とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

位田隆久(いんでんたかひさ)さん「天の眼と共感」

2010-06-11 22:31:13 | 社会人大学
今年2回目の社会人大学講師は位田隆久さん。プロフィールは、1949年兵庫県生まれで、報徳学園中・高の校長を7年勤めたのちライフハーモニー教育研究所を設立し現在に至る。報徳学園といえば、高校野球で有名だが、実は二宮尊徳の報徳教育を根幹にした学園でもある。

最初の話が、まず二宮尊徳翁「報徳訓」の話だった。二宮尊徳翁が百八文字の漢字で表した人生訓である。漢字だけ読むとお経を読んでいるようだが、接続詞をいれれば意味が通じる。一部を紹介しておこう。
「父母の根元は天地の令命に在り」
「身体の根元は父母の生育に在り」
「身命の長養は衣食住の三つに在り」…
「年々歳々報徳を忘るべからず」等12の訓がある。

こんな話が、1時間以上も続くのはきついなと思ったが、位田さんも心得たもので、さらっと流し、あとは漫才を聞いているような笑いが絶えない講演となった。この先生は、話し出すと止まらないようで、どこでも講演時間が超過してしまうようだ。今回も、予定終了時間を30分も超過する話となったが、時間を忘れさせるくらい楽しく為になる話だった。

笑える話をいくつか挙げてみる。
・妻という字をうっかり毒と書いてしまい、奥さんにしかられた。
・「よく寝た人ほど、拍手をする」 これを聞いたら拍手は控えめにしたほうがいいかも。
・女子大生の会話。「○○がうまく行くよう、草葉の陰で祈ってるわ」 草葉の陰ってあの世のことだよね。あんたは、死人か!
・「人の噂も四十九日だよね」 四十九日は仏事で使う言葉で人の噂は七十五日である。
・男子生徒がチームの団結を祈って書いた漢字が「男尻」だった。
他にも、笑える川柳がいくつも出てきて大笑いだった。

そして、数年前、偽装事件が連発したが、その年の世相をもじったジョークが「アパマンションホテルに泊まって、不二家のケーキを食べながら、あるある大辞典を見て納豆を買って帰る。家では親がコムスンのお世話になり、娘はノバに通っている。お土産に戴いた白い恋人と赤福を食べ、夜はミートホープ社のコロッケ。・・・」である。うまくまとめたものだ。これも笑えたが当時はそれどこではなかった事態でもある。

為になった話。
「絆」という言葉がよく使われるが、「絆」とは(ほだし)とも読む。「情に絆(ほだ)されて」と(つなぎ止めるもの)として使ったりするが、強すぎると束縛されうっとうしいものでもある。絆はむしろ「間合い」と考えると分かりやすいという。間合いには、心理的・物理的な距離があり、夫婦においては「近づかず遠からず」の「間合い」が最も大切なことであるという。人間関係の基本中の基本は家庭である。そして、家庭は共感の場所でなければならない。共感のないところにコミュニケーションは生まれないのである。

「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」という言葉がある。何をするにも、いき過ぎになっていると、それがどんなに良いことでも、むしろ不足ぎみや、不満足な状態と変わらない。過度になってしまうようであれば、むしろ控え目にしている方がいいという意味だ。同様な意味で、徳川家康は「及ばざるは過ぎたるより勝れり!」という言葉を残している。多い事はそんなによくない。少し足りない位のほうが勝っているという。家康らしい言葉である。このくらい強い意味で過ぎたるを控えることが必要かもしれない。

そして、本日のテーマである「天の眼」について。かつての日本には、神仏に恥じない、先祖に恥じないという眼に見えないものに対して襟を正すという生き方があった。しかし、最近は人が見ていなければ何をしてもいいという人もいれば、人の目を気にしないで恥ずべきことをする人も増えてきた。天の眼があることを忘れてしまっている。人は、人が見ていない時にどうふるまうかが大事であると教えられた。