とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

イタリア原発再開に94%が反対

2011-06-14 23:00:25 | ニュース
イタリアで行われた原発再開の是非を問う国民投票の結果は、投票率が54.79%、原発再開への反対票は94.05%に達したといい、国民投票が成立した。これは、驚くべき数字である。国民全体の半分以上が投票して、94%が反対したという事は、ほぼイタリア国民の総意であるといっていい。

原発事故の被災地である日本では原発についての議論が定まっていない中、ヨーロッパでは敏感に反応して、国民投票までして国全体で考えていこうとしている姿勢は見習うべきである。既にドイツやスイスは脱原発に着手し再生可能エネルギーでエネルギー需要を賄おうとしている。国としてのエネルギー政策が明確に示されているからできることだろう。

それに引き換え日本ではどうだろう。浜岡は停止するといったがその他の原発をどうしていくのかの明確な答えはない。現在稼動している原発も定期点検に入ると、その後の再稼動が自治体の許可がないと稼動できない状態となり、来年になると稼動している原発がまったくなくなってしまうという事態になりかねない。まさしくこれはほっておけない事態である。電力需要をどういう形で賄っていくか明確なビジョンを国が早いうちに示さないといけないのだ。

今回の原発事故では、いかに放射線というものが恐ろしいということを国民全体に知らしめた。原子力発電は、火力や水力発電に比べコストが最も低いとして各地に作られたが、これは事実ではなかったという事だ。発電時のコストは低いかもしれないが、その後の維持管理や事故時の対策や保障といったことまで含めると、とんでもないコストがかかるという事が明らかになってしまった。しかも、放射性廃棄物を0にすることはできないのである。これは何万年、何十万年も先までなくならないという厄介な廃棄物を生産し続けるのである。まさに未来への負の遺産である。

いままで原発の是非について真剣に考えたことはなかったが、未だに集束の目途がたたない東電福島第一発電所の状況を見て、脱原発の流れに進むべきという考えになってきた。資源に乏しい日本では、安易に原発に頼るのではなく再生可能なエネルギーをもっと真剣に考えるべきであったのだ。原子力以外の風力発電は地形的・気候的に難しいとか、太陽発電は安定的に電力を供給できないとかいわれ技術の進歩がなおざりになっていた。一時期、再生可能エネルギーの研究は日本がトップクラスだったそうだが、今では、ドイツ等の諸外国にかなりの遅れをとっているそうだ。この辺りの原因は、原発に関する利権がらみの政策が当時の政治家によって推進されたことによるのだろう。

有名な学者や政治家の話では「再生可能エネルギーだけで日本の大量の電力消費を補うのは非現実的」と言っているが、これを鵜呑みにはできない。現実には、自然エネルギーのパワーは膨大である。人間の知恵と工夫をもってすれば太陽光、太陽熱、地熱、風力、波力などのエネルギーを上手く使うことが可能なはずだ。実際、規模は小さいが各地でその地域の自然特性を生かした発電スタイルで電力を作っている事例も目にするようになっている。ただちに原子力を止めることはできないかもしれないが、将来的には原子力は不要になるはずだ。

以上のことからいっても、日本は再生可能エネルギーへの転換を推し進める時にきているといえる。国会内の争いごとに終始している場合ではないのだ。将来への明確なビジョンが定まれば国の未来も見えてくる。新しい事業への投資も活発となり、経済への影響も大きくなるだろう。菅直人首相が、OECDの講演で「1000万戸の屋根に太陽光パネルを設置することを目指す」と表明したそうだが、首相が変わったとしても大法螺でなく本当に進めて欲しいものである。個人の家では、自家発電で電力を賄う時代になるのかもしれない。