電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

平岩弓枝『はやぶさ新八御用帳』(第7巻)「寒椿の寺」を読む

2006年08月19日 21時53分58秒 | -平岩弓技
ここしばらく、寝る前に平岩弓枝さんの『はやぶさ新八御用帳』(第7巻)「寒椿の寺」を読んでいました。秋から冬にかけてのお話で、季節感はややずれていますが、順番ですから仕方がありません。せめて、写真だけでも涼し~いものを・・・

第1話「吉原大門の殺人」、越前大野藩土井甲斐守の家臣の若侍が、妓楼「玉屋」の小ゆきに執心で、無理心中を図ります。
第2話「出刃打ち花蝶」、江戸を離れると危難にあうというジンクスを持つ新八郎、今度は上州で火難に遭遇します。土蔵の二階で下から火が来たら、普通はアウトですね。
第3話、表題作「寒椿の寺」。向島の別宅で独り余生を送る、根岸肥前守の叔母上を訪ねた新八郎は、弘福寺の境内の寒椿の前で、京極家の若殿と供侍を見かけます。蔵前の札差板倉屋の離れで、旗本の本庄新兵衛が殺されていました。出戻りの女をめぐる相克の背景に、鞭打たれた寒椿がぽとりと落ちるイメージが浮かび、秀逸です。
第4話「桜草売りの女」、取り替えられた子供が異なる境遇で育ちます。再び出刃の話ですが、善良な落合清四郎が良い味を出しています。
第5話「青山百人町の傘」、大奥で羽振りの良い妹を持った奥方に頭の上がらぬ組頭は、秋山長三郎をほめますが、本人は行方不明の前妻・露路を探しており、住居は異様なほど荒れています。露路が内職で作った傘には、蛇の目の隠し印がついていました。これも、いくら上役とはいえ弱気に過ぎるんじゃないでしょうか、秋山さん。
第6話「奥右筆の用人」、上野寛永寺の大灯篭に寄りかかった形で初老の武士が死んでいるのが見つかります。キノコを食べた家がどこか、知られたくなかった気持ちはわかりますけれど。
第7話「墨河亭の客」、正月早々に向島の隠居所を訪ねた新八郎、墨河亭という高級料亭の噂を聞きます。オランダ渡りのネズミ取りの毒が使われたらしいのですが、かわいい娘を守ろうとしたにしては、武士のやり方ではありませんね。

なんだかなさけない男の話が多くて、いま一つピンと来ないのですが、とにかく第7巻まで来ました。「寒椿の寺」が一番印象に残ります。
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