電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

昔のエアチェックテープでシューマンを聞く

2005年10月15日 21時12分08秒 | -室内楽
昔、エアチェックしたテープの中で、お気に入りが何本かある。その中の一つがシューマン「おとぎの絵本」作品113。テープ自体もごくありふれたノーマルテープで、もっといいテープにしておけばよかったと後になって思う。

シューマン「おとぎの絵本」は、1980年2月14日にエアチェックしたもので、ミルトン・トーマスのヴィオラ、神野明のピアノで、シューマンの世界を描いている。ヴァイオリンの華やかな音色とは違い、ヴィオラの音色は地味で、くすんでいる。けれども、聞きこむほどにヴィオラとピアノという組み合わせが、実に魅力的なものであることに気づく。演奏時間は14分16秒。テープからMDにダビングして、テープがだめになっても大丈夫なようにしてはいるが、この曲の良いCDに出会いたいと願っている。

このテープには、ルービンシュタインの「幻想小曲集」作品12をLPから録音して併録いる。こちらは1976年4月、ルービンシュタインの引退直前の録音。第1曲「夕べに」から第8曲「歌のおわり」まで、心に残る演奏を展開する。LP添付の解説によれば、すでに老人性白内障で楽譜が見えず、片耳の聴覚が衰えた状態だったそうで、おそらく自分の体で記憶した音楽だったろう。しかし、第2曲「飛翔」など、若さにまかせた力あふれる演奏もいいが、肩の力の抜けたお洒落な演奏もいいものだ。とても91歳の老人の音楽とは思えない。
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