評価 (3点/5点満点)
GEのリーダー育成機関である通称「クロトンビル」は、1956年世界初の企業内大学として、ニューヨーク州クロトンビルに設立されました。GEでは、各等級の社員のうち、トップから15%くらいまでに位置づけられないと、クロトンビルのリーダーシップ研修は受けられません。
著者の田口力さんは、この組織で日本における責任者及びアジア太平洋地域のプログラム・マネジャーとして、同地域の上級経営幹部を教えてきました。この本では、そんな世界最強と言われるグローバル企業の強さの秘密、特にその企業をリードしている人たちがどのような教育を受けているのか、実際の現場で田口さんが話していることを紹介します。
・Self-awarenessがすべて(自分を知る)
・最初の60秒で結論を見せる(自分を伝える)
・費用対効果の高い意思決定を(自分で考える)
・学ぶことをやめたら会社を去れ(自分を鍛える)
・GEでは7割オッケーならゴーです(自分を変える)
・自分の運命は自分でコントロールしなさい(自分を導く)
・全社員がリーダーであることを望みます(他者を導く)
GEでの研修自体の細かい中身ではなく、そうした研修を貫く1つの心構えの基本を本書から読み取れたらいいと思います。
【my pick-up】
◎「給料の6%」を自分に投資する
毎日のように、うさ晴らしにと会社や上司の悪口を言って飲む酒も良いでしょう。個人の自由です。私もそうしたお酒に付き合っていた時期もありましたが、だんだんむなしくなりました。生産的な議論にならないし、文句を言う人に限っていざとなると自分から改善のための行動を起こさないからです。そういう人たちは酒場で自己実現して完全燃焼してしまうのです。
ところがGEやグローバル展開している日本企業の経営幹部たちは、それぞれが自分なりに工夫して自分の成長につながるよう、貴重な時間とお金を投資しています。
1週間に1冊本を読む、1か月に1回は歌舞伎などの古典芸能を鑑賞する。週に2回はジムで汗を流すなどして知力・体力・気力を充実させたり、社外の活動やセミナーなどに参加して人的ネットワークを拡大したりしています。