6:01
今回の区切り打ちも最終日となった。出てくるときには最終日は37番札所岩本寺の先12kmにある荷稲駅まで歩くつもりだった。でも昨日あたりから予定を変更する方がいいと思い始めた。岩本寺の近くにある窪川駅から電車に乗れば2時間早く帰れるはず。時刻表を調べるために柳屋旅館から400mの所にある土佐新荘駅にやってきた。
6:03
予定していた電車より1時間50分早い便がある。しかも土佐山田で乗り換える必要もない。窪川発13時頃になるから余裕を持って歩けそうだ。
6:11
昨日予報が大はずれで1日中雨だったから、今日の予報もはずれて快晴。今日は30km歩くからその方が良かった。
6:55
3年前、長門市仙崎から来た橋本さんに追い抜かれたのがこの焼坂トンネルの入り口だった。橋本さんも2週間で宿毛まで歩く超健脚だった。この少し手前の峠道への入り口がタイムチェックポイント、柳屋から40分08秒、ベストより2分早かった。
7:28
国道を離れ土佐久礼の町へ下りていく。この少し手前の峠道の合流ポイントまで36分15秒、またベストより2分早かった。足の調子はよいけれど無理に速く歩こうとはしていない。何がその要因になっているかよく分からない。
7:35
うわっ、新しい橋が・・・、3年経つと本当に景色が変わる。
7:36
橋を渡るとすぐ右へ折れてそえみみずの方へ向かう。そえみみず遍路道を歩くのは6年ぶり3回目。
右に折れるとすぐ土讃線の踏切を渡る。国道が見えている。
7:39
国道を200mほど行くと、右の方へはいる道がある。ここからは6年ぶり2回目なのであまりよく覚えていない。
7:53
そえみみず遍路道の道しるべがあった。6年前これがあったかどうかは記憶にない。
7:58
6年前にはなかった人工物が現れた。あの工事のおかげで07年から08年にかけてそえみみずは通行止めになった。09年は歩けたけれど勘違いをして大坂峠を歩くはめになった。
8:01
そえみみずの登り口に3年前にできた遍路小屋に到着した。焼坂峠道の合流ポイントから35分35秒、6年前より1分以上遅かった。今回の旅で初めてベストを更新することができなかった。理由はよく分からない。
8:27
遍路小屋では20分ほど休憩、登り始めて5分ほどで景色が一変した。登るべき山がごっそり削られていた。高速道路の下まで急な階段を下る。
8:31
高速道の下をくぐると今度はさらに急角度の登りが待っている。これだけ長く険しい階段は四国中探してもないのではないか。57番札所栄福寺の裏の神社の石段でもこれほどではなかったような気がする。
8:34
新しくできた階段の一番上までようやく上がってきた。焼山寺や鶴林寺でも立ち止まらなかったのに、この階段の途中では息を整えなければならなかった。よくもまあ。これだけの山を削ったものだと思う。高速道路の舗装はまだできあがってはいない。
9:29
そえみみず遍路道を踏破、ようやく県道41号に合流する。最初の新しくできた階段は遍路道としてはひどいものだったけれど、昔のへんろ道に入るとやはりとてもいい感じの登山道が続いた。登りの傾斜が焼山寺や鶴林寺、太龍寺とは違って緩やかで無理のないところが多いし、平坦に近いところもあるし後半は下りになる。山道としては一番多彩で楽しみやすい道だと言えるかもしれない。その点は6年前の記憶、印象と変わりはなかった。
9:30
七子峠の国道が見えてきた。
9:37
七子茶屋の前に懐かしいロバのパンが停まっていた。遍路小屋から69分13秒、6年前より5分遅かったけれど最初の部分が違いすぎるので比較はできない。
9:38
展望台から大坂遍路道方面を眺める。こちらにも余分な人工物がはっきり見える。
大坂道から男性のお遍路さんが上がってきた。区切り打ちで今回は19番立江寺から来たという。足が痛くて高知市では2日逗留したと言っていた。
9:52
展望台で休憩した彼と一緒に歩き始める。彼は昨日は焼坂峠を越えて30km歩いたので、今日は軽く岩本寺までの20kmにするそうだ。途中から先に行かせてもらう。
10:53
七子峠から3kmちょっとの所にある遍路小屋で休憩、いつもはそのまま岩本寺まで休憩はとらないけれど、今回はこのコンビニ(七子峠と岩本寺のほぼ中間)で休むことは初めから決めていた。朝食はバナナとリンゴ1個ずつしか食べていないので食料の補給が必要なのだ。アイスと袋菓子、ポカリスウェットを買うと、レジの人がお接待ですと言って500ccのお茶を袋に入れてくれた。コンビ二でお接待を受けるのは初めてだった。
10:55
コンビニの横にはお遍路さんのためのお休み処がある。お遍路さんに優しい四国ならではのコンビニ。しばらく休んでいたら影野小学校の近くで追い抜いた外人さんがやってきた。
11:06
ぼくは英語に全く自信がないので話しかけるつもりはなかったけれど、彼の方から声をかけてくれたのでたどたどしいながら何とか受け答えをすることにした。以下和訳で大体の会話を再現してみる。
米 「それにしても歩くの速いねえ」
日 「1日に40km歩きますからね」
米 「40km・・・、ぼくなんて30kmがせいぜいだよ。88ヶ所を全部をまわるのかい」
日 「今回は別格20ヶ所を、それも6回に分けてまわってます。もう今日窪川まで行って電車で帰ります。」
米 「そうなのか、88ヶ所はまわったことはあるの」
日 「88ヶ所は今までに7回巡りました」
米 「7回も!!ぼくなんて1回で十分だよ、その1回も最後まで行けるかどうかわからないくらいだよ。それにしてもどうしてそんなに繰り返して歩くの」
日 「ぼくは四国の人たちが好きなんです。とくに旅館の女将さんやスタッフの人たちに優しく親切にしてもらうとどうしてもまた会いたくなって何回も歩くようになってしまったんですよ」
米 「・・・・、I’m impressed」
真面目な顔でつぶやくように言ったその言葉はとても意外だった。単語を並べただけの会話にもなっていないような言葉で彼の心にどれだけ伝わったかは全く心許ない。でも、ぼくの思いのエッセンス、そのいくらかは届いたということなのかも知れない。
米 「それにしても君の荷物はコンパクトだねえ」
日 「これで4kgくらいです」
米 「4kg、ぼくのなんて10kgもあるよ。キャンプをしながら歩いているからどうしてもこれだけになってしまう。一昨日なんか雨が降って本当に大変だったよ」
12:06
国道から右の方に分かれて窪川の町へ下りていく分岐点の手前、前はこの部分は車道で歩道は左側だった。左から右側に横断するのがちょっと危険だったけれど、右側の歩道が分岐点まで完全に整備されて安心して歩けるようになっていた。
12:17
岩本寺に行く前に窪川駅に寄り道して時刻表をチェックしておく。高知行きは13時10分、かなり余裕がある。
12:23
今回の旅の最終目的地、37番札所岩本寺に到着した。七子峠の3km先の遍路小屋から88分46秒で来た。ベストより1分半ほど遅い。最終日の後半はずっと力が出なかったようだ。朝食をしっかり食べられなかったのが要因になっているかもしれない。この時間の岩本寺は閑散としている。納経所の前のベンチで歩きの男性が休んでいた。話を聞くと、彼は高松の人で野宿で巡っている。今日は佐賀温泉の近くまで行くそうだ。コンビニで外人さんからお接待のお茶をもらったので、それをさしあげた。
12:48
窪川駅に戻ってくると、ちょうどアンパンマン(特急南風3号)が出ていくところだった。
12:55
3番ホームに下りていくと高知行きはすでに待っている。座席について白衣をとる。これで今回の区切り打ちも無事終了。
13:42
本日の出発地、土佐新荘に30分で戻ってきた。電車で30分の所を1日がかりで歩く、それこそがお遍路の醍醐味というもの。歩かないことにはその魅力は理解できない。
15:05
定刻に高知駅に到着、駅の北側にあるバスターミナルチケット売り場に来た。高知から高速バスに乗るのは初めてなのでちょっと迷った。高速舞子に停まるバスは15時40分に出る。当初予定していたバスより2時間半早い。
15:10
3年前はまだ工事すら始まっていなくて、むき出しの荒れ地が広がっていた駅前広場だったけれど、きれいに整備されていた。
15:11
駅前の三志士の像を撮影して、バス乗り場に引き返す。この3年というもの1泊が2回で後は日帰りばっかりだったから、この4日間は本当にたっぷりだった。通し打ちのような充実感も感じることができた。