電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ハイドン「弦楽四重奏曲第11番ニ短調Op.9-4」を聴く

2019年07月27日 06時02分00秒 | -室内楽
先日ダウンロード購入したハイドンの弦楽四重奏曲全集ですが、手始めに作品9の6曲を順に聴いております。この作品番号はハイドンが自分でつけたのだそうで、ファイル名を手がかりに調べてみると、

Op.9-1 第12番ハ長調
Op.9-2 第14番変ホ長調
Op.9-3 第13番ト長調
Op.9-4 第11番ニ短調
Op.9-5 第15番変ロ長調
Op.9-6 第16番イ長調

となっているようです。その中でもとくに印象的なのが、唯一の短調作品である第11番、ニ短調Op.9の4です。



山形弦楽四重奏団(*1)の演奏記録で「Op.9-4」を検索してみると、2000年5月、第15回定期演奏会で取り上げられているようで、この頃はまだ演奏会通いができる状況ではなかったものですから、実演に接することはできませんでした。また、当然のことながら初期作品はCDでも持っていませんので、今回の全集で初めて接することになります。

第1楽章:モデラート、ニ短調、4分の4拍子。解説PDFファイル中では、perfect masterpiece だそうで、作曲技術的にも相当に高度なことをやっているらしいのですが、もちろん当方にはそのようなことはわかるはずもなし。でも、何か屈託を抱えたようなこの音楽の表情にはぐっと惹かれるものがあります。
第2楽章:メヌエット、ニ短調、4分の3拍子。前の楽章の一種の激しさはしだいに緩和されます。最後の方、トリオ部は2本のヴァイオリンのみで奏されます。
第3楽章:アダージョ、カンタービレ、変ロ長調、2分の2拍子。親しみやすい優しい旋律で始まります。第1ヴァイオリンの腕の、というよりも美音の聴かせどころかもしれません。
第4楽章:始めのニ短調に戻りますが、悲嘆の色合いは薄れ、技術的・ヴィルトゥオーゾ的な性格が強くなり、フィナーレとなります。

ふーむ、なかなか魅力的ないい曲です。Op.9の六曲の中で唯一の短調の曲、しかもはじめは少々鬱憤を抱えたような雰囲気なのに、しだいに気分が和らぎ、優しい緩徐楽章を経て幾分かスカッとするフィナーレに至るという、実にセラピストのような音楽です(^o^)/
バリトン(*2)という楽器にご執心の雇い主エステルハージ侯の求めに応じてたくさんのバリトン三重奏曲を書いた宮仕えの副楽長ハイドン(*3)が、自分自身の自発的な欲求をもとに書き上げたらしいこの六曲の中でも、このOp.9-4は一番取り繕うことなく心情を盛り込んだ音楽なのかもしれないと思ったりします。

(*1):山形弦楽四重奏団ブログ
(*2):バリトン(弦楽器)〜Wikipediaより
(*3):フランツ・ヨゼフ・ハイドン〜Wikipediaより


YouTube でも見つけました。同じ Festetics Quartet の演奏のようです。
J. Haydn - Hob III:22 - String Quartet Op. 9 No. 4 in D minor



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