写真①:「津屋崎塩田」跡地に建つ旧「旭製塩」の煙突(手前に並ぶのは「太陽光発電所」のソーラーパネル)
=福津市西竪川で、2018年11月10日撮影
・連載エッセー『一木一草』
第60回:入浜式製塩と煙突
NHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』で製塩が話題に
福津市・「津屋崎塩田」跡地に今も残る釜焚きの煙突
世界初のインスタントラーメンを発明した日清食品創業者・安藤百福さんと妻仁子さん夫婦の半生をモデルにしたNHK朝の連続テレビ小説『まんぷく』・第6週の「お塩を作るんですか!?」で11月10日、赤穂の塩作りを学んで入浜式製塩に取り組むヒロイン立花福子(役名)、夫の萬平(同)さん夫婦の奮闘ぶりが放送され、お茶の間の人気を呼んでいます。江戸時代から明治にかけて〈津屋崎千軒〉の繁栄を支えた福岡県福津市の「津屋崎塩田」も入浜式製塩で、味噌、醤油、漬物など博多の味に津屋崎の粗塩は欠かせないと定評があり、製塩量は江戸時代には筑前の90%を占め、明治時代も県内の3分の1を賄い、〝津屋崎は塩で保(も)つ〟と言われたほど有名でした。
入浜式製塩とは、堤防を築いて満潮時に海水を砂浜に導入する製塩法。塩が付着した砂を集めて海水の濃度を高めた濃い塩水・「かん水」を生成する採鹹(さいかん)工程を経て、釜屋の石釜に「かん水」を入れて焚く煎熬(せんごう)工程で結晶する塩を作ります。福津市西竪川の「津屋崎塩田」跡地には、戦後の塩供給量不足で自家製塩が許可され、昭和20年代に操業していた旧「旭製塩」の釜焚き用の煙突=写真①=が今も建っています。煙突の前の敷地約61,000平方㍍に並べられているのは、福岡市の会社が平成29年に建設した「太陽光発電所」のソーラーパネル群。
私が所属する福津市のまちづくりボランティア団体・「津屋崎千軒 海とまちなみの会」は同市複合文化センター「カメリアステージ」と11月17日(土)、地域の宝・津屋崎塩田遺産や津屋崎馬車鉄道の歴史、文化を見詰め直し、後世に伝えたいと、「馬鉄・塩田遺産を巡る津屋崎千軒フットパス」(詳しくは<A href="http://www.tsuyazaki-sengen.com/">本会ホームページ</A>)を初めて開催します。津屋崎橋近くの広場に建つ「津屋崎の製塩産業遺跡」とされる赤レンガ造りの通称「塩倉庫」(明治39年建設の旧熊本塩務局津屋崎出張所庁舎文書庫)=写真②=や明治7年(1874年)創業の〈津屋崎千軒〉のランドマーク・「豊村酒造」などを本会ガイドがご案内します。どうぞご家族、お友達連れでご参加ください。お申し込みは、「海とまちなみの会」事務局へ12日(月)までにメールyosi3019@sage.ocn.ne.jpか、電話090-7451-8063で担当吉村までお願いします。
写真②:赤レンガ造りの通称「塩倉庫」(熊本塩務局津屋崎出張所文書庫)