電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

映画「万引き家族」を観る

2018年07月20日 06時03分39秒 | 映画TVドラマ
過日、妻と子どもと一緒に、「万引き家族」のレイトショーを観てきました。全く血縁のない五人が一つ屋根の下で暮らし、婆さんの年金を当てにしながら万引きや盗みを常習的に繰り返し、底辺での生活を営んでいるけれど、少なくともネグレクトや虐待などはない、方を寄せあい分けあって生きる様子を描きます。

この映画の受け止め方は、人によってずいぶん違ってくるのだろうと思います。ある人は情緒的な面から受け止めるでしょうし、またある人は根底に格差と貧困を見るでしょう。父親役の男性はなんとも甲斐性なしで、婆ちゃんが死んでも火葬にもできません。「スイミー」を愛する男の子も、どうやらパチンコ屋の駐車場で車内に放置され熱中症で死にかけていたところを、車上荒しのついでに助けられたらしい。この男の子の背景にも、貧困の連鎖がありそうです。でも、男の子が小学校に行っていないのは、義務教育を受けさせないという意味で、やっぱり一種の虐待でしょう。



「本当の親」という言葉がありますが、これは遺伝子の連続性に保証される血縁的な「本当」と、子どもを愛し可愛がる徳性面からみた「本当」の親という両面があります。血縁や法律的な家族関係はあっても虐待する親と、血縁・法的には無縁でも一緒に繋がり合って生きている親と、どちらが構成員にとって幸せなのだろう?たぶん、日本では血縁に根拠づけられた親権が強すぎるのかも。それと、「妹には教えるなよ」と諭した商店主のように、情が強くなりがちな家庭だけでなく、地域が理で子どもを育てるという面もあるのでしょう。

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