WALKER’S 

歩く男の日日

17日目 (2) 40番のカエル

2008-07-15 | 08年四国の旅
 地蔵堂に着くまでに二つの小さな峠を越える。二つ目の峠にはいるところで逆打ちの若い女性とすれ違う、開口一番「お遍路の方ですか」と訊かれる、確かに、ぼくは遍路装束は手甲しか着けていないし金剛杖も持っていない。らしくないのでその質問には納得、「はい」と答えると、「この道で合っていますか」と訊かれる。「はい合っていますよ」と言うと、安堵したような表情で坂道を下りていった。今まで相当道を間違えて、大変な思いをしたのだろう。
 地蔵堂に着いたのは10時4分、すでに半分以上歩いたことになる。宿に3時に着こうとすれば2時間くらい休まねばならない。国境の峠を前にたっぷり休むことにする。ここは遍路道から少し入ったところにあるので、行きすぎるお遍路に会うこともなく、ひたすら静かな時をやり過ごす、2回ほど100mほど離れた遍路道を登っていく音がかすかに聞こえる。45分の休憩でいよいよ松尾峠を目指す。登り始めてしばらくすると、前を行く男の人が見える。清水川荘で一緒だった人ではない、だとするとどこから来たのだろう、延光寺の近くに泊まった人はもっと先に行っているはずだ。追いついて訊いてみると、昨日は中村に泊まって、今朝電車で平田まで来て、そこから歩き始めたということでした。納得。典型的な、連休区切り打ちです。地蔵堂から松尾峠までは27分で到着、岡本旅館からの合計タイムでは昨年と同じでした、久々の山登りだったのですが納得のいく順調な歩きでした。峠の遍路小屋には男女ペアが休憩中、挨拶をして一気に駆け抜ける、いよいよ菩提の道場伊予の国へ入る。松尾峠からの下りは、最も好きな気持ちの良い下り道です。横峰寺や三坂峠のような膝への負担が厳しくかかる坂道ではない。登ってくる時にかいた汗がス~っと引いていくような快適な下り。一本松の町に入っていく前に新しくできたお手洗いがある、一本松まで休むつもりはなかったけれど、ちょっと頑張りすぎたのでここで休みを入れる。屋根はないから雨が降っていたら休めないけれど、今日のように天気がいいと一本松のバス停で休むより気持ちがいい。思いがけず40分も休んでしまう、ここから40番観自在寺まで10km休みなしで行く。
 一本松の交差点からは左に折れて国道を行く。国道は赤線は付いているけれど本来の遍路道ではありません。ほとんどのお遍路は通らない。ぼくは2年前(4回目)からこの道を歩いている。そのときは歩く距離がものすごく長かったので、この近道を行くしかなかった。昨年も歩くところは少し違ったけれど距離が長くてこの道を行くことにした。今年は距離は短くて、遍路道を行ってもよかったのだけれど、昨年とのタイムの比較をしたかったので、この道を行くことにした。一本松の交差点に来たのは12時43分、疲労は全くなく、朝と変わらないくらいの調子の良さ、絶対昨年以上のタイムが出るという感じがあった。それくらい完璧な歩きだったのに、タイムは出なかった。2分も遅れてしまった。理由は風、ものすごい向かい風が常に吹いていた。風でタイムが出ないということは前にも久万高原で経験している。伊予の国最初の札所、40番観自在寺には2時3分に到着した。宿はここから2kmだから30分くらい休める。