WALKER’S 

歩く男の日日

18日目 (1) 嵐

2008-07-17 | 08年四国の旅
 アメリカから来たというご夫婦は、もちろん純粋な日本人。二人とも38年前にアメリカへ渡り、向こうで知り合われ、結婚されてから日本料理店を開業、成功を収めたということです。現在はご主人の弟さんと、その息子さんに営業を任せセミリタイア状態、里帰りもかねて四国を歩かれているということでした。外国人の方は何回か泊めたことはあるけれど、海外(テキサス)から来た日本人というのは初めて、と女将さんもびっくりしていました。
 ぼくの隣に座った1階の部屋の男の人は大坂の人で、定年になってからお遍路を始められ、最初バスツアーで2回巡られたあと、歩きで今回が5回目というベテランのお遍路さんです。この宿にも何回目かの投宿で女将さんとも顔なじみという感じです。ほぼ半分来たところで、63kgあった体重が58kgになったそうです。ぼくはまだそこまで減っていない。今回は仙遊寺の宿坊に泊まりたいので、コスタブランカに初めて泊まるのだと言う、コスタブランカは料理が最高でしたよと、教えてあげる。明日は津島町の三好旅館、さすがベテラン、良い宿を知っている。この宿には生きた観音様がおられるのです。
 翌朝6時に下へ下りると、ぼくの部屋にあとから来た夫婦が出立するところ、彼らは素泊まりです。激しい雨が夜半から降り続いている。合羽を身につけるのに手間取っています。女将さんが見送りに出ているけれど、食事の用意はまだ、6時にお願いしていたのに、6時半と勘違いしていたようだ、まあ仕方ないので食堂でテレビを見ながら待つことにする。すぐ出られるように荷物も下に持ってきたのですが、それを見てベテランさんが目を丸くしている。こんなにもコンパクトにできるのか、すごくうらやましそうに眺めている。何が入っているのか質問されたので、一一説明する。普通のお遍路さんが持っていてぼくが持っていないのは線香と蝋燭、薬と治療道具くらいかもしれません。合羽はコンパクトなワンピースタイプ、余程風が強くないと使わないけれど。納経帳もコンパクトなものにしている。彼は納経帳が2冊あってかさばるし重いという、前にも同じ事を聞いたことがあるけれど、どうして2冊持っていくのか理解できない。知り合いの分、家族の分、ということなのだろうけれど、自分が歩いてこそ御利益があるものではないのか。まあ、昔から、代参ということはあるけれど。毎回使わないものまで入れて結局途中で送り返すことになるのだと、嘆息をついていました。荷物の多さはその人の煩悩の多さだ、と民宿久百々の女将さんが言う。前回一度も使わなかったものは持っていかない、必要になれば途中で買えばいい、と割り切ること。そうすれば荷物は軽くなって、もっと歩きやすくなる。
 朝食は6時20分にできる。アメリカの夫妻が昨日大漁祭りの餅まきで拾ってきたお餅が味噌汁に入ってお雑煮になっている、すごく美味いし力になりそうだ。夫妻は80個以上も拾ったので今日郵便局から実家の方に送ると言っている。
 6時45分に宿を出る、雨は依然激しい。女将さんが丁寧に送り出してくれる、部屋を代わって貰ったのが申し訳ないという感じがにじみ出ていた。傘だけで歩き始めるが、風はそんなに強くなく問題はないようだ。ただ、靴は1時間と保たないだろう。今回は初めて柏坂を登らず国道を行く、雨が降っているからではなく、晴れていてもそのつもりだった。時間の比較をしたかったのだ。最初の休憩地は12km先になる。柏のバス停で休んでも良いのだけれど、その次の津島のスーパーまでの中間地点になるので、頑張ることにした。
 写真は、よく見えないけれど「嵐郵便局」です。ここからしばらく行くとトンネルがあって、1kmくらいで柏坂からの道と合流する。ここまで来ると雨はあがっていた。嵐の中の嵐郵便局、というわけにはいかなかった。