電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

宮部みゆき『孤宿の人』(上巻)を読む

2005年10月26日 20時44分52秒 | 読書
大店の主人が使用人に生ませた子・ほうは、主人の死後に店から体よく追い払われ、四国丸海藩の医者の家に住み込みで働くようになる。優しくしてくれた琴江さまが毒殺されたというのに、幕府の流罪人の応接係の家の不祥事になることをおそれ、毒殺者は裁かれない。そんなことがあってよいのか。目撃者ほうを信じる若い娘・引手(目明し)の宇佐は、井上家の若い医師・啓一郎に身分違いの思いを寄せており、同心の渡部一馬は毒殺された琴江に思いを寄せていた。藩の事なかれ主義のため、犯人とわかっている美祢を罪に服させることができない。だが、毒殺者は、何の毒を用い、どこから入手したのか。そして、涸滝のお屋敷に幽閉された幕府の流罪人である加賀様とはどんな人で、女中奉公することになった哀れな娘ほうはどうなるのか。上巻ではまだまだ全貌が見えない。下巻が楽しみだ。

ひさびさの単行本、装丁がきれいだ。上巻には硫酸紙のようなうすいカバーがかけられ、表紙には白いウサギが遊んでいる絵が使われている。新しい本のインクのにおいが嬉しい。
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