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脳を休める 価格:¥ 1,365(税込) 発売日:2009-10-13 |
評価
(3点/5点満点)
東京医科歯科大学大学院精神行動医科学分野助教で、ハーバード大学のメディカルスクールの研究員でもあった西多昌規さんが、「睡眠」と「脳」との関係を、最新の研究結果やご自身の研究・臨床の経験を交えて、わかりやすく解説しています。
睡眠が学習や仕事の効率を上げるうえで重要であることは、今さら言うまでもありませんが、「レム睡眠が記憶に重要」など、正確ではない知識をそのまま信じている人も数多くいます。
脳に関する本が氾濫していますが、最新の研究結果に基づいたものか、中身をきちんと見極めてから読みましょう。
【my pick-up】
◎世界で最も睡眠時間が短いのは日本・韓国・台湾
どうして東アジアの人たちは睡眠が短いのでしょうか?まず夜の便利さと明るさ。海外に行くと、ニューヨークやロサンゼルスといえども、夜は東京ほど便利で明るくはありません。
蛍光灯やネオンを使った照明が主流であるのも、街をより明るくしている原因でしょう。アメリカやヨーロッパは白熱灯で間接照明を用いるなど、照明度は抑えぎみです。
寝る時間があったら有効活用したい、というせっかちな根性も原因があるように思います。キリスト教やイスラム教では、夜はむしろ安息を取るという意義が大きいように思います。
◎寝不足が続くと早死にする?
死亡率と最も関連があったのは睡眠時間でした。おめでたくない高い死亡率となったのは睡眠時間が4時間未満、あるいは逆に9時間以上も眠っている人たちでした。
常識的に考えられるのは、睡眠時間が短すぎる、あるいは長すぎる人には、かなりの割合で何らかの病気を患っているのではないか、という仮説です。
◎「よく学び、よく遊ぶ」の脳バージョンは何か?
これまではレム睡眠が睡眠中の記憶固定に重要という説が支配的でした。レム睡眠も無関係ではありませんが、それ以上に徐波睡眠(=深いノンレム睡眠)が不可欠なのです。
◎「寝ないと太る」は本当か?
「寝ないと太る」は、徐々に常識となりつつあります。睡眠時間が短いとレプチンが減ってしまい、グレリンが増えてしまう。
レプチン・・・脂肪細胞から分泌されているホルモンのことで、交感神経を活発化させ、エネルギーの燃焼を活発化させます。
グレリン・・・胃から作られるホルモンで、食欲増進作用があります。
食事、運動だけでなく、良質な睡眠も、有力なダイエット手段、といえます。
◎ワーク・ライフ・バランスと睡眠とは関係が深い
財形貯蓄のように睡眠時間を1日のスケジュールから天引きしてしまうのが、いちばんいい方法です。わたしは、運動や趣味の学習、睡眠も時間を割り振って「天引き」しています。
睡眠というと休んでいるスローな印象がありますが、デッドラインを定め効率を健康的に上げるという、アクティブな側面もあるのです。