛べません。元になった記事からアクセスしてください。>
ところが、興味深いことにこの2つの論文を、けちょんけちょんにけなしている公的機関があるのだ。フランスの放射線防護原子力安全研究所(IRSN)である。2005年に「Evaluation of the use of pectin in children living in regions contaminated by caesium」という報告書が出ている(IRSN ニュース)。
ベラルーシに駐在するフランス大使がペクチンの効果についての評価を依頼してきたので、IRSNが検討したようだ。だが、論文をとことん批判している。実験設計がおかしく、説明されるべきことが説明されていない、被験者の数に矛盾がある等、容赦ない。
IRSNは、この2004年の研究以外のペクチン研究も含めて評価し、現状ではペクチンが放射性物質の除去に役立つとする根拠がないことを示し、必要な試験等を懇切丁寧に提言している。
だが、提言に沿う実験が行われ発表された気配はない。一つだけ、2007年にBELRAD研究所とドイツの研究者の共著で論文が出ている。取り寄せて読んだが、これまた奇妙な研究だ。
今度は、子どもたちに放射性物質に汚染されていない食事を摂らせながら、Vitapectと食べさせた群と食べさせないプラセボ群で比較している。Vitapect摂取群は体内セシウムが33%減、非摂取のプラセボ群が14%減という結果だ。論文には、セシウムが消化管内に分泌してくるので、食べたペクチンがセシウムと化学的に結合して排出される、という“仮説”が書かれている。
だが、論文では仮説の前提となるべき文献が示されていない。セシウムが消化管に選択的に蓄積しているという研究結果、筋肉や内臓など全身にあるとされるセシウムがわずかの間に選択的に消化管内に集まってくるという証拠が、なにも示されていないのだ。セシウムについて、ICRP(国際放射線防護委員会)等は筋肉など全身に分布する、としている。これでは、仮説は受け入れられない。
この研究は、論文として発表されたが、BELRAD研究所の関係者以外からは引用されていない、という事実も付け加えておこう。要は、レベルの低い論文である、ということだろう。
ちなみに、フランスでラットを用いて、実際に被ばく治療に使われたことがあるプルシアンブルーという物質とアップルペクチンのセシウム排出効果を調べた結果が、2006年に論文として発表されている。結果は、プルシアンブルーは「効果あり」、アップルペクチンは「なし」である。
効く「健康食品」はない
ほかにもいくつか、「効果がある」と話題になった食品があるが、どれもいい加減な説である。内部被ばくの軽減については、放射線治療や事故における被ばく対策として、医学的研究がかなりの程度蓄積しているが、決め手に欠ける(緊急被ばくの医療研修のホームページ参照)。<このホームページについては以下をクリックすると見られます。>
http://www.remnet.jp/lecture/forum/sh10_03.html
こうしたことからみても、特定の食品による排出効果など期待できない。そんなものがあれば、とっくの昔に放射線治療を受けている患者さんの食事に活かされているはずだ。
科学的な検証を確認せずに、「あれがいい」「これがいい」と報道し、それを信じてしまうのは、特定の業者の利益につながるだけだ。報道機関の倫理が問われている。その事実に、消費者も早く気がついてほしい。
厚生労働省が今年3月、「健康食品の正しい利用法」というパンフレットを作成した。役所のパンフレットには珍しく、実に小気味よく明確に、健康食品の問題点を指摘している。合わせて読んで、判断を。<こちらもこのブログから直接アクセスできません。>
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引用は以上です。
というわけで、「こてんぱん」の「けちょんけちょん」にけなされてしまいました。
確かに「ラットを使った実験では、プルシアンブルーは効果あり、アップルペクチンはなし」なのかもしれません。
でも効果があると言われても、プルシアンブルーにはこのような報道もありますし
http://blog.goo.ne.jp/nbjc/e/705d8300ad09ec8eef6436c22545923e
私は効果があると言われてもプルシアンブルーはあんまり飲みたいとは思いません。
(胃袋の中が真っ青になるイメージです。これ飲まなかったら今日中に100%の確率で死ぬ、と言われたら飲むと思いますが。)
それと上記の緊急被ばくの医療研修のホームページですが、開いてみて私は
「わあ、放射能排出効果があるものって、こんなにたくさんあるんだー。すごーい!」
と感動しました。しかし松永さんに言わせるとそれもこれも「決め手に欠ける」で、効く「健康食品」はない、そうです。
日本はなかなか薬事法が厳しくて、認可が下りにくいです。時間も費用も被験者も膨大な数が必要です。
そうこうするうちに病状が悪化して亡くなってしまう人もいます。
でもそんなに健康食品に効果がないなら、なんで健康食品、というもの(分類名)が存在するのか・・・とも思います。
さらに松永さんは「女性週刊誌を信じるな!」といった記事を書かれていたり、
http://www.foocom.net/column/editor/3733/
(この記事の続きに当たる記事はこちらです。「風評被害は起きて当たり前。市民をバカにしないでほしい」)
http://www.foocom.net/column/editor/3769/
今、日本は戦争勃発に匹敵するような事態に陥っているわけですから、読者も記事を書く側も混乱している部分があると思います。
あまりにも真っ赤な嘘を記事にしたり誇大広告を出すのはいけないと思います。しかし「医学的根拠があるものだけ書け。」と言われると、放射能に関してはほとんど何も書けなくなってしまいます。日本では研究が進んでいません。
なぜなら放射能が人体に与える影響について調査しようとすると多くの被験者がまず必要です。その被験者とは被爆していないといけません。
放射能被爆を受けている人は癌患者などに比べるとその数は非常に少なかったわけです。
(現在は被爆した人の数が増えていくと思いますので、これからその方々を使った研究が進むでしょう。)
日本には表現の自由があると思います。AERAが記事にするのも自由ですし、松永さんの意見も表現の自由、私のブログもそうだと思います。
他の記事や論文を批判されるのがこの方のお仕事のようですが・・・。
そんなに科学者としての知識があるなら、そして健康食品や食材の調理方法にも、効果がない、栄養も抜けてまずくなる、と言われるのなら、どうしたらいいのか教えてください!
批判も結構ですが、ご自分に科学的な知識があるのなら、ペクチンなどに代わる放射能を排出する最善最高の対策を教えてください、頭のいい人、お願いします・・・! と思いました。
それとも「排出する方法など全くない。」と決め付けられているのでしょうか?
多くの読者はそんな死刑宣告みたいな言葉、聞きたくないですよ・・・。
だから、女性週刊誌も売れるんです。
他にも食に関しては「チェルノブイリを教訓にするのは的外れ」とも書かれていますが、本当ですか?
「『不検出』なのに、放射能抜き指南?」
http://www.foocom.net/column/editor/4420/
そんなにチェルノブイリを教訓にすることは一つもないのですか? 全く? 今後も?
松永さんがこの記事を書かれたときにはまだ報道されていなかったと思いますが、すでに放射能に汚染された牛肉が出荷され、販売され消費者の口に入っています。
・・・いろいろ書きましたが、ペクチンが放射能を排出するメカニズムについてはちゃんと説明したいと思いました。
この点についてはベルラド研究所に質問してきましたので、このブログで公開します。(長くなりそうなので、別の記事にして投稿します。)
(しかしベルラド研究所やビタペクト配布活動をしている私の説明など、最初から聞いてくれない人もいるでしょうね・・・。)
そして確かにSOS子ども村でビタペクトを子どもたちに配っている者の実感としても、ビタペクトが効いているときと効いていないと思うときがあります。チロ基金の活動「ビタペクト2&『放射能と栄養』無料配布・SOS子ども村」をご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/nbjc/c/e1e67d76a4796f3c95377bb7bdabd215
もう少しこまめに体内測定ができたら、効果のほどがはっきり分かっていいんですけどね・・・。(まずは自分と子どもの結果をお見せしなくては。被験者たったの2名ですが。)
正直言いまして、このような「アップルペクチンはこてんぱん」といった記事を私のブログで公開するのは、勇気がいりました。
なぜなら2002年からずっとチェルノブイリの子どもたちにペクチン剤である「ビタペクト」を日本人の方々からの善意の寄付金で購入し、渡し続けている活動をチロ基金はしているからです。
そこへいきなり「こてんぱん」と批判されると、読者によっては「ああ、そうなのか。だったら、このような活動をしているチロ基金は怪しい団体だ。」と思われるからです。
しかし、現在の日本で、多くの方が放射能に対して不安を抱えており、何とか対策をしようとしてらっしゃることを考え、またチロ基金がこの活動を続けてきた意味と今後も続ける意味も考えて、さらにアップルペクチンに関するご意見は、反対意見も合わせて、公開するほうが多くの日本人の方々の、判断材料の一つにもなるかと思い、あえて今回の記事を投稿・公開することにしました。