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トランプ政権誕生の背景にロシアとの「共謀」はあったのか?
英紙『ガーディアン』の元ロシア特派員が、トランプとプーチン間の秘密のルートを明らかにしていきます。
ロシア疑惑は2つの問題に分けることができます。1つ目は選挙妨害の可能性。2016年の大統領選挙戦におけるロシアによる介入です。2つ目の疑惑は、トランプ氏が大統領就任後、ロシアの選挙戦介入疑惑に対する一連の捜査を妨害しようとしたのではないかという司法妨害(捜査妨害)の疑いです。
現時点ではまだトランプ大統領の共謀が確認されるような状況ではなく、「共謀」の全容はまだ見えていません。
しかし、ロシア疑惑が今後急展開していく可能性も捨てきれません。2018年11月に中間選挙があり、もし民主党が下院で多数派となった場合、弾劾が一気に進んでいく可能性があるためです。弾劾のプロセスがもし進むとすれば、本書で論じられた疑惑が事実であるかどうか、少なくともかなり解明されていくでしょう。
もし、実際にトランプ陣営がロシアと共謀していたとするなら、アメリカという国家が誕生して以来の一大疑獄となります。ロシアという外国がアメリカの選挙や政権運営に不正に関与したということだけではありません。世界の超大国であるアメリカの大統領が当選するために国を裏切ったということとなり、大統領の正統性そのものが根本から崩れ去ってしまいます。