とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

夢街道90キロマラニック(後半)

2011-06-27 21:10:34 | マラソン
9:54。草木トンネルの手前を右に入ると、青崩峠の入口になる。こちらが国道152号線であるが、とても国道とは思えない道である。青崩峠までの4キロの道のりをヘロヘロになりながら上りだす。とても走ってなど進めない道だ。ハアハア息絶え絶えながら歩いていると、後ろから足音が聞こえてきた。誰かと思えばヤッチャバさんだった。世界を走る超ベテランウルトラランナーのヤッチャバさんだけに歩くのも早いものだ。しばらく一緒に歩くが、湧き水があるという場所まで付いていくのが精一杯だった。

10:28。みさくぼの名水「足神の水」にたどり着く。周囲はちょっとした広場になっており車を何台も止めるスペースがある。岩の間から冷たい湧き水がこんこんと湧き出ている。まさに命の水といってもいい。洗面器のような大きな容器がいくつも置かれており、水をすくいやすい。容器に湧き水を目一杯すくって頭からかぶると快感である。火照った顔や手足に水をかけごくごくと湧き水を飲んだ。こんなおいしい水は飲んだことがないと思えるほどの極上の湧き水だった。ペットボトルにも目一杯汲んでリュックにしまった。日によっては大勢の人が遠くからこの湧き水を汲みに来るそうだ。




沸き水の直ぐ上には「足神神社」がある。足の病にご利益があると言われ、多くの足型が奉納されているそうだ。


「足神神社」のさらに上には、「瑟平(しっぺい)太郎」の墓がある。しっぺい太郎とは、民話に出てくる犬の名前である。遠州で怪物とわたり合い退治したが、深手を負い飼われていた信州の寺に帰る途中、ここで息絶えたといわれている。青崩峠に行く間には、面白い民話の世界が広がっているようだ。


しっぺい太郎の墓から、5分ほど進むと「辰之戸集落跡」がある。辰とは星座で北を示し、戸は渡ることをいう。この地名は、北に渡る場所として辰之戸と呼ばれたのではないかと看板に書いてある。


更に5分ほど進むと「木地屋の墓」がある。木地屋というのは山の木を切ってロクロで椀、杓子、しゃもじ、壷、盆、曲げ物、あるいはそばやうどん粉を練る木鉢をつくる人のことで、この辺りでそういう人たちが生活していたのだろうと言われている。


さらに進むと、大勢の人たちが作業をしていた。何をしているかと聞くとボランティアで森林伐採をしているとの事だった。森林伐採も林業に従事する人が少なくなり、ボランティアに頼るしかないようだ。木が伐採され、広くなった場所に紫色の花が咲き乱れていた。名前をボランティアの人に聞いたのだが、すっかり忘れてしまった。ホタルブクロの一種ではないかと思うが調べても良くわからない。元からあった花ではなく、外来種で誰かが持ち込んだのが、木を伐採したことで日当たりが良くなって急に増えたのではないかと言っていた。




10:53。青崩峠への登山道に到着する。静岡県側の国道152号線はここまでだ。登山届提出用の箱も用意されている。


苔むした石畳の道を進む。


11:05。茶屋を営んでいて盗賊に遭ったという建次屋敷跡を過ぎる。


11:10。やっと青崩峠に到着する。入口から1時間10分ほどかかった勘定だ。青崩峠は標高1,082mの峠であり、国道152号の点線国道区間で未通区域となっている。峠付近の地質構造は、中央構造線による破砕帯となっており、山腹に広がるむき出しになった青い岩盤から峠の名が付けられたという。いつの間にか、後続の人たちも追いつき記念写真を撮る。


青崩峠で80キロである。残りは10キロ。ひたすら下るだけだ。ただ、峠を下るとすぐに通行止めとなっている。知らなければ悩むところであったが、人だけなら通行可能という情報を聞いていたので、柵を乗り越えて先に進んだ。日が当らなくコケが生えてヌルヌルした道が続く。気を抜くと滑ってしまいそうな道だ。枯葉の上やあまり濡れていない道を選んで慎重に下って行った。

土砂崩れの場所では、靴が泥だらけになっていた。泥を落とそうと湧き水に靴を浸していると何と小さいヒルを発見する。一緒にいたよっぴーさんの靴のヒルを取除き、自分の靴のヒルも取除く。いつの間にか、湿った下り道でとりつかれていた様だ。一通り足をチェックしてみたが被害はなさそうだったので一安心して先を急いだ。

下りも長かったが、兵越峠からの道と合流すると残り4キロほどだ。今までは木陰の道で、それなりに涼しかったが、ここからは日ざしが強くなり暑さとの戦いとなっていた。「かぐらの湯」まで1キロの看板が見えるとホッとする。最後の一頑張りで、ゴールの遠山郷「かぐらの湯」に到着する。時間は、12:46。関門の15時までは、充分余裕のある時間だった。




ゴール地点には、遠山郷観光協会の事務所「アンバマイ館」があり、マラニックの感想を書いて事務局の方に渡した。観光協会会長さんの強力なサポートや温泉入浴券サービスもあり大変ありがたかった。早速、温泉に浸かりサッパリすると一気に眠気が襲ってきた。大広間で小一時間ぐっすり眠った後、かぐらの湯前で参加者全員で記念写真を撮る。


数名は遠山郷に宿泊したが、私を含めた残りのメンバーは、観光協会会長さんの車で最寄のJR飯田線の平岡駅まで送ってもらう。最後まで遠山郷観光協会のお世話になり厳しいけど楽しいマラニックになった。これだけお世話になった遠山郷には、みんなまた行きたくなったことだろう。