電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

テレサ・ベルガンサでハイドンの「アリア&カヴァティーナ集」を聴く

2017年01月16日 06時03分51秒 | -オペラ・声楽
雪かきでくたびれた休日、リビングに戻って「どれ一服」と煙草ならぬLPを取り出しました。テレサ・ベルガンサのメゾソプラノで、ハイドンの「アリアとカヴァティーナ集」(エラート:REL-5)、レイモンド・レッパード指揮スコットランド室内管弦楽団による、1982年3月、英国エジンバラのクィーンズ・ホールにおけるデジタル録音です。
収録曲は次の通り。

    Side-1
  1. ジャンニーナのアリア「貞淑な妻は」
  2. アガティーナのアリア「ああ、つらいこと!あなたがお望みだから」
  3. エッセリーナのアリア「人は恋をすると」
  4. 待降節のためのカンティレーナ「ひとりの処女にして神の下婢なりと」
    Side-2
  5. カンタータ「哀れなるわれら、哀れなる祖国」
  6. アルチーナのカヴァティーナ「わたしはアルチーナ」
  7. メルリーナのアリア「わたしの最高の当たり役を」
  8. リンドーラのアリア「わたしはやさしく、親切な女」


LPに添付されたマルク・ヴィニャルの解説によれば、いずれもハイドン自作のオペラからではなく、雇い主のエステルハージ候のためにチマローザやガッザニーガ、ビアンキ、パスティッチョなどといった作曲家の作品をアレンジする過程で作曲したものだそうです。さらにハイドンには、そうした選曲やアレンジの仕事に加えて、オペラの上演準備、リハーサル、指揮などの仕事もあったのだとのこと。その活動の規模と曲の性格については、

ヤーノシュ・ハリッヒによれば、ハイドンは1780年から1790年までの間に96曲のオペラ、1786年1年間だけで17曲のオペラの仕事をし、再演をも計算に入れれば、その上演回数は総計1026回にも達し、その中で125回は1786年に行われている(3日に1回の割合である)。ハイドンは他の作曲家によるこれらの作品を指揮する前に、当時の習慣に従って改変や省略を行い、不適当と思われるアリアを自作のアリアと置き換えるなど、容赦なく筆を加えた。このレコードに収められた8つの作品のうち6曲と、おそらくもう1曲("Miseri noi, misera partria"哀れなるわれら、哀れなる祖国)は、このようにハイドンが自作以外のオペラのために書いたものである。

と、このように説明しています。なるほど、エステルハーザ宮での充実した多忙な音楽生活が見えるようです。

テレサ・ベルガンサの歌声はたいへん魅力的で、ポピュラーとは言えない曲目も、続けて何度も耳を傾け、繰り返し聴いてしまいます。上品だけれどウィットに富むジャンニーナのアリア「貞淑な妻は」や、心を打つ「哀れなるわれら、哀れなる祖国」など、冒頭からぐいっと引き込まれます。
リビングのオーディオ装置は、録音を云々できるほどのレベルではありませんが、鴨居に固定した小型の自作スピーカから流れる歌声と室内オーケストラの音はごく自然なもので、たぶん優秀録音なのだろうと想像させてくれます。

残念ながら、この録音はCD時代にも廃盤になって久しく、当方ではこのLPでしか聴くことができません。その意味では貴重な盤で、なかなかLPを捨てられない理由の一つでもあります。他の同一録音のCDとLPを比較したピッチから判断して、回転数がやや速めの簡易なレコードプレーヤー(*1,2)ではありますが、ほんとに買って良かったと思っています(^o^)/

(*1):リビングのデスクコーナーに簡易型のレコードプレーヤーを設置する~「電網郊外散歩道」2016年7月
(*2):リビングでLPレコードを再生してみると~「電網郊外散歩道」2016年7月

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