ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

本「自分と子どもを放射能から守るには」調理法編 1 植物系食材 (訂正情報あり)

2011-04-16 | 放射能関連情報
 調理方法によって食品から放射能を除去するにはどうしたらいいのでしょう。
 その方法をご紹介する前に、言っておかないといけないことがあります。
 それはあまりにもひどく汚染されたものは、いくら調理方法に工夫をこらしても、やはり放射能が残ってしまい、食べられない、ということです。
 例えばゴメリ州のある地域では、1キロあたり32万ベクレルが検出されるキノコが採れます。これを調理して10分の1に減らすことができても、3万2000ベクレルになるだけです。これでは食べられません。
 このようなことをふまえたうえで、この本を読み進めてください。

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 植物系の食材の場合。

 野菜や果物はよく流水で洗いましょう。

・キャベツ 表面の葉を3、4枚取って捨てる。これだけでこのキャベツから検出されていた放射能を40分の1にまで減らすことができます。

・ニンジンなどの根菜 地上部分に出ている茎や葉を取り除く。これだけで放射能を15分の1から20分の1にまで減らすことができます。
 よく洗って皮を剥き、さらに洗ってください。
 ニンジンやカブなどは茎がついていた部分(根っこの上の部分)も1センチから1.5センチ切り取ってください。

・穀物 表面を覆っている殻は脱穀して取り除く。これだけで放射能を10分の1から15分の1にまで減らすことができます。

・野菜を酢漬け(マリネ)にするとさらに放射能が野菜から流れ出て行きます。しかしその漬け汁は捨てること。


(日本人への応用。野菜や果物を何かに漬けて保存すればいいと思います。水分の多く出る漬物もいいと思います。でも漬け汁や出てきた水分は捨ててください。)
  

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 すみません。翻訳に間違いがありました。最初に更新したとき、

 「・ニンジンなどの根菜 地上部分に出ている茎や葉を取り除く。これだけで放射能を5分の1から7分の1にまで減らすことができます。」
 
 としていましたが、正しい訳は「15分の1から20分の1にまで減らすことができます。」です。
 申し訳ありません。おわびして訂正します。

ベルラド研究所発行の本「自分と子どもを放射能から守るには」プロローグ編

2011-04-16 | 放射能関連情報
 ベルラド研究所は「自分と子どもを放射能から守るには」という「親のための手引書」という副題のついた本を2003年に出版しました。この研究所は主にベラルーシ国内にあるチェルノブイリ原発事故汚染地域での研究に大きな実績があり、体内に蓄積された放射能値のデータもふんだんに持っています。
 特にセシウムの研究をしており、ビタペクトを開発したのもこの研究所です。

 「チェルノブイリ:放射能と栄養」はウクライナでウクライナに住む被曝者のために作られた本です。
 「自分と子どもを放射能から守るには」のほうはベラルーシでベラルーシに住む人のために作られました。
 執筆したのは副所長のウラジーミル・バベンコさんです。
 この本の内容を日本語に翻訳してもよい、と著者、そしてベルラド研究所に許可をいただきました。
 しかし、のんびり日本語版を出版するのを待っていられないので、部分訳になりますが、このブログ上で発表します。
 例えば「ベラルーシ国内で食品の放射能値を測定してくれる施設一覧」というものもあるのですが、日本人にはあまり関係がないので、翻訳を省略します。
 またこの本で示されているデータは2003年までのものです。またベラルーシと日本の気候風土がかなり違いますから、参考にならないような部分もあるかもしれません。
 しかし私の目から見て、少しでも日本人のために役立ちそうな内容の箇所は訳します。
 放射能の体内被曝を心配されている日本人の方はどうかお読みください。 

ベルラド研究所より(放射能の海洋汚染について)

2011-04-16 | 放射能関連情報
 ミンスクにあるベルラド研究所へ行ったとき、研究所長をはじめ、研究員、職員の方々から今回の震災の被災者の方々への哀悼の言葉をいただきました。
 所長のネステレンコさん(2代目)とお話したのですが、福島第1原発事故の放射能漏れを大変憂慮されていました。
 とにかくデータをたくさん取って調べないといけないし、それを国民にオープンにすることが大事だと話していました。
 しかしチェルノブイリ原発事故の経験を参考にして対策を考えるのも大事ですが、そのときの状況が全て日本のケースに当てはまるわけではありません。
 例えば海洋汚染。ベラルーシには海がないので、放射能が海産物に与える影響はチェルノブイリのときにはデータがありません。
 しかし、川や湖、池などは汚染されました。それを海の場合に応用して考えるとこうなる、ということでした。
 海のほうが放射能性物質は拡散され、薄まる可能性が高い。
 しかし放射能性物質の種類によっては、比重の重いものは、遠くまで流されず、近海に溜まる。
 比重の軽い物は遠くへ流されるが薄まる。
 ベラルーシの場合、池や湖の底の部分に放射能性物質が溜まっており、水面に近い部分はあまり放射能はなかった。
 特に水底のぼこぼこした穴の底にたまっているので、そこを住処とする魚は汚染度が高かった。
 今の日本の近海もそのような状態になりつつあるのではないか?

 さらに時間が経つとどうなるのか?
 水底の穴の部分や、海底の岩のぼこぼこ部分に放射能が溜まるが、そこに海草や藻が生える。これらの海草は放射能を吸収しながら成長する場合がある。(海草の種類によって吸収度が異なるだろう。比較的安全な海草もあれば、これは危険だ、という海草もあるだろう。しかしベラルーシには海草に関する放射能のデータがないので、何とも言えない。)

やがて海草や藻を食べる草食の魚が放射能を体内に取り込んでいく。さらにそれを肉食の魚が食べる。こうして食物連鎖によって、放射能の濃度が高くなる。
 もっとも肉食魚に高い放射能がたまる状態になるには時間が必要で、いますぐこうなる、という話ではない。
 肉食魚によってはたくさんのエサ(他の魚)を必要としてすぐ成長するものもいるし、そうでないものもいる。

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 海底の様子を「ここにへこんだところがある。」「ここにはこういう魚が棲んでいる。だからこれは危険だ。」と詳細に調査するのは困難です。それに魚は泳いで居場所を変えてしまいます。
 地上より汚染度地図を作りにくいです。海の上のこの地域にこれだけの放射能が流出した、と発表はできても、海中や海底でどのように分散していくのか、調べるのは大変です。

 一番放射能が溜まってしまうと思われる肉食魚ですが、そういう魚は大型のものが多く、普通日本人はうろこも内臓も取ってしまいます。また骨も食べないことが多いです。ストロンチウムは骨に溜まりますから、肉食魚を食べるとき、骨を食べないようにすればいいのです。
 また放射能性物質は内臓(肝臓や腎臓など)に溜まりやすいので、それを取ってしまえば、人間の体の中に放射能性物質が入ってくるのを防げます。
 ただセシウムは筋肉にたまりやすいので、魚の肉を食べると人間の体内に入ってしまう可能性が他の放射能性物質と比べると、高くなります。
 セシウムを魚肉といっしょに食べてしまっても、体内に蓄積しないように、普段からカリウムを摂っておきましょう。
 カリウムが体の中にたくさんあればあるほど、セシウムが入る余地がなくなり、そのまま排出される可能性が高くなります。

 次に重要なのは、小魚です。大型肉食魚から放射能が検出されたという報道が、今からあったとしても、私は心配しません。
 しかし頭ごと、骨ごと食べてしまうことが多い小魚から調理の段階で、放射能を減らすことは難しいです。
 なので、小魚は食べないほうがいい、ということになります。

 しかしそれは放射能が検出されたものだけです。
 安心な海でとれた小魚すら食べないというのはかえってよくありません。
 小魚にはカルシウムがたっぷりです。今のうちに安全な小魚をどんどん食べましょう!
 そして骨の中にカルシウムを取り込んでおいてください。
 骨がカルシウム不足でスカスカだと、そこへストロンチウムが入り込みやすくなります。
 鼻のような軟骨に蓄積されたストロンチウムは排出される可能性もありますが、固い骨の部分に取り込まれたストロンチウムは排出させるのは不可能、と思っておいてください。(ビタペクトでも無理です。)

 さて、ベルラド研究所は「自分と子どもを放射能から守るには」という「親のための手引書」という副題のついた本を出版しました。今回、日本人にも読むように、と20冊あげると申し出があったのですが、全部ロシア語の本・・・。
 日本人には読めないのでお断りし、1冊だけもらいました。ちなみに英語版もないそうです。
 前にどこかのヨーロッパの国の研究者がベルラド研究所に来たとき、
「英語版はないのか?」
ときかれ、ありません、と答え、どうして英訳しないのか、ときかれたので
「チェルノブイリ以外にこんな情報が必要になるでしょうか?」
と逆質問したそうです。(執筆者談。)
「まさか日本語にしないといけないときが来るとは思わなかった。」
とも話していました。
 この本の内容を日本語に翻訳してもよい、と著者、そしてベルラド研究所に許可をいただきました。
 しかし、のんびり日本語版を出版するのを待っていられないので、部分訳になりますが、このブログ上で発表します。
 放射能の体内被曝を心配されている日本人の方はどうかお読みください。