とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

最近読んで特に面白かった本

2014-11-11 23:41:56 | 読書
1.超高速!参勤交代 らくらく本 土橋 章宏/著

<あらすじ>
江戸時代、磐城国の小藩・湯長谷藩の藩主・内藤政醇は、1年間の江戸での勤めを終えて湯長谷に帰国したのだが、それから間もなく江戸屋敷に居るはずの江戸家老・瀬川が、江戸幕府老中・松平信祝の命令を携えて政醇の前に現れた。その命令とは、帰国を果たしたばかりの政醇に対し、「5日のうちに再び参勤交代せよ」というものであった。信祝は湯長谷藩が所有する金山に目をつけ、金山を手に入れようと無理難題をふっかけて、湯長谷藩を取り潰そうと企んでいたのだ。理不尽な命令だったが、政醇は家臣と領民を守るために、あえて理不尽な参勤を受け入れることに決め、再び江戸に向かおうと決心する。果たして無事に5日間で江戸にたどり着けるか。

映画館で予告編を何度か見ていたが、何だかコメディぽぃ映画というイメージがあって、あまり興味が湧かなかった。原作本も、表紙がコミック調だったので、安っぽい感じがしていたのだ。それでも、映画の評判は良かったようなので、原作本を読んでみる事にした。読み終えての感想は、非常に面白かった。本当に磐城国から江戸まで5日間で行けるのかという疑問はあるが、足が速い精鋭の家来を集めて、奇想天外な方法で豪勢な大名行列に見せかけたり、行列を妨害しようとする忍び衆との対決や藩主政醇の純愛等、エンターテイメント満載のお話だった。そして、江戸城で将軍との謁見の時間までに政醇が間に合うのかどうかもハラハラドキドキの展開だった。主人公の内藤政醇という殿様は、家来や百姓にも好かれ強くて優しい魅力的な男として描かれている。しかも、藩で一番の剣豪であるというのも凄い。こんなリーダーの下でなら喜んで仕えたいものだと思った。改めて映画も見たくなった。

2.銀翼のイカロス [半沢直樹シリーズ] 池井戸 潤/著

<あらすじ>
半沢直樹シリーズ第4弾、今度の相手は巨大権力! 新たな敵にも倍返し! ! 頭取命令で経営再建中の帝国航空を任された半沢は、500 億円もの債権放棄を求める再生タスクフォースと激突する。政治家との対立、立ちはだかる宿敵、行内の派閥争い―プライドを賭け戦う半沢に勝ち目はあるのか?

半沢直樹シリーズの待望の新作である。池井戸作品は、まず外れがない。これも、面白すぎて寝る間も惜しんであっという間に読み終えてしまった。内容は、自民党から民主党への政権交代、JALの再建等、実際にあった事を半沢尚樹という主人公を柱にうまく描かれている。この本を読んでいくと如何に政治家という者は、自己の都合で政策を捻じ曲げていった様子がうかがいしれる。また、身内である銀行内部の派閥による妨害や敵意。再び金融庁の役人の登場などテレビの場面が浮かんできそうな場面が次々に出てくる。最後の最後になって、半沢が政治家を見事に論破する場面は快感である。自分の信じるところをきちんと持ちつづけ、ブレることなく行動することの大切さを思い知らされた。また、当初、中野渡頭取は、何を考えているのか良く分からなかったが、最後はとても魅力的な人物に変わっていた。

タイトルは、太陽に近づきすぎて羽が溶けて海に落ちてしまったギリシャ神話のイカロスを倒産寸前の航空会社になぞらえたのだと思うが、本文では、そのあたりには全く触れていない。内容的には、航空会社がメインではなかったので、ちょっとタイトルと合っていないような気がした。

3.ギフテッド 山田宗樹/著

<あらすじ>
アメリカ合衆国に住む13才の少年の体内に“未知の臓器”が見つかった。以後、同様の臓器をもつ子供たちの存在が、世界各地で確認される。いつしか彼らは、羨望と畏れを込めて「ギフテッド」と呼ばれるようになった。当初は何の特徴も見られなかったギフテッドが覚醒した時、彼らを恐れ排除しようとしていた普通の人間たちがいきなり肉片と化す殺人事件が起こる。そして、ギフテッドに対する恐怖が暴走する。『百年法』を凌駕する、一気読み確実、超絶興奮の胸打つ大巨編ミステリー。

ギフテッドとは先天的に平均よりも顕著に高い能力を持っている人のこと、またその能力を指す。この作品は、いわゆる超能力を持った人間とそうでない人間との対立を描いた作品だ。このテーマは、昔からいろんなSF小説の題材として取り上げられてきているので、それほど目新しいものではない。しかし、その内容は人類(非ギフテッド)と新人類(ギフテッド)が共存できるのか、どちらかを殲滅するしかないのかという壮大なストーリーに広がっていく。果たして最後はどうなるのかと気になってついつい読み進んでしまった。ただ、残念なことに、最後はやたらあっけない終わりとなってしまい、拍子抜けだった。前半から序盤までは、ぐいぐい引き込まれていっただけに惜しい作品だ。