電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山響第215回定期演奏会でリストとメンデルスゾーンを聴く

2011年08月20日 05時54分10秒 | -オーケストラ
平日の金曜夜に、山形テルサホールで、山響第215回定期演奏会を聴きました。山形では1回限りの公演で、土曜日には同プログラムで米沢市で演奏会を開催するとのことです。曲目は次の3曲。

リスト 交響詩「ハムレット」
リスト ピアノ協奏曲第2番 イ長調、金子三勇士(Pf)
メンデルスゾーン 交響曲第4番 イ長調「イタリア」
 ピーター・ルバート Peter Rubardt 指揮 山形交響楽団

会場に到着した時は、ホワイエで佐藤麻咲(Ob)さん、川上一道(Cl)さん、高橋あけみ(Fg)さんによる木管三重奏が行われておりました。最後のところだけを聴くことができましたが、木管だけのアンサンブルというのも、いいものですね~(^-^)/

会場に入り、通訳つきで指揮者のプレトークを。ピーター・ルバートさんは、スラリと長身のアメリカ人指揮者で、ペンサコラ交響楽団(*1)の音楽監督としてすでに14シーズン目を迎えるとか。フロリダ州北西端にある、周辺人口が約40万の港湾都市で、日曜の午後に親しみやすいポップス・コンサートを開催するなどの努力で観客動員数を大幅に増やした実績の持ち主です。お話は本日の曲目の紹介で、最後の曲の「イタリア」から逆に、リストのピアノ協奏曲、交響詩「ハムレット」について、簡単に触れました。

さて、第1曲め、リストの交響詩「ハムレット」です。私も初めて聴く曲。ステージ上には左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その奥にコントラバスと並び、中央奥に木管、さらに奥に金管、左奥にティンパニが配置されています。大きな三角錐のコーンのようなミュートのかかったホルンのくすんだ音で始まり、木管とティンパニが続きます。低弦がうなると、そこはもう怪しく不気味で暗鬱なリストの音楽世界です。全休止がひんぱんに入り、19世紀の当時、見せ場を作る名人だったであろうヴィルトゥオーゾの面目躍如たる音楽。



そしてステージ上で楽器の移動があり、中央にピアノが配置されます。このあたり、スタッフも楽器の担当者も、すっかり手慣れたもので、あっという間に終わります。

2曲目は、リストのピアノ協奏曲第2番。私も、シフラ父子のCDなどで聴いたことがあるくらいで、あまりなじみの曲ではありません。実演で聴くことができるのは、滅多にないチャンスです。曲は、フルート、クラリネット、ファゴット等の木管から始まり、弦とともにピアノが入る第1部:アダージョ・ソステヌート・アッサイから、第6部:アレグロ・アニマートまで、六つの部分からなり、古典的な三楽章形式は踏襲しておりません。実際に、金子三勇士さんのピアノの独奏部が各部を接続して音楽のイメージをつなぐ形で展開されます。それにしても、金子さん、唖然とするほどに若さと活力あふれるイキのいいピアノ演奏で、まったくお見事。ピアノとチェロの対話など、ほれぼれします。「実は第1番よりもこの第2番が好きだ」と話していたピーター・ルバートさんの指揮が、ケレン味たっぷりの第1番に比べて(^o^;)この曲の持つ「大人の音楽」の魅力を示してくれていたように思いました。

金子三勇士さん、拍手に応えて、アンコールを一曲。J.S.バッハの「フランス組曲」から、「サラバンド」です。リストの後のバッハ。この対照がステキでした。

さて、15分の休憩の後、後半はメンデルスゾーンの交響曲第4番「イタリア」です。リストの時よりも、編成がやや小さくなり、弦五部は同じですが、Fl(2)、Ob(2)、Cl(2)、Fg(2)、Hrn(2)、Tp(2)、Timp. という典型的な二管編成です。おや?足立さんの隣のFlが、なんだかよく似ているんですけれど、もしかして親子?と思ったりしました(^o^)/

第1楽章:アレグロ・ヴィヴァーチェ。速めのテンポで、ヴィヴラートはごく控えめに、弦楽パートは小刻みな動きが多く、忙しそうです。オーボエのロングトーンが出てくるところ、好きなんですよね~(^o^)/
第2楽章:アンダンテ・コン・モト。弦のリズムの刻みが軽やかで、音は澄んで透明で、アンサンブルは繊細で見事です。メンデルスゾーンのこの曲にはとくに、ノン・ヴィヴラートの長所を感じます。
第3楽章:コン・モト・モデラート。クラリネットの川上さん、いい音です。その間に、ティンパニの平山さんが、皮に耳を当てて、調整確認をしています。LPやCDで聴いているときには、何の楽器の組み合わせなのかわからなかったのですが、あの魅力的な音は、実はホルンとファゴットの組み合わせだったのですね!
第4楽章:メンデルスゾーンの職人芸の見事さを感じます。弦の細かな動きも、次第に興奮へと導いていきますが、久々に聴いた「イタリア」交響曲、プレストで飛ばすサルタレロに、山響の安定感を感じました。

今日のプログラムは、リスト生誕200年を記念して、「ワイマール物語」と題するものでした。ゲーテも愛したワイマール公国にゆかりの二人、という趣旨なのかな?

それにしても、お腹が空いたのには参りました。空腹に負けて、妻と二人でまっすぐホールを出て、中華料理店で遅い夕食となりました。今日もまたいい演奏会、いい一日でした。

(*1):Pensacola Symphony Orchestra - Official site


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2 コメント

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私も (きし)
2011-08-21 09:55:43
演目の珍しさにつられて聴きに行ってまいりました。
narkejpさんも初めてとあってはほんとに珍しかったのですね~。
久しぶりでしたし、楽しかったです。
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きし さん、 (narkejp)
2011-08-21 21:53:07
コメントありがとうございます。ふだんCD等で楽しんでいても、やっぱり実演で聴くと、まったく違いますね~。リストのピアノ協奏曲第2番、こんなにステキな曲だとは、あらためて再認識いたしました(^o^;)>poripori
金子三勇士さん、名前がミュージ(ック)なのですから、音楽をするために生まれてきたみたいな人ですね(^o^)/
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