評価 (4点/5点満点)
この本のテーマは、私たちの仕事の中に潜んでいるムダを見つけ、それをなくして生産性を向上させていくことです。
具体的には、まず仕事におけるムダの捉え方を定義していきます。その上で、ムダを7+1に分類し、それぞれ何が問題なのか、そしてどのように対応していけばいいのかを解説しています。
7+1つのムダとは?
・作業そのもののムダ
・早すぎのムダ
・やりすぎのムダ
・手待ちのムダ
・動作のムダ
・出社、移動のムダ
・間違い、修正のムダ
・情報によるムダ
これらは、トヨタ生産方式の7つのムダをモデルにして、オフィス業務の改善として活用できるようにしたもの。
ポイントは作業の効率を上げるのではなく、作業自体をやめて時間を作り出すことを考える点です。
【my pick-up】
◎作業の目的を明確にする
「何のために行っている作業か」をしっかりと考えることです。よく、「作業の目的を明確にしてください」とお願いしたときに、目的ではなくやるべきことが返ってくることがあります。例えば、週次の報告書を作成する目的を尋ねると「〇〇作業について報告書を作ること」や「1週間の作業状況や課題をまとめること」といった回答が返ってきます。これは、目的ではなくやるべきことです。週次の報告書を作成する目的は、自分たちの作業状況や課題を共有し、次週以降の作業の方針や課題への対応方法を決めていくためのものです。
◎開催する必要のない会議
「連絡事項をメールや文書などで通知しても読まない人がいるので、会議で説明している」と言う人がいます。しかし、これは通知方法の問題ではなく、チームの中の連絡事項に対する意識の問題です。普段からあまり意味のないものや関連の薄いものが手当たり次第に通知されていれば、人はそれに関心を示さなくなります。常に、誰に対して何が必要なのか、何の目的でこの通知を行っているのかを受ける側が認識していれば、メールや文章での通知で十分に機能するはずです。
◎いかに割り込みを発生させないか
これまで私たちは、割り込みが発生しても問題が発生しないように、作業を早くはじめたりすることで、それらを吸収するための余裕を作っていました。しかし、作業時間が減り、人員も増えない中で、そのような余裕を持つことができなくなってきています。そのような環境においては、余裕を作るために早くはじめるのではなく、予定通りに作業を行い、割り込みが発生した時点であえて問題になるようにします。割り込み自体がいろいろな問題の元凶であることを、割り込む側、割り込まれる側、そして関係する周りの人たちも含めて共有した上で、割り込みをなくすためにはどうすればいいかをみんなで考え、取り組んでいくことが必要なのです。
◎資料作成において書かなくてもいいことは何か
最も重要なことは「書かなくてもいいこと」です。これを明確にすることでやりすぎることが大幅に減ります。例えば「現状は、個別の発生事象はいらない」「解決策は、具体的な実現方法までは記載しなくてもいい」「全体の費用は必要だけど、その内訳はいらない」などです。
◎自ら積極的に動くことで手待ちをなくす
最近、確認事項をメールで送るだけで、その回答が返ってくるのをただただ待っている人を見かけます。メールは誰もがすぐに見るとはかぎりませんし、多い人では1日に数百件のメールを受け取る人もいます。ひょっとすると、あなたが送ったメールに気がついていないかもしれません。急いでいたり、手待ちになっていたりする状況であれば、メールを待つのではなく、自分から行動するべきです。
◎情報の共有は〝意図して〟行う
私たちは、電子メールなどのツールによって本当に簡単に情報を発信できるようになりました。しかし、簡単すぎるが故に深く考えることなく情報を垂れ流すようにもなってしまったのです。本当にその人に送る必要があるメールなのか、このメーリングリストは目的に合ったものなのかを送信する前にしっかりと吟味する必要があるのです。