とっちーの「終わりなき旅」

出歩くことが好きで、趣味のマラソン、登山、スキーなどの話を中心にきままな呟きを載せられたらいいな。

映画「60歳のラブレター」

2010-06-06 23:14:14 | 映画
2本目は、邦画で妻の共感度98%、夫の反省度95%という「60歳のラブレター」

《内容と解説》

大手建設会社の定年退職を目前に控え、第二の人生をはじめようとする孝平(中村雅俊)と、専業主婦として家族に尽くしてきたちひろ(原田美枝子)は、離婚を決意。お互いが別々の道を歩み始めたとき、新婚当初ちひろが30年後の孝平に宛てて書いた手紙が、時を経て届けられる──。
5年前、愛妻に先立たれ娘と暮らす医師・静夫(井上順)は、医療小説の監修を求められ、翻訳家として第一線で活躍する麗子(戸田恵子)と出会う。新しい恋に臆病だった2人に勇気をくれたのは、思いがけない人からの英文ラブレター。
青春時代にビートルズを謳歌し、今は魚屋を営む正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸智恵)。口げんかは絶えずとも、友達のような2人に訪れた悲しい出来事。手術にのぞんだ光江が眠る病室には正彦が弾き語るギターの音色が響く。それは2人の思い出の曲──。(アマゾンより)

熟年夫婦が互いへの感謝の言葉をはがきにつづり、これまでに8万通を超える応募が寄せられた人気企画「60歳のラブレター」を映画化。監督は『真木栗ノ穴』の深川栄洋が務め、脚本を『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの古沢良太が手掛ける。出演は、中村雅俊、原田美枝子、井上順、戸田恵子、イッセー尾形、綾戸智恵と豪華キャストが集結。さまざまな人生経験を積み重ねてきた登場人物たちが、夫婦のあり方や、これからの人生をどう生きるのか模索する姿が共感を誘う。(シネマトゥディより)



これって、全部実話だそうだ。世の中には、ドラマティックな事柄が小説以上にあるのだなあと驚いてしまう。三組の熟年のカップルに起こるいろいろな状況は、自分の将来においても起こりうる状況だけに、より実感がこもる内容だった。それぞれのカップルの話は独立しているが、微妙に係わりあって話が進んでいく。うまく話が繋がり違和感もなく見終わった。

一組目は60歳で定年を迎えた孝平(中村雅俊)と、専業主婦として家族に尽くしてきたちひろ(原田美枝子)のカップル。上司の勧めるままに結婚し、仕事一筋で家庭を顧みなかった孝平は、定年を気に妻との離婚を決意。お互いが別々の道を進もうとしていたが、30年前の妻からのラブレターが届き、初めて妻の気持ちに気づく。妻が他の男といるのを見て、焦ったのかもしれない。妻が見たかったラベンダー畑の絵を描いて北海道に飛ぶ。ラベンダー畑での元夫からの精一杯のプロポーズに妻も気持ちを揺り動かされもとの鞘に戻るという展開だ。どちらかというと、女性からすればちょっとずるいと言われそうな展開だが、男としては、これも精一杯の気持ちの表し方なのだろう。あのシチェーエーションだったら、どんな女性も受け入れてくれるだろう。30年前のラブレターを貰ったら誰でもウルウルしてしまう。こんなサービスしてくれるとこって今でもあるのかなー。

二組目は、愛妻に先立たれ娘と暮らす医師・静夫(井上順)と、翻訳家として第一線で活躍する麗子(戸田恵子)のカップル。静夫の娘は二人の恋を認めたくなく、食事会をぶち壊してしまう。だが、気を落とした静夫と麗子の前に、思いもかけない娘の一押しがあった。娘が書いた英文ラブレターを麗子の前で英語で読み上げる静夫。麗子は、和訳して答える。まさにこのシーンは、涙なくして見ていられない。恋に不器用な父を娘が手助けしてくれたというのがステキだ。私はこのシーンが一番気に入った。

三組目は、魚屋を営む正彦(イッセー尾形)と光江(綾戸智恵)のカップル。正彦の糖尿病の治療に一生懸命付き合っていた光江だが、ちょっとした事で光江自身が脳梗塞にかかっていたことがわかり成功するかどうか難しい手術を受けることになる。手術後も意識が戻らない光江の枕元で、二人の思い出の曲、ビートルズの『ミッシェル』を一晩中歌い続ける正彦。光江からプレゼントされたギターをかき鳴らす正彦の姿も涙を誘う。そして、光江の意識が戻る。まさにこの瞬間は感動ものだ。

ベテランの俳優陣で固めたこの映画は、夫婦のあり方やこれからの人生をどう生きるのかという問題について考えさられる。熟年世代だけでなく若いカップルが見ても共感できる話である。とにかく見ていて涙が抑えられなかった。年齢に関係なくカップルへのお勧めの映画である。