吉村青春ブログ『津屋崎センゲン』

“A Quaint Town(古風な趣のある町)・ Tsuyazaki-sengen”の良かとこ情報を発信します。

2018年11月2日〈エッセー〉059:残したい「豊村酒造」と「塩倉庫」のある風景

2018-11-02 15:28:14 | エッセー

 

写真①:津屋崎千軒のランドマーク・「豊村酒造」の主屋と高さ21㍍の煙突

     =福津市津屋崎4丁目14-18で、2018年11月1日撮影

 ・連載エッセー『一木一草』

 第59回:「豊村酒造」と「塩倉庫」のある風景

 創業144年の「豊村酒造」の煙突や酒蔵、黒塀

古風な町並みの風情残したい津屋崎千軒のランドマーク

  福津市津屋崎4丁目にある明治7年(1874年)創業の「豊村酒造」は、懐かしい町並み・〈津屋崎千軒〉のランドマークとされる町家です。高さ21㍍の煙突=写真①=は、迷路のような路地を歩いている時の目印になり、約3,300平方㍍の敷地を取り囲む黒塀=写真②=は“A Quaint Town Tsuyazaki-Sengen” (古風な趣のある町〈津屋崎千軒〉)の風情を醸しています。

  

写真②:懐かしい町並み・〈津屋崎千軒〉の風情を醸す「豊村酒造」の黒塀

     =11月1日撮影

  「豊村酒造」の主屋=写真③=は、明治20年(1887年)建築で、玄関土間天井には大きな梁が組まれ、玄関白壁には「杉玉」の両脇に「龍」を描いた見事な鏝絵もあり、第1回福岡県屋外広告景観賞・優秀賞に輝いています。煙突は平成17年(2005年)の福岡沖地震でひびが入り、老朽化した酒蔵とともに修復・維持を図るには多額の費用がかかるとして解体も検討されました。地元住民有志で結成したNPO法人が、地域の財産として酒蔵などの保存を福津市に訴え、市が2017年度に「豊村酒造」の建造物保存対策と煙突の現地調査を行った結果、煙突内部の鉄筋は傷んでいないことが分かり、2018年度予算で「豊村酒造」の煙突を含む建物の耐震診断など保存活用基本計画策定と津屋崎地区の観光振興の可能性調査を進めています。

 

写真③:「杉玉」の両脇白壁に「龍」の見事な鏝絵が描かれた主屋

     =「豊村酒造」で、11月1日撮影

  福津市津屋崎4丁目(土居)の津屋崎橋近くの「津屋崎干潟」に面した広場(豊村酒造所有地)に建つ赤レンガ造りの通称「塩倉庫」(約6m×約5m四方)=写真④=は、明治38年に政府が塩の専売制をしき、翌39年(1906年)に建設した熊本塩務局津屋崎出張所庁舎附属文庫(文書庫)で、津屋崎の塩田が廃止になるまで文書を保管。老朽化し、屋根や床が抜け落ち、痛みが激しい。九州産業考古学会編集で2008年に発行された『福岡の近代化遺産』(弦書房刊)では、「津屋崎の製塩産業遺跡」として〈この倉庫は塩田で栄えた町の証であり、歴史的遺産として再生・活用されることを望みたい。倉庫近くでは、塩の積み出しが行われた船着場と思われる石垣も確認できる〉と紹介されています。

  

写真④:赤レンガ造りの通称「塩倉庫」(熊本塩務局津屋崎出張所文書庫)

 2010年4月17日夜、私が所属している福津市のまちづくりボランティア団体・「津屋崎千軒 海とまちなみの会」がメンバーに参加した実行委員会で初めて開催された「津屋崎千軒うみがめ祭・町家まつり」~塩と炭鉱王が支えた津屋崎~では、「塩倉庫」前広場に特設した野外ステージで「津屋崎塩倉庫ライトアップコンサート」=写真⑤=を行い、約2百人の音楽ファンが来場したこともありました。

 

写真⑤:約2百人の音楽ファンが来場した「津屋崎塩倉庫ライトアップコンサート」

     =「塩倉庫」前広場に特設した野外ステージで、2010年4月17日午後7時撮影

  全国に現存する塩務局の施設(建物)は9個所あり、九州では塩の収納量や配置定員で施設を最上位の1等級から11等級にまで分けた等級区分のうち7等級の姫島出張所(大分県東国東郡姫島村)と津屋崎出張所の2か所だけ。「津屋崎千軒 海とまちなみの会」が2016年5月15日、姫島村に観光バスツアーで行った際、同村北浦にある姫島出張所=写真⑥=には赤レンガ造りの付属文書庫が残されており、県道沿いの北浦公園の物置として利用されていました。人口約2,000人の姫島村が文書庫を保存しているのに、人口約64,000人の福津市では残せないのでしょうか。

  

写真⑥:姫島村が保存している赤レンガ造りの「熊本塩務局姫島出張所」文書庫

     =大分県東国東郡姫島村北浦で、2016年5月15日撮影

 「熊本塩務局姫島出張所」文書庫のそばには、姫島村教委が立てた「専売所跡地」解説板=写真⑦=がありました。

  

写真⑦「熊本塩務局姫島出張所」文書庫のそばに立つ「専売所跡地」解説板

     =姫島村北浦で、2016年5月15日撮影

残し活用していきたい「豊村酒造」と「塩倉庫」のある風景

 赤レンガ造りの通称「塩倉庫」(熊本塩務局津屋崎出張所文書庫)を塩田で栄えた町の証の歴史的遺産として再生させ、「豊村酒造」の煙突や酒蔵、黒塀を、津屋崎千軒のランドマークとしてなんとしても残し活用していきたい、と願っています。

 この願いの意味も込めて、平成19年に発足した「海とまちなみの会」は町興し活動の原点に帰り、地域の宝を見詰め直し、後世に伝えたいと、福津市複合文化センター「カメリアステージ」と11月17日(土)、「馬鉄・塩田遺産を巡る津屋崎千軒フットパス」(詳しくは<A href=http://www.tsuyazaki-sengen.com/>本会ホームページ</A>を初めて開催します。「塩倉庫」や「豊村酒造」を本会ガイドがご案内します。どうぞご家族、お友達連れでご参加ください。お申し込みは、「海とまちなみの会」事務局へ11月12日(月)までにメールyosi3019@sage.ocn.ne.jpか、電話090-7451-8063で担当吉村までお願いします。

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