評価 (3点/5点満点)
この本は、時間をできるだけ有効に使うための本です。
ただし、いわゆるタイムマネジメントの本ではありません。
<本書のポイント>
・現代の、いわゆるタイムマネジメントというやつは、あまりにも偏狭すぎて役に立たない。
・世の中にあふれるタイムマネジメント本のほとんどは、人生がものすごく短いという事実さえも認めようとしない。
・効率を上げれば上げるほど、ますます忙しくなる。タスクをすばやく片づければ片づけるほど、ますます多くのタスクが積み上がる。
<時間の有限性を受け入れるための10のツール>
1.「開放」と「固定」のリストをつくる(開放リストのタスクはすべてやろうと思ってはいけない。固定リストのタスクだけに集中したほうが重要なことを多く達成できる)
2.先延ばし状態に耐える(先延ばし状態を許容しながら、やると決めたことをひとつだけ粛々と進める)
3.失敗すべきことを決める(人生のどの側面で失敗を許容するかをあらかじめ決めておく)
4.できたことを意識する(小さな勝利を祝い積み重ねていくうちに、やがてもっと大きな成果がついてくる)
5.配慮の対象を絞り込む(SNSの戦略に惑わされず、自分が配慮すべき問題を意識的に選びとる)
6.退屈で機能の少ないデバイスを使う(不便だからこそ集中が深まる)
7.ありふれたものに新しさを見いだす(ありふれた一瞬一瞬にもっと注意を払う)
8.人間関係に好奇心を取り入れる(逆に好奇心を持たず相手が「こうすべき」と考えていると、つねに失望や苛立ちを感じることになる)
9.親切の反射神経を身につける(他人に親切にしたいと思ったとき、即座に実行してしまう)
10.何もしない練習をする(現実逃避のために何かをするのはもうやめよう)
80歳まで生きるとして、人生はたったの4000週間。
自分の4000週間を有意義に過ごすためには、「周囲の人や出来事に干渉したい」という欲求を抑え、「何もしない」能力が欠かせません。
何もかもをやるという幻想を手放せば、本当に大事なことだけに集中できると思います。
【my pick-up】
◎なぜ現代人は本が読めないのか
本を読む時間なんかない、と人は言う。けれど、1日のうち30分の空き時間を見つけるのがそんなに難しいわけではない。実際には、時間はあっても、読書に気持ちを集中できないだけだ。忙しすぎるとか、注意散漫だというのは言い訳にすぎない。本当はただ、読書には時間がかかるという事実を受け入れたくないのだ。何かをきちんと読むためには、それに必要なだけの時間がかかる。