電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

垣谷美雨『農ガール、農ライフ』を読む

2021年02月09日 06時02分22秒 | 読書
祥伝社文庫で、垣谷美雨(かきや・みう)著『農ガール、農ライフ』を読みました。1月の山響第289回定期演奏会の日に駅ビル内の某書店で見つけて購入していましたが、このほどようやく読み終えたものです。

物語は、主人公の久美子が派遣切りにあうところからスタートします。よりによってその同じ日に、同棲中の修から、別の娘と結婚したいので部屋を出てほしいと宣告され、焦り、怒ります。たまたまテレビで見た農業に取り組む若い女性の姿に惹かれ、職なし・家なし・彼氏なしのどん底の危機感から、県の農業大学校の新規就農コースに申し込み、アルバイトのかたわら農業、しかも野菜作りに取り組むようになります。

もちろん、この後も順調に進むはずもなく、たまたま思い出した大学のサークルの先輩の実家に助けられて、なんとか農業を始めるのですが、例えば農地を借りるにもたいへんな苦労がありました。たしかに、なかなかお話のようにうまくはいきませんでしょう(^o^)/
このあたり、農業委員会の委員に対する批判がたいへん辛辣で、おそらく著者の取材時の実体験なのではないかと思われますが、そういえば農業委員は選挙で選ばれるのではなく、市町村議会の同意を経て市町村長の任命により選任されることになっています。ですから、地域によってはトンデモナイ古臭い人が委員になっている可能性はあるかもしれません(^o^)/

また、後半の婚活エピソードは、底辺の暮らしを余儀なくされる女性の事情と境遇を描いて秀逸ですし、登場する女性たちのリアルな目線は、なかなかスゴイです。
書名は、おそらく「No 〜, No 〜」というキャッチフレーズをもじったものでしょう。それを思えば、農業だって「No girl, No life」だよ、という主張なのかもしれません。そういえば、当地には「ガールズ農場」(*1)という先輩もいました。

(*1):菜穂子『山形ガールズ農場』を読む〜「電網郊外散歩道」2012年9月


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